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研究室へいらっしゃ~い

5月31日(月)

「ただ単に話をしに来ました」

4年生のA君、Kさん、Nさんが研究室にやってきた。

ちなみに、韓国の大学では、「教授」の研究室に、ただ単によもやま話をするためだけに学生が来ることは、まず考えられない。そもそも、教授と学生はほとんど口をきかない。それだけ、「教授様」はエライのだ。

それにくらべると、日本の大学の研究室のハードルは低いな。というか、私のハードルが低いのか?

ただし私の研究室は、3人が座るスペースは、あいかわらずない。2人が座り、ひとりは立ち話。

「こんなお菓子があったので買ってきました」とKさん。

袋をみると、古銭のかたどったビスケットが入っている。

私がその方面の勉強をしていることを知っているKさんが、コンビニで見つけて買ってきたという。

はじめて見た。ずいぶんマニアックなお菓子があるものだな。

(と思って、のちにインターネットで調べてみると、古銭をかたどったビスケットって、私の生まれる前からあるロングセラーのお菓子らしい。この方面の専門家なのに、全然知らなかった)

今度コンビニで見つけたら買ってみよう。

3人が来たのは、単に古銭をかたどったビスケットを見せびらかすためではない。このところの公務員試験のプレッシャーで、どうにも精神的にまいっている、というのである。

勉強すればするほど、ダメになっていくようです、という。負のスパイラルに陥ってしまっているようだ。ま、根を詰めて勉強をしていると、こういうことはよくある。

たしかにこのところ彼らは、校舎の1階の片隅にある、寒々とした学生研究室で、夜遅くまで勉強している。たまに部屋をのぞくと、ものすごい形相で勉強していて、一瞬ゾッとすることがある。

それに、学生研究室といっても、実に殺風景で寒々とした感じの部屋である。あんなところに1日中いたら、おかしくなるのも無理はない。

部屋というよりも、「窟」といった方がよい。

どうやら3人は、その「窟」での試験勉強にすっかりやられて、精神的にぎりぎりだ、というのだ。

A君が言う。

「学生研究室に放っておかれていたお茶っ葉を、長いこと捨てていなかったんで、外のゴミ箱に捨てようと思って、ゴミ箱の前で、袋からお茶っ葉を出して捨てようとしたら、突然、白い胞子的なものが顔の前にうわっと広がったんです」

お茶っ葉にカビが生えていたようだ。

「で、思わずギャっと叫んでしまいました。周りに人がいたんですけど」

お茶っ葉をゴミ箱に捨てようとした瞬間、ふわっふわの白いカビが顔の前に広がった、というのである。

「それはまるで、忍者の煙玉のようでした」

A君の独特なたとえに爆笑する。

しかし、こんなことも続けば、そりゃあ精神的にまいるわな。

すべてはあの「窟」のせいではないか、とも思う。あの「窟」には、公務員試験の勉強だけではなく、卒業論文に悩まされた代々の卒業生たちの怨念が、まるで老舗のウナギ屋の秘伝のタレのごとく沈殿している。そして毎年その怨念が、注ぎ足されているのだ。

だから、早く勉強の環境を変えた方がいいのではないだろうか。

そんなことをつらつら思っていると、3人が言った。

「私たち、先生が寒天ゼリーを作っているときに、公務員試験を受けていたんですよ」

…そうか…。

私のハードルの低さは、こういうところにあるのだな。少なくとも韓国の大学の先生は、学生にこんなことを言われないだろう。

もっとちゃんとしよう。

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