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帰国後、1カ月

3月28日(日)

東京近郊で小さな研究会。

私がひそかに尊敬している、年齢が私より1つ上のT氏の発表は、東アジアのフィールドを縦横無尽に駆けめぐり、かつ、文献を渉猟するという、あいかわらずの刺激的な内容だった。5年がかりの地道な調査成果が、壮大なスケールの発表に結びついていた。

(自分には、あんな研究は絶対にできないだろうな…)

それでなくても、韓国にいる1年3カ月を通して、さらに帰国して1カ月たった今も、本業に対する自信を失いかけている私には、いろいろと考えさせられることが多い。

お笑い芸人の山崎邦正氏が、落語家になった、という記事をどこかで読んだ。

彼はなにかのインタビューで、「立川志の輔師匠の『鼠穴』を聞いて感動した」みたいなことを答えていた。それが彼にとって、落語をめざす原動力にもなったのであろう。

志の輔師匠の「鼠穴」。私も好きな落語のひとつである。

一方で、元落語家だった伊集院光氏が、「志の輔師匠の独演会を聞きに行って、『ああ、早いうちに落語をあきらめていてよかった』と思った」と、最近どこかで語っていた。

面白いものである。

同じ志の輔師匠の落語を聞いても、「オレのめざしているのはこれだ!」と落語家への決意を固める人もいれば、「落語をあきらめてよかった」と、夢を放棄したことの正当性を再確認する人もいる。

しかも、二人は同い年。ちなみに、私はその1学年下。

いろいろなとらえ方があるものだ。

一般的には、前者は「前向きな考え方」、後者は「後ろ向きな考え方」ということになるのだろうか?

いや、私はそうは思わない。どちらかが正解で、どちらかが間違いだ、とは思わない。

なぜなら、どちらも、人生の選択の岐路に立たされていることには変わりないから。

さて、私はどちらだろう?もし私が落語家をめざすとして、志の輔師匠の落語を聞いたら、どっちの思いを抱くだろう?そして今の私は?

いやいや、まだ結論を出すのは早い。なにしろ、帰国してまだ1カ月しかたっていないのだから。

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