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得意の下見

最近、軽いウツ気味のせいか、日記もどこか暗い。

というか、書けば書くほど、自分の深層にあるダメな部分が明らかになっていくようで、よくないなあ。

やはり日記を公開する、というのはよくない。

来週、語学院の3級のときの先生だったナム先生が、日本にいらっしゃることになった。

で、東京の浅草とお台場を案内することになった。浅草を見たあと、水上バスでお台場に行く、という計画である。

だが、実は、浅草にはもうずいぶん行っていない。お台場に至っては、行ったことすらない。

案内します、といったが、実はまったくわからないのである。

どうしよう、と困っていたところに、研究室に4年生のA君とKさんがやってきた。

「今度、韓国からいらっしゃる先生を浅草に案内しようと思うんだが、どうだろう。面白いと思ってくれるかなあ?」

ここ最近、就職活動で東京を往復している二人なら、何か情報があるだろう、と思って、思わず聞いてみた。

A君は困った様子で、

「さあ、…人によるんじゃないですか」

と答えた。そりゃそうだな。

それに、冷静に考えれば、30年も東京で暮らしていた私が、就職活動で数回、東京を往復した学生に聞くような質問ではない。

「じゃあ、お台場はどうだろう?」

今度はKさんが答える。

「日本のテレビのことがわかってないと、キビしいかもしれませんね。何しろお台場といえば、テレビ局ですから」

なるほど、そうか。それは困ったな。

「でも、お台場に行くと、東京タワーとスカイツリーをいっぺんに見られるところがあるそうなんです」

それも、韓国の人が見て喜ぶかどうか…。

私は急に不安になった。

妻に電話をする。

「ナム先生ご一行を浅草とお台場にご案内する、て言ってしまったんだけど、実は浅草もお台場も、どこを案内していいかまったくわからないんだ」

「ふーん」妻は何かに気がついた。

「あ、また『お得意の下見』ですな」

馬鹿にしたような口調で言った。まだ、私は何も言っていない。だが、妻は私の性格をよく知っていて、「この人、絶対に前の日に下見に行こうとしているな」と思ったのである。

