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カレー

「こんどの連休に集まってカレーをしましょう」

2週間ほど前、高校時代のブラバンで同じパートだった1年下の後輩、モリカワさんからメールが来た。

ブラバンで同じパートの同期だったコバヤシが、高校時代、本格的なカレー作りに目覚めた。「その腕を試したい」といって、高校卒業後、同じパートの1年後輩、アサカワの家で、数人で集まってカレーパーティをはじめたことがきっかけで、この「カレー」が恒例行事となった。集まるのは、同期だったコバヤシと私、そして、1年下の後輩たち数人である。

高校卒業後しばらくは、年に1回ていど、誰かの家を会場にして、定期的に続けていたが、それぞれが就職したり結婚したりしてからは、忙しくなって次第に行われなくなった。前回行ったのが8年前だったというが、そのときの記憶はほとんどない。

カレーを作る張本人のコバヤシは、いま仕事の関係で福岡にいる。コバヤシがいなければ、カレーはできない。

「連休は東京に戻ってきているでしょう。先輩から連絡してくれますか?」とモリカワさん。

コバヤシは、高校時代の唯一の親友である。高校時代、あらゆる悩みごとや愚痴を言い合った。たぶん、高校時代を最も長い時間、共に過ごした友人だったと思う。私のダメな点を熟知しているのは、たぶん、妻とコバヤシくらいだろう。

だが、お互いが就職してからは、ほとんど会う機会がない。

前回電話で話したのは、2年ほど前だったか。そのときも、あいかわらずの会話。たいていは、「おまえのそういうところが人としてダメなんだよ」と、コバヤシが私に対して一方的なダメ出しをする。

私が電話で連絡すると、またいつものように長電話になって、私に対するダメ出しが始まるだろう。

「俺が連絡するより、モリカワさんか連絡してくれた方が、コバヤシも喜ぶと思うよ」と、私はモリカワさんにコバヤシの連絡先を教えた。

そういえば今回はなぜか、モリカワさんがえらくはりきっている。各人への連絡から場所の確保まで、自分が買ってでているのは、ふだんのやる気のないモリカワさんにしてはめずらしい。子育てが一段落したのだろう。

しばらくして「コバヤシ先輩は5月1日ならば大丈夫だそうです」と、モリカワさんからメールが来た。

5月1日(土)

朝、勤務地を出発。新幹線で東京に向かう。モリカワさんの家に集まって、午前10時からカレーを作りはじめるということになっていたが、前日、新入生歓迎会で学生たちと夜12時近くまで酒を飲んでいた私は、遅れて会場に向かうことになった。決して、カレー作りを手伝うのがイヤだったからではない。

午後1時半、モリカワさんの家に到着。

「ちょうどいいときに来ましたね」と、みんなが口々にいう。見ると、テーブルにすでにカレーが並べられていた。「いま完成したばかりです」。3時間半をかけた労作である。

Photo_5 チキンカレー、キーマカレー、そして、カブのカレー。香辛料の香りが、食欲をそそる。

集まったメンバーを見渡すと、同期のコバヤシ、1年下のアサカワ、オーキ、モリカワさん、アライさん、ナカノさん、フジイさんが来ていた。やや遅れて、エーシマもやってくる。あいかわらず、場をさらうエーシマのキャラクターは健在である。

8年ぶりに会うコバヤシは、さすがにオッサンになったなあという印象があるが、私も他人のことはいえないのだろうな。

カレーを食べているときの話題は、もっぱら高校時代の思い出話。「パート練習のときなんか、練習よりも、先輩ふたりの漫才を聞いてる時間の方が長かったんですから」とモリカワさん。もちろん、本当の漫才をしていたわけではないが、私とコバヤシの会話のやりとりが、まるで漫才のようだった、という意味なのだろう。毎日のパート練習のとき、どんな話をしていたのかは、もうすっかり忘れてしまった。

思い出以外の話題はといえば、いまの仕事の話。歳をとったなあ、と思うのが、上司の悪口でなく、若者の悪口を言うようになった、という点である。

近ごろの若者はぜんぜん面白くないし、根性がない。採用の面接をしても、みんな同じ答えばかり返ってきてつまらない、とは、外資系の大企業に勤めるエーシマの弁。

「ちゃんと学生を教育をしてくださいよ~」とエーシマが私に言う。

この言葉を聞いた私の気持ちはフクザツである。昨晩、就職活動の様子を学生から聞いたばかりの私からすれば、とてもいまの若者たちを批判する気にはなれない。想像以上に、就職活動の現状はタイヘンなのである。

女性でありながら、という前置きは失礼かもしれないが、エーシマほど個性的で、面白くて、肝の据わった人間を私は知らない。仕事の上で、いろんな修羅場をくぐり抜けてきたとも聞く。そんなエーシマからしたら、どんな人間だって、面白くないように思えるだろう。

それに、忘れてはならないのは、俺たちはバブルの時代に学生時代を過ごした。そのころといまとでは、状況が全然違うのである。TOIECの点数が290点であったにもかかわらず、外資系の大企業に入社したエーシマが、単身アメリカに出張して米国人と堂々とわたりあうまでに至る、という成功譚は、彼女のツワモノぶりを示すエピソードだが、エーシマの個性と、それが許された時代的背景によるところが大きいのではないか、とも思う。いまでは、ありえない話である。

ま、そんなことを思いながら、「近ごろの若い者は…」と嘆く会話を楽しむ。高校時代以来、話し方やキャラクターは、みな全然変わっていないが、歳だけはとったのだな、と感じる瞬間である。

午後4時過ぎ、用事があるというのでコバヤシが一足早く帰った。そして午後5時過ぎ、残りの人々も解散。3時間半ほどの時間を、十分に楽しんだ。

「また集まりましょう」

さて、次はいつになることだろう。

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