大雨のソウルより2 国際学術会議前夜
8月23日(月)~29日(日)
今回の旅のいちばんの目的は、26日、27日の二日間、ソウルにある私立大学で行われる国際学術会議で、研究発表することである。
少し早めにソウル入りしたのは、少しでもソウルで自由な時間がほしかったからである。
たんに学会の日程に合わせてソウル入りすれば、自由時間がまったくなくなることは、明らかであった。だから早めに来たのである。
そして今回のさらに重要な目的は、研究発表も討論も、すべて韓国語で行う、ということであった。
学会前日の25日(水)の夜6時から、海外から来る中国人研究者、日本人研究者の歓迎晩餐がある、というから、私たちにあたえられた自由時間は、25日の夜6時までである。
23日は、到着早々本屋に行き、本を大人買いした。夜は念願だったサンナクチ(タコの踊り食い)を堪能。
24日はソウルからバスを乗り継いで2時間半ほどかかる、独立記念館をはじめて訪れた。ソウルからの距離の遠さには閉口したが、予想以上に面白いないようにあふれていた。夜はソウルに戻り、サムギョプサル(豚焼肉)を堪能し、東大門市場で「スポーツマッサージ」なるものをはじめて体験した。
25日はカンナム(ハンガンの南側の地域)の蚕室(チャムシル)周辺を散策。
かくして、あっという間に自由時間が終わった。
夜6時。泊まっているホテルにもどり、主催者の先生や、今回発表する先生方とお会いする。
今回この国際学術会議を企画されたのは、私が韓国滞在中にお世話になった「鼻うがい」の先生である。
会うなり、明日からはじまる国際学術会議の論文集をいただく。分厚い本である。
「今朝、原稿を印刷屋に預けて、さっきできあがったんです」と先生。
なんと、わずか1日足らずでこの立派な製本の本が仕上がるとは!韓国にしかできない芸当である。
それにしても、こっちはすでに1ヵ月も前に原稿を送っているというのに、結局最後までみんなの原稿が集まらず、ぎりぎりになってドタバタと仕上げたんだな。やはり韓国らしい。
ところで、である。
この時点で私たちは、どのような形で国際学術会議が進められるか、について、いっさい知らされていない。私の発表が2日目の午前中だ、ということだけは知らされていたが、発表時間が何分だとか、討論者(発表の内容についてコメントしたり質問したりする人)が、どのような質問を予定しているか、などといったことは、まったく知らされていないのである。
まあ、それはいつものことだからよしとしよう。
「鼻うがい」の先生がおっしゃる。
「すいませんが、いただいた原稿には韓国語の翻訳文がありませんので、発表のときにご自身で翻訳してください」
ええええぇぇぇぇ!?聞いてないよ!
1ヶ月ほど前に原稿を送ったとき、てっきり韓国語に翻訳してくれるものだと思っていた。発表当日は、その翻訳してくれた原稿を読みあげればよい、と高をくくっていたのだ。
だから原稿を送ったときのメールで、「もし韓国語の翻訳文が完成したら、添付ファイルで送ってください」とお願いしておいた。あらかじめ、読む練習をしておくためである。
だが、翻訳文はまったく送られてこなかった。そりゃそうだ。だって、もともと作る予定がなかったのだもの。
だったら、そのことをせめて事前に言ってほしかった。こっちにも「心の準備」というものがあるのだ。
さて困った。
これから、2日後の朝までに、韓国語の原稿を作らなければならない。その上、討論者が発表文を見て書いてきたいくつかの質問にも、韓国語で回答を用意しなければならない。
だが、ひとたび学会がはじまってしまうと、夜は必ず晩餐、そして2次会が待っている。
はたして、韓国語の翻訳原稿は完成するのか?(つづく)
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