私はよく、人を案内するときに、案内するルートにそって事前に下見することがある。妻もそれにつきあわされたことがあり、ウンザリしているのだろう。

そもそも、私の性格じたいが、極度の不安症なので、出かける前にガスの栓をしめたかとか、家の鍵をしめたかなど、などを、何度も確認するのだ。

雨が降らないのに常に傘を持ち歩いたり

それらと同じで、「ちゃんと案内できるだろうか?」と不安になり、あらかじめ下見をしておきたい、という強い衝動にかられるのである。

だが、「そんなの、出たトコ勝負じゃん」と思う妻からすれば、つきあいきれん、というわけである。

それに、同じ場所に2度行こうとする心理が、妻にはまったく理解できないのだろう。

「どうぞどうぞ、ひとりで行ってください。浅草から水上バスにでも何でも、乗ってください」

妻はつきはなすように言った。

「それに、ドタキャンになる可能性だって、あるんだよ。『やっぱり銀座が見たいです』とか」

なるほど、たしかにそうだ。

「わかった!そこまで言うんだったら、絶対に下見になんか行かない!」

結局、話し合いは決裂したが、うーむ、この不安症、何とかならないものか。

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コメント

 お台場なら、普通にゆりかもめでレインボーブリッジを渡り、お台場海浜公園で降りて、デックス台場あたりの東京湾が見える喫茶店かレストランで一服(運がよければ近くで江頭2:50の公開放送もやってます)。中に入って「台湾小香港」か「台場一丁目商店街」(どちらも横浜のラーメン博物館みたいなもので、前者は中華、後者は昭和30年代の町並みを再現)に寄るもよし。その後パレットタウンの大観覧車まで歩いて空から東京見物をするとか、ビーナスフォートのヨーロッパ風の店内を見たり。で、時間に余裕があればビックサイトにある乗船場から水上バスで浅草へ(日の出桟橋で一回乗り換え)。
 でも、これではフツー。こぶぎのお勧めなのはズバリ「大江戸温泉物語」です。浪人風の用心棒の横をすり抜け、フロントで浴衣を借りて着替えてから更衣室の扉を開けると、なんと江戸の町並みが(お風呂はその先)。日本のチンジルパンは、忍者や若旦那、瓦版売りから、犬専用の温泉まで用意されているのだ、と自慢できます。入ってがっかりな参勤交代の湯、飛行機や貨物コンテナの風景が堪能できる露天風呂など、かなりカルチャーショックを与えることができるでしょう。

 浅草は、浅草寺の仲見世の奥、一番お寺に近いあたりの揚げまんじゅうの店がおいしいです(紅いもがお勧め)。工事中のスカイツリーも見えるでしょう。すごくお勧めなのが吉原大門の「土手の伊勢屋」の天丼なのですが、相当並ばないと店内に入れませんので敬遠かな。

 銀座は歩行者天国をやっていれば文房具のイトーヤまで歩くのもいいかと思いますが、有楽町まで行ってビックカメラで家電を見るとか、交通会館内の「北海道どさんこプラザ」で北海道好きな韓国人の琴線をかき乱すとか、H&MやZARAといったお洋服屋さんに行くとか。時間と体力があれば東銀座に歩いて(歌舞伎座は建て替え中なので)、しゃぶしゃぶ発祥の銀座スエヒロとか、築地市場手前の明朗会計そうな寿司屋とか、築地場内の食堂なんかもいいですな。コサキンでおなじみ、カレーのナイルレストランも途中にあるはず。
 大阪もんの粉食を所望されたら、東京駅の旧東京中央郵便局の南隣にある東京ビル(TOKIA)地下1階に、お好み焼のきじ、おいしいおうどんのつるとんたん、があります。有楽町のビックカメラの中には、お好み焼きの千房(ちぼう)もあるようです。

 なんか、食べてばっかりですみません。

投稿: こぶぎ | 2010年9月18日 (土) 22時16分

こぶぎさん、ありがとうございます!完璧じゃないですか!これで迷うことなく案内することができます。しかも、まさかの時の「銀座」の情報までいただき、これで心おきなく眠れます。ただし胃袋がひとつしかないのと、やや少食の方たちのようなので、紹介いただいた食べ物がどれだけクリアできるか…。そして最大の問題は、土壇場になって予定が変更になる可能性も…。うーむ。心配事はつきない。

投稿: onigawaragonzou | 2010年9月19日 (日) 01時19分

先生「キョスニム、今日突然ディズニーランドに行きたいって申しましたのに、連れて行って頂いてありがとうございました」
鬼瓦「私たちも久しぶりに行きたかったんですよ、ソンセンニム」
奥さん「ええ」(ニコニコ)
先生「でも実際に行ってみると、思っていたほど広くないんですね。ミッキーにも会えなかったし。スペースマウンテンだって随分古めかしくて、ウバンランドの方がずっと立派ですね」
鬼瓦「観光地なんて、そんなものですよ」
先生「あのう、入場ゲートに書いてあった「花」は漢字なので読めましたが、後の文字はなんて書いてあったんですか」
奥さん「ああ、『やしき』って読みます。『豪華な建物』という意味で、花は『花美男子』と同じ用法で、美しいという意味ですよ。日本語ではディズニーランドってこう呼ぶんです」
鬼瓦「さあて着きましたよ、マルベル堂。今大人気の日本の有名人のプロマイド写真のお店です。僕はこの、勝新太郎とか渥美清とか大ファンなんですよ」

この手でいきましょう。

投稿: こぶぎ | 2010年9月19日 (日) 12時40分

なんか韓国のシットコムみたいな展開ですな(笑)。

投稿: onigawaragonzou | 2010年9月20日 (月) 02時10分

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