「キョスニムと呼ばないで!」開店準備その2
10月22日(金)
昨日、一昨日と、左足がひどく痛かった。こういうときは、気持ちもウツ状態になり、なんともテンションの低い授業になってしまった。
痛み止めの薬を飲んでだいぶマシになったが、まだ少し痛い。
今日は朝から1日、「営業」で県内の高校を3校まわった。気が重い仕事だが、ひさびさに車で1時間半ほどの町に行ったおかげで、ちょうどよい気晴らしになった。
夕方、職場にもどると、学生たちがすでに明日の大学祭の準備をしていた。
しばらく研究室で仕事をしていると、学生が来た。
「あの、…いま明日出すチヂミにかけるソースを作っているんですが、味見していただけますか?さっきからみんなで試行錯誤で作っているんですが、だんだん味がわかんなくなってきちゃって」
オリジナルのソースを開発しているらしい。
「このソースがうまくいけば、先生のお名前を冠したソース名にしようと思うんです」
おいおい、それは勘弁してほしい。もしそのソースの味がイマイチだったら、私の味覚に問題がある、ということになってしまうではないか。
それでなくとも、店には私の顔がデカデカと描かれている看板があるのだ。客が見たら、まるで私が料理を監修しているように思うだろう。それは困る。
気が気でないので、ソースを作っている部屋に行ってみる。
すると、すでにボールに半分ぐらいのソースができている。周りには、とんかつソース、ケチャップ、醤油、マヨネーズ、豆板醤、といった調味料が並んでいた。
「どうぞ」
ソースを味見する。
……
なんとも、微妙な味である。というか、おいしくはない味である。
それもそのはずである。これらは、学生の家に置いてあったあり合わせのとんかつソースだの、ケチャップだの、ハーフアンドハーフのマヨネーズだの、しょう油だの、豆板醤だのを、いたずらに、そして乱暴に混ぜただけだからである。
「うーむ。なんか違うんだよなあ」と私。
「いや、いまチヂミがないからそう思うんで、チヂミにつけて食べたら、けっこういけると思いますよ」とA君。
「そうかなあ」私が訝しむ。
「おかしいですねえ。前はうまくいったんだけどな…。ちょっととんかつソースが足りないのかな…」
そう言うと、A君はドボドボととんかつソースを足しはじめた。
ボールのなかのチヂミソースが、みるみると増えていく。
なるほど、味見をしながら注ぎ足していったから、こんなに大量になってしまったんだな。
だが私の経験上、あれやこれやとつぎ足しながら場当たり的にソースの味をととのえようとすると、最後には必ず失敗する。
このソースも、しだいにその法則のとおりになっていった。
「でも、私はこれ、いけると思いますよ」とKさん。Sさんもこれに同意した。
でもなあ。
彼らは以前、私に「毒ラムネ」を飲ませた、という前科があるから、どうにも味覚が信用できないのだ。
そもそも、あり合わせの調味料を乱暴に混ぜ合わせる、という方法をとった時点で、ムリがある。
あらためて、仕切りなおし。とんかつソースではなく、おたふくソースに、そして、ハーフアンドハーフのマヨネーズではなく、ふつうのマヨネーズにして、別のボールに新しいソースを作りはじめた。
ふたたび味見をする。
「さっきよりはいいかなあ」
だが、もはや舌がバカになっていて、おいしいのかどうかもよくわからない。
そもそも、なぜソースとケチャップとマヨネーズとしょう油と豆板醤を混ぜるのかが、よくわからなくなってきた。
はたして、オリジナルソースはうまくいくのか?
答えは、明日と明後日の大学祭で!
…そうそう、大学祭のパンフレットを見てみたが、店名「キョスニムと呼ばないで!」は、センスとインパクトの点では、ほかのどの店名よりもまさっていたぞ!と、また自画自賛。
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