« 肩の荷がおりた日 | トップページ | 「キョスニムと呼ばないで!」DVD完成! »

槍は宝蔵院流

このところ、自信を失う日々。「力が足りないなあ」と痛感する日々である。

そんな時は、テレビ時代劇「新選組血風録」を見ることにする。

1965年にNET(現テレビ朝日)で放送された連続テレビ映画。全26話。いまから45年前、私が生まれる前に放映されていた時代劇である。

私は、司馬遼太郎にも、新選組にも、まったく思い入れがない。だが、この時代劇だけは、称賛してやまない。時代劇、いや、人間ドラマの最高傑作である。これをこえる時代劇を、私は知らない。

おそらく、結束信二の、人間をよくとらえた脚本と、それをみごとに演じた舟橋元(近藤勇)、栗塚旭(土方歳三)、島田順司(沖田総司)、左右田一平(斎藤一)など、俳優陣たちによるところが大きい。まるで、幕末の姿をそのまま映し出したかのごとくである。

なかでも好きなエピソードは、第11話「槍は宝蔵院流」。

宝蔵院流の槍の名手である谷三十郎は、自分の息子を局長・近藤勇の養子にして、近藤と姻戚関係をつくる。その威を借りて、新選組のなかでも権勢をほこっていた。いちおう「槍の名手」と言われているが、本当のところはだれも評価できない。

プライドが高く、自信家で、部下に対しても高圧的である。責任を部下に押しつけたりする。典型的な、自己保身タイプの人間である。

つまり、会社でいえば、「厄介な上司」である。

割を食うのは、年下の同僚、斎藤一。黙々と仕事をして、自己主張をしない斎藤に対して、それをいいことに、谷は斎藤にあらゆる責任を押しつける。

まわりもそのことを知っているが、谷のプライドを傷つけるわけにもいかないので、オモテだって谷を批判することはできない。だが、みんなが苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。

あるとき、谷の率いる七番隊と、斎藤の率いる三番隊に、大坂出張が命ぜられる。谷の率いる七番隊だけでは心許ないから、精鋭部隊である斎藤の三番隊が同行させられることになったのである。

斎藤はいわば、谷の尻ぬぐい役となったわけで、どうにも割を食った、という感じである。

気心の知れた同僚(井上源三郎)が見かねて、「ま、一(はじめ)さん、上手くやんなさい」と慰めると、斎藤は、

「ン?…ま、どうってことないよ。仕事だからね」

と、まるで自分に言い聞かせるように答える。

私はこの、「どうってことないよ。仕事だからね」というセリフが大好きで、そのためだけに、この回を何度も見るのだ。

「ま、どうってことないよ。仕事だからね」

この言葉で、たいていのことは乗りきれるような気がする。

うーむ。文字でわかってもらうのは難しい。実際にドラマを見た人でないと通じない話だな。

で、このあとどうなったかというと…。

ネタバレになるので書かない。

|

« 肩の荷がおりた日 | トップページ | 「キョスニムと呼ばないで!」DVD完成! »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 肩の荷がおりた日 | トップページ | 「キョスニムと呼ばないで!」DVD完成! »