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ゲストハウスは消えたのか

3月22日(月)

ソウル旅行2日目。

ソウルへ来て、訪れてみたいところがあった。

ソウル市の西側に位置する、新村(シンチョン)という町である。

実は5年前に一度、新村に来たことがある。前の職場の元同僚が、大学の実習で学生をソウルに連れて行ったときに、私もついていったのだが、そのときに宿泊した場所が新村だった。

その同僚と最後に行った韓国旅行だ、という点でも思い出深いのだが、なにより、泊まったところが、これまでにない、強烈な印象を残したという点でも、思い出深かった。

その場所を、「ワウ・ゲストハウス」という。

ホテルでもモーテルでもない。一見、下宿屋、といった感じの家である。新村は、近くに延世大学や西江大学など、多くの大学がある「学生の町」である。当然、学生が宿泊したり滞在したりする下宿屋も多かったのであろう。

「ワウ・ゲストハウス」は、貧乏な学生が泊まるための下宿屋、という表現がピッタリの場所だった。この場所を選んだのは、いうまでもなくこの旅行を企画した元同僚である。連れていかれる学生たちの中には、海外旅行がはじめてだった者も多かったはずで、いきなりあそこに泊まらされたのには、さぞ面食らったであろう。

もっとも、その元同僚も、韓国留学時代は新村に住んでいたそうだったから、いま思えば、自分の留学体験を、少しでも学生たちに伝えたかったのかも知れない。

たしかに、あまり快適とはいえないゲストハウスだったが、そのゲストハウスのおかみさんであるアジュンマ(おばさん)が、とてもいい人だったことは、せめてもの救いだった。

あれから5年。その場所にもう一度訪れてみたい、と思った。

5年前の旅行には、妻も一緒に参加していたから、2人で、記憶を頼りに、そのゲストハウスを探すことにした。

しかし、その場所が、全然見つからない。延世大学の西側だったな、ということと、「(旧)城山会館」という建物が近くにあった、ということだけは覚えているのだが、あの時、どこをどう通って、「ワウ・ゲストハウス」にたどり着いたのか、ちっとも覚えていないのだ。

なにより驚いたのは、目印にしていた「(旧)城山会館」なる建物が、すでに存在していない、ということである。ここでひとつ、手がかりを失ったことになる。

ではもうひとつの、延世大学の西側である、という記憶はどうか。

「たしか、延世大学の西側の道が急な坂になっていて、そこをのぼっていった記憶があるんだけど」と妻。

見ると、たしかに上り坂がある。この道かも知れない、と思い、坂道をのぼりはじめた。

「そして、たしか右側にキンパプ(のり巻き)の店があったよね」

…しかし、そんな店はどこにもない。おしゃれなコーヒーショップがあるだけである。

「で、キンパプの店のところを、左に曲がった、と思うんだけど」

…左に曲がる道も存在しない。

「でも、たしかにこの辺だと思うよ。こんな感じの雰囲気だったし」と私。

とりあえず、周辺を歩いてみることにするが、どうもそれらしいものが見あたらない。

歩いているうちに、大きな建物が目の前にあらわれた。「リビングテル」とよばれる、簡易宿泊施設である。まだ完成して間もないようである。

場所的には、この建物の付近なのだが…。

ひょっとして、この建物を建てるために、立ち退いたのか?

かつて、大学の周りには、賄い付きの下宿屋がたくさんあったのだが、生活スタイルの変化により、共同生活を強いられる下宿屋は次第に減り、コシウォン、コシテル、リビングテル、といった、簡易な個室の受容が増えてきたのだという。

この「リビングテル」がある場所に、私たちが泊まった「ワウ・ゲストハウス」があったのだとしたら、この変化は、じつに象徴的である。

結局、「ワウ・ゲストハウス」の場所を確認できないまま、新村をあとにした。

痛感したのは、ソウルの町の変貌ぶりである。もはや、記憶をたどる糸口すら存在しない。

もし、この次に新村を訪れる機会があったとしても、「ワウ・ゲストハウス」の場所をたずねることはないだろう。

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コメント

 ソウルナビによれば、2007.8.14までに閉店とのこと。ちなみに住所は 433-2 Yonhee 1Dong, Seoul 120-830, South Korea
だったようです。残念というか、当然というか。
 なお、ホームページアドレスは、近くに新築されたhong guest houseにリンクされてますが、面影はありません。

投稿: こぶぎ | 2010年3月26日 (金) 10時35分

情報ありがとうございます。わざわざ記事にするほどの内容ではないかな、とも思ったんですが、「探偵!ナイトスクープ」の名作「ラインバックは死んだのか」に倣って、「ゲストハウスは消えたのか」という題名が思いついちゃったもので、書くことにしました。忘れてしまっていることが、ホントに多いです。

投稿: onigawaragonzou | 2010年3月26日 (金) 23時07分

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