図書館前の、陽だまりの中
6月10日(木)
「図書館前の 薄い陽だまりの中
就職試験をあれこれ思いながら
誰かがポツリポツリ弾いているギター
涙をうかべ聞いてる」
これは、以前に紹介した、阿久悠作詞・岩崎宏美歌の「学生街の四季」の一節。
うちの職場の図書館の玄関の前に、こじゃれた木製のテーブル机と椅子が置かれている。
陽だまりの中、しばしば、学生が談笑していて、微笑ましい。晴れているときなんか、実に気持ちよさそうだ。
欧米系の留学生が、結構気に入っているようで、お昼休みなんかにそこで勉強している。これもまた、絵になる。
「学生街の四季」の一節を彷彿とさせる光景だ。
授業が終わった4時半過ぎ、飲み物を買おうと思って、構内のコンビニに向かって歩いていると、向こうから4年生のA君、Kさん、Nさんが歩いてきた。公務員志望のこの3人は、いま、試験勉強の真っ最中である。小腹が空いたので、コンビニで何か買ってきたのだろう。
私を見つけると、
「これ、いま買ったばかりなんですけど、味見してみませんか?」
という。見ると、ラムネのビンなのだが、3人の買ったラムネには、それぞれ「水なす風ラムネ」「たこ焼き風ラムネ」「玉ねぎ風ラムネ」と書いてある。
イヤな予感がした。
以前、友人のこぶぎさんから、「つゆ焼きそばドロップス」だの「いちご煮風ドロップス」だの、「笹かま風ドロップス」だの、「せんべい汁風ドロップス」といった、ご当地B級グルメとドロップをいたずらにコラボした「ご当地限定ドロップス」とやらを、おみやげだといって大量にもらったことがある。これがお世辞にも美味しいとはいえないもので、というか、スゲエ不味いもので(あくまで私の好みに合わない、という意味)、いまだに消費しきれずに家に置いてあるのだ。
どうか、本当の意味での「ご当地限定」にしてほしいと、心底望んだものだ。
水なす、たこ焼き、玉ねぎと、ラムネのコラボも、いたずらにコラボしてみました、という感が強い。結果は容易に予想できた。
「コンビニで売ってたんですよ。あと一つ、『カレー風ラムネ』というのもありましたけど、それは買ってません」とA君。
そう言われると、4本コンプリートしたくなる。私は急いでコンビニに買いにいった。
すると、この「ジョークラムネ」が、大量に置いてあるではないか!
今後起こる事態を予想して、「カレー風ラムネ」とともに、口直しのウーロン茶も買った。
コンビニを出ると、さっきの3人が、図書館の玄関前にある、例のこじゃれたテーブルを陣取って、3本のラムネを並べている。彼らはすでに味見を始めているようだ。
それに、私の買った「カレー風ラムネ」を加えて、4本のラムネの味見をすることになった。
「これ、飲んでください」
最初にすすめられたのが、水なす風ラムネ。これは、ふつうの味であった。
次に飲んだのが、たこ焼き風ラムネ。これはちょっと薬っぽい味がしたが、飲めないことはない。
「じゃあ、これをどうぞ」
玉ねぎ風ラムネである。まずニオイをかぐ。
スゲエくせえ!
オエッとなりながら、飲んでみる。
スゲエ不味い!
ふたたび、オエッとなった。
「じゃあ今度は、私が買ったカレー風ラムネを試してみよう」
飲むと、それほど不味い、とは思わない。直前に飲んだ玉ねぎ風ラムネの効果かもしれない。
しかし次に試飲したNさんが言う。
「なんか、○○○○○のニオイがします」
オエェェッ。
それまで何ともなかったラムネが、Nさんの一言で○○○○○を飲んでいる感じになっちゃったじゃないか!
図書館前の陽だまりの中、こじゃれたテーブルの上は、さながら地獄絵図と化し、私は早々に退散した。そしてウーロン茶を、あっという間に飲みほした。
この場所は本当は、「就職試験をあれこれ思いながら、誰かがポツリポツリ弾いているギター」を、「涙をうかべ聞いてる」場所なんだぞ!
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コメント
そんなことになっているとはつゆ知らず、本日、私めは学生に「ハイチュウ ドリアン味」を振る舞っておりました。
おいしいと思うんですよ、僕は。決して「生ゴミ」の香りなどしないですよ。
嬉しいことに余っているんだな、この飴も。
投稿: こぶぎ | 2010年6月11日 (金) 01時39分