続・面接必勝法
9月1日(水)
韓国から帰国したあと、突然左足が痛くなった。例の病気である。動くのが、かなりしんどい。
昨日、かかりつけの病院に行くが、「今日は予約でいっぱいです。明日来てください」という。
そんなこと言われても、こっちは痛くてたまんないんだけどな。
「どうしてもダメですか」
「ダメですね。午後の予約にキャンセルが出れば別ですけれど」
「じゃあ、せめて薬だけでも出してもらえませんか」
「それも無理ですね。それにいま、先生は手術中ですし」
いま、先生の判断を仰ぐことはできない、ということらしい。
「じゃあ、ほかの病院を紹介してください」
「私の判断ではなんとも…」
たしかに、受付の人では無理なことはわかっていた。しかし状況は、それどころではないのだ。
結局、なしのつぶてだった。
今日の午前中、ようやく診察を受け、薬をもらう。痛み止めの薬をふだんの倍飲んで、職場に向かった。
午後の会議を無事終え、たまっている原稿を書こうかと思っていると、ドアをノックする音がした。
4年生のA君、Kさん、Nさん。いつもの3人である。
私に不味いラムネを味見させた、「ラムネ3兄弟」である。
「実はお願いがあるんです」という。
「こんど、Kさんがはじめて就職の面接試験を受けるんです。それで、面接の練習をお願いできませんか」とA君。
私に、面接担当者の役になってくれ、というのだ。
「いままでボクとNさんが、面接官の役になって練習していたんですけど、学生どうしだとどうも緊張感がなくって…」
そんなA君とNさんは、すでに何度も、面接を受けている経験があった。だから、面接がどんな雰囲気だとか、どんな質問が出るか、といったことは、熟知しているのである。
だが、いかんせん友達どうしの練習では、緊張感に欠ける、というのだ。
そこで、急遽、面接の練習がはじまる。
もちろん、私の研究室は散らかっていてダメなので、他の部屋を使わせていただくことにする。
ドアをノックして入ってくるところからはじまる。本番さながらの練習である。私が面接の主担当、A君が副担当になり、Nさんは書記である。
手もとの「面接カード」をみながら、質問をはじめる。
Kさんは、どんな質問にも、よどみなく答えていた。これまで相当準備していた様子がうかがえる。
だがこれでは練習にならない。想定にない質問をしなければ意味がない。
「『最近関心をもっていること』に○○○とありますね」と私。
「はい」
「では○○○の対策に必要なことを、3つあげてください」
唐突に「3つあげろ」とは、意地悪な質問だが、それでもKさんはよどみなく答えたのである。
そんなこんなで、20分の面接時間が終了。
かなりよくできていた。
面接終了後、他の2人からもKさんにコメントがあった。「一番初めの練習のときよりも、格段によくなった」と、高評価である。
すごいな、と思うのは、あたりまえのことだが、3人が3人とも、真剣にとりくんでいる、ということだ。前向きな姿勢もすばらしい。
書記を担当したNさんは、面接のあいだ、やりとりの様子を克明に書きとめ、それを終わってからKさんに渡していた。今回の練習をふまえて、さらに上をめざすために、である。
短期間で格段によくなっていく、というのも、理由があることなのだ。
うーむ。やはり学んだのは私の方だったな。
やってみて、こちらもいろいろなことがわかった。
「3つあげる」方式は、なかなかいいんじゃないか?
たとえば、「どうしてわが社で働こうと思ったのかを教えてください」(民間)とか、「わが町(県)の魅力はどういうところにあると思いますか」(公務員)といった質問が仮に出たとする。
「3つあります。それは、…」
と、答えを常に3つ用意しておけば、ほとんどどんな質問にも対応できるのではないだろうか。まさか、「4つあげなさい」とか「5つあげなさい」と指定する質問は出ないだろう。
それに、最初に「3つあります」と述べた方が、聞いている方も頭の整理がしやすい。
次に、長所や短所を述べる場合である。どういう点を短所として述べるべきかについては、前に書いた。
その、短所を述べる場合、具体的な例をあげたほうがわかりやすいかも知れない。
たとえば、
「自分は慎重すぎる点が短所です」
と言ったとする。だがこれだけでは漠然としていてよくわからない。
「この前も、家のガスの栓を閉めただろうか、とか、家の鍵を閉めただろうか、といったことを、何度も何度も戻って確認したせいで、バスに乗り遅れてしまいました」(これは私の実話)。
こういった実例をあげれば、聞いている方もわかりやすい。それに、この種の実例は、一種の「あるあるネタ」として受け入れやすいのである。
そしてなにより重要なこと。
それは、「場数をふむこと」である。
向上心をもってくり返し練習することだ。
Kさんは、それを証明してくれたのである。
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