印象はかくも違うか
韓国人の俳優を、日本人の俳優にたとえるのが好きである。
たとえば、ソン・ガンホは、若いころの渥美清(あるいは、若いころの西田敏行)。
アン・ソンギは役所広司。
イ・ナヨンは中谷美紀。
ソン・ドンイルは竹中直人。
パク・チョルミンは竹中直人、または音尾琢真。
チャン・ヨンは谷啓。
パク・クニョンは小倉智昭。
といったように。後半はほとんどわからないだろうが。
アクションドラマで男前を演ずる一方で、なぜかトーク番組で危なっかしい司会ぶりを発揮するキム・スンウは、神田正輝。
若いころ俳優としてそこそこ活躍し、いまはバラエティ番組の司会者で活躍するチョ・ヒョンギは、高島忠夫(あるいは峰竜太)。
かつて毒舌のラジオDJとしてカリスマ的人気をほこり、いまはテレビのバラエティ番組の司会者で活躍しているキム・グラは、あの人。
ここまでくると、たぶん誰もわからない。
さて、三谷幸喜氏のエッセイ『ありふれた生活8 復活の日』(朝日新聞出版)を読んでいて、韓国版「笑の大学」についての記述が目にとまる。
初日の舞台に見に行ったときの話が書かれている。
韓国版「笑の大学」の初演は、座付き作家役がファン・ジョンミン。検閲官役がソン・ヨンチャン。ファン・ジョンミンはいわずと知れた韓国の人気俳優。ソン・ヨンチャンは、韓国の映画を見ると、とてもよく見かける脇役。どちらも有名な俳優である。
この2人について、三谷氏は次のように評す。
「作家役のファンさんは、藤木直人さんの首を一回り太くしたような好青年」
ええぇぇ!?違う違う。ファン・ジョンミンはぜったい山本太郎だってば。
「検閲官役のソンさんは、悪役を専門にやってきたバイプレーヤーだそうで、日本で言えば、かつて戦争映画で悪い上官役といえばこの人だった藤岡重慶さんをぐっとソフトにした感じ」
これも違う!藤岡重慶って、私の乏しい記憶では、たしか西部警察で刑事だった人だよね。
むしろ、ソン・ヨンチャンは、私の中では完全に日下武史である。
人の印象とは、かくも違うものなのか。
「韓国のタレントをことごとく日本のタレントにたとえる」という新ジャンルの芸能評論家をめざす夢は、無惨にも打ち砕かれる。
というより、この手の話に共感してくれる人は、誰もいないのだろうな。
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