済州島(チェジュド)にやられる
2月16日(火)~2月18日(木)
帰国前に、どうしても行っておきたい場所があった。
済州島(チェジュド)である。
韓国で、最も人気の高い観光地である、といってよい。
1年以上も韓国にいるにもかかわらず、済州島に行かないのは、どう考えてももったいない。しかも調べてみると、大邱空港から頻繁に飛行機が出ていて、1時間で済州島に着くという。
日本から行くことの手間を考えたら、大邱にいるうちに済州島に行っておくべきである。
それに、済州島の独特な民俗にも興味がある。
そこで、帰国直前の慌ただしいなか、2泊3日で済州島を旅行することにしたのである。
済州島に行く前、いろいろな人から、「済州島は、どの季節に行ってもよい」と言われていた。気候が温暖で、冬でもすごしやすい、ということなのであろう。
そこから私は、日本で言うところの、奄美や沖縄、といった南の島のイメージを、漠然と想像していた。
ところが私たちがついた初日は、えらく寒かった。奄美や沖縄どころではない。大邱と変わらぬ寒さではないか。
こごえながら、名所を見学する。初日は、島の北部、済州市をめぐった。
そこからバスで、西帰浦という、済州島の南部の町に移動。私たちが泊まるホテルがある場所である。
西帰浦は、北の済州市よりも、いくぶん暖かいと言われていたが、それでもやはり寒い。西帰浦は、済州島のなかでも、みかんや、「ハンラポン」という柑橘類の特産地だった。「ハンラポン」の「ハンラ」とは、済州島の中央にでんと構えているハンラ山の名前からとったもの。日本の果物でいうところの「デコポン」である。
そこでようやく気づく。そうか。済州島は、奄美や沖縄、というイメージよりも、和歌山、といった方が近いのか。
和歌山だと思えば、この寒さも、納得がいく。
2日目も寒い。
午前、西帰浦市内の名所をまわった後、午後、路線バスを乗り継ぎ、1時間以上かけて、「ソンウプ民俗マウル」という民俗村に行く。ガイドブックによれば、済州島の昔の集落がそのまま残っていて、いまでもそこに人が暮らしているという。ガイドブックでも、「おすすめ度」は高い。
だが、行ってみると、観光客など誰もいない。村の「ボランティアガイド」と名のる人に、「どうやっていらしたんですか」と聞かれたので、路線バスだと答えると、たいそう驚かれた。そうだよな。こんな不便なところは、車か観光バスでくるのがふつうだよな。
その、ボランティアガイドを名のる人に説明を受け、最終的には、値段の高い五味子茶を買う羽目になった。ここらあたりから、ちょっと雲行きが怪しくなる。これって、「無料ガイド」を騙る悪徳商法なのではないか?そういえば、この方、なぜか村の中に入らず、村の外でだけ説明していたな。なぜ、村の中に入って、肝心なところを説明してくれないのだろう。
ひょっとすると、この村の人だ、というのも、嘘なのではないか?
…と、例によって、妄想が広がっていく。
マウルの中をしばし歩いてみたが、どうも映画のセットみたいにウソっぽく思えてくる。本当に、伝統的な村なのか?
何とも不思議な空間であった。
そして、少しばかりの後味の悪さ。
いや、これは、マウルのせいではない。いま思えば、この時点ですでに、体調が悪化していたのかも知れない。
3日目。
朝から妻がダウン。ホテルから一歩も出ることができなくなる。
仕方なく私は、ひとりで付近の名所を見学する。雪が舞って、かなり寒い。それに、ひとりで見学していても、面白くもなんともない。
お昼ごろから、私の体調も悪化しはじめる。全州に行ったときと同じように、原因不明の胃痛である。悪寒もする。「これはやばい」と思い、昼食をとらずにホテルに戻る。
ホテルで荷物を受け取り、バスに乗って、一路空港へ。本当はこのあと、空港の近くの博物館を見学して、、図録をしこたま買い込む予定だったのだが、博物館に行く元気もない。「図録を買うのをあきらめる」くらいだから、そうとうな体調の悪さである。
結局、予定より4時間はやい飛行機に乗って、大邱に戻る。家に戻り、倒れるように眠り込んだ。
数時間眠ったが、あいかわらず胃痛と悪寒がつづく。明日こそは、帰国準備を始めなければならないのに、この状態が続くと厄介である。どうしよう。
そういえば、昨年11月に両親と妹が韓国に遊びに来たときに、母が「体調が悪いときに飲みなさい」と、小田原名物の「ういろう」を渡してくれたことを思い出した。母は、「たいていの体調の悪さは、『ういろう』を飲めば解決する」という、信仰に近いものをもっている。
そのことを思い出し、「ういろう」を飲んで、再び寝た。
すると翌朝、悪寒はすっかりなくなっていた。胃痛は完全に治ってはいないようだが、ふつうに歩けるくらいに回復した。その後も「ういろう」を何度か飲み続け、体調が、なんとかもとにもどった。「ういろう」、侮り難し、である。
21日(日)には、1年以上住んでいたアパートを引き払い、最後の1週間を、大学のゲストハウスですごすことになる。それまでに、荷物をまとめておかなければならない。慌ただしい日々がはじまる。
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