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最悪のアバター体験

2月3日(水)

20100102065858_1_5376 ふと思い立って、夕方、映画「アバター」を見に行くことにする。

理由は単純。「流行に乗り遅れたくなかったから」。妻はすでに1回見ていたが、私は、「別にいいや」という感じだった。しかし、ここで見ておかないと、おそらく日本に戻っても見ないだろうな、と思い、見に行くことにしたのである。

やはりけっこう人気のようで、満席に近い状態。韓国の映画は、すべて指定席である。私たちは、前から8列目あたり(H列)の、画面に向かって右端の席に座ることになった。座席番号でいうと、H列の12番と13番。

映画がはじまる前、私たちの左隣には、会社員のグループが5人ほどやってきて座った。おっさん2人と、わりと若い女性社員3人。

おっさんの中でも、部長らしき人が、真ん中あたりの、いちばんいい席に座る。両隣に若い女性社員が座った。

なかなか文章では説明しづらいが、H列の1~13の座席を図示すると、次の通り。

12345女女部女男×妻私

(1~5はほかの人、「女」は女性社員、「部」は部長、×は空席)

そこへ、遅れて、同じ会社の課長らしきおっさんが入ってくる。彼は、妻の席の左隣、すなわち、空席になっていたところに座った。

12345女女部女男課妻私 (「課」は課長)

すると、少したって、部長らしき人が、そのことに気づいて課長に言った。

「おい、なんでそんな端っこに座ってるんだ?」

さらに部長は、今度はいちばん左に座っていた女性職員に向かって、

「おい、座席をかわってやれ」

と言った。部長に言われた女性は、右端にいた課長と、席を交代させられた。

すなわち、座席は次のようになったのである。

12345課女部女男女妻私

左から6番にいた女性は、右の端に追いやられ、課長は、座席の中央に座ることができたのである。

この一部始終を見ていた私と妻は、この時点でもう不愉快である。なぜ、あとから来たにもかかわらず、課長だ、という理由だけで、いい席に座ることができるのか?そしてそのために、無理やり女性社員が席を交替させられなければならないのは、どういうことなのか?

年下の、しかも女性ということで、あまりにも、理不尽な扱いではなかろうか?

じつは以前、これと似たような場面を見たことがある。

ある学会に参加したときのことである。会場となった大学の学生食堂で昼食をとることになった。参加者がけっこう多かったので、ひとりひとりが食事を受け取るのに、並んで待たなければならなかった。

ここで、おどろくべきことが起こる。私のすぐ前に並んでいた、その業界でおそらく偉いんだろうな、と思う大家の先生が(私はそのとき初対面)、さらにその前に並んでいた女子学生数人に、こう言ったのである。

「おい、お前ら、後ろに並べ」

言われた学生数人は、なんと私の後ろに並ばされたのだ。

日本では、絶対に考えられないことだ。もし日本の大学で、教員が、前に並んでいる学生に向かって「俺の前に並ぶな、後ろに並べ」などと言ったら、大問題である。

しかしこの国では、それが当然のごとく許される。なぜなら、「年上の人は偉い」から。上司と部下、教授と学生、男性と女性のあいだには、歴然とした差があるのである。

だから、部長が、若い女性社員に向かって「課長が端っこに座るんじゃなくて、お前が端っこに座れ」と言ったのは、この国では、当然のことなのである。

不愉快な思いを抱きながら、映画がはじまる。

さらに不愉快なことがおこる。

この会社員6人全員が、映画の最初から最後まで、大きな声で、ずっとしゃべり続けている。なかには、携帯電話の着信メロディがなって、映画の途中にもかかわらず、電話に出てしゃべっているではないか。

映画館で、携帯電話の電源を切るのが当然なのに、その基本的なマナーすら守られていない。

言っちゃ悪いが、3Dだとかなんだとかいって、ふつうの映画料金の倍近くとられているんだぞ。お前らは部長のおごりだかなんだか知らないが、ちゃんと金払って見に来ている周りの人たちのことをまったく考えないのか?

怒りに震えながら、2時間半ほどの映画が終了。

ところで、映画の感想だが。

映像はたしかにすごかった。お金を払って、損をしたとは思わない。

しかし、アメリカ流のストーリー展開には、辟易とさせられた。

「戦うこと」が、そんなに尊いことなのか?

戦争に対する幻想が描かれている、と思えてならない。

ま、下手に流行を追いかけようとした私が間違っていたな。

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