記憶をたどれ!
5月26日(水)
会議が早く終わった。
というより、進行役の私が早く終わらせただけなのだが。
会議が思ったより早く終わるときほど、うれしいことはない。トクした気分になるのだ。
研究室に戻り、一息ついていると、10日ほど前のことを思い出した。
そういえば、必要があって何かの本をめくっていたとき、本来の目的とは全然別のところを見ていて、
(お!大発見だあ!)
と思ったなあ。これで原稿のネタがひとつできたぞ!という感じの発見だった。
ところが、ずぼらな私は、その時の「発見」をメモにとっていなかった。
あれ?何を見て「大発見だあ!」と思ったんだっけ?
どうしても思い出せない。まったく思い出せないのである。
私の研究室はかなり散らかっている。もしここで思い出せなかったら、もう永遠に、あの「大発見」は埋もれたままになってしまうだろう。
何としてでも思い出さなければならない。
いくら思い出そうとしても、何の本だったのか、まったく思い出せない。ひょっとして、あれは夢だったのか?
そこで作戦変更。ここはいったん冷静になろう。
本を思い出すのではなく、その本を見ていたときの「状況」を思い出すことにした。
どういう状況で本を見ていたのかを、思い出そうとする。座っていたのか、立っていたのか、とか、ドアに背を向けていたのか、ドアの方を向いていたのか、とか、本を手に取って見ていたのか、机に置いて見ていたのか、とか。
しだいに、発見当時の状況が復原されてゆく。
それはあたかも、映像がゆっくりと逆回転するがごとくである。
そして、ついに1冊の本にたどり着いた。
(はて、この本だったか?)
どうもこの本は、「大発見」とは結びつきそうにない。
半信半疑で、その本の頁をめくっていると、
あった!あった!ありました!
たしかにこれだった。
ただ、冷静に見てみると、思ったほどの「発見」じゃなかったな。
それでもまあよい。あやうく永遠に記憶の穴の中に埋もれてしまうところを、呼びもどしたのだから。
この時点ですでに1時間近くが経過。結局、会議が早く終わったおかげで浮いた時間が、この記憶をたどる旅に費やされてしまった。人生、イッテコイだな。
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