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大雨のソウルより5 東大門市場

8月28日(土)

ソウル最後の夜。

やり残していたこととは、「東大門市場でかばんを買うこと」だった。

東大門市場(トンデムンシジャン)は、ソウルでも有数の市場である。とりわけ若者向けの衣料品などをあつかっている店が多く、最近は巨大なビルの中に、若者向けの衣料品小売店が所狭しと店を開いている。日本の観光客が、必ずといっていいほど訪れる場所である。

韓国留学中に、東大門市場でかばんを買った。これがひどく気に入って、毎日、大学に通学するたびに持っていった。ところが帰国してから、このかばんが壊れて使えなくなってしまったのだ。

そこで、また気に入ったかばんを見つけよう、と東大門市場に向かったのある。

東大門市場は、宵っ張りの町である。夜、いや深夜こそが、もっともにぎやかになる。私が着いた夜10時半頃も、やはり多くの人でごったがえしていた。

とあるビルに入り、5階のかばんフロアーに行く。

間口2間くらいの小さな小売店がひしめいている。歩いていると「シャチョウサン!いいかばんがありますよ。ちょっと見ていってください」と、日本語でしきりに声をかけられる。

私はこれがたまらなくイヤである。いろいろと話しかけられたら、おちおち商品を見ることもできない。

いつのころからか、「東大門市場では、日本語で話しかけられる店の商品は買わないようにしよう」と、思うようになってしまった。まったく、へそまがりである。

ある店の前でかばんを見ていると、「男性用かばんをお探しですか?」と、店員の若者が韓国語で声をかけてきた。

「うん。軽いかばんがほしいんだけどね」と韓国語で答えると、

「近ごろのかばんはどれも軽いですよ。これなんかどうです?最近出たデザインで、どんな服装にも合います」

若者が、早口の韓国語でいろいろと説明し始めた。早口だったが、わりとわかりやすい説明だった。

すると、どこからか同僚らしき若者があらわれ、説明しているその若者に声をかけた。

「おい、何やってんの?こっち手伝ってくれよ」

「待ってよ。いまお客さんに説明しているんだから」

「なんだい、日本人のお客さんか?」

「いや、ウリナラ(韓国)の人だよ」

なんと、私を韓国人だと思ってくれたらしい。

このまま韓国人で通そうと思ったが、それは良心がとがめた。

「実は日本人ですよ」

「え?そうだったんですか?韓国語がお上手だったのでウリナラの人だと思ってました」

これで、若者に対する好感度がさらにアップした。よし、この店でかばんを買うことにしよう。

若者の熱心な説明を聞き、いちばんおすすめのかばんを買うことにした。

値段交渉も、不愉快になることなく、実にスムーズに進む。

55000ウォン(約5500円)を40000ウォン(4000円)にまでまけてもらい、交渉成立。

こういうときは、実に気分がいい。

建物を出て、ホテルまでの道のりを20分かけて歩いて帰った。

気分がいい、ソウル最後の夜。

この1週間、いろんなことがあったが、最後の夜に救われたな。

しかし。

翌日(29日)、帰国の日。

仁川空港で時間があったので、最後の買い物でもしようと、空港の近くまであるEマートに行くために、タクシーに乗ったが、そこで3000ウォン(300円)ほどぼったくられた。

ま、昨晩、気分のよい思いをしたので、これくらいは仕方がないか。

人生、悪いこともあれば、いいこともある。

そして、いいこともあれば、悪いこともあるのだ。

(後記)

帰国後、体調を崩し、左足が猛烈に痛くなった。また例の病気が出たらしい。韓国は私の寿命を確実に縮めているようだ。

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