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仕事納め

12月28日(火)

2010年、仕事納めの日。

しばらく音沙汰のなかった出版社2社から、「原稿はどうなっていますか?」という催促メールが来た。

仕事納めの日に、「駆け込み催促」をしてきたのだろうか?だったら、慌ただしい仕事納めの日なんかではなくて、もっと早く催促してくれればいいのに…と、自分の原稿が遅いのを棚に上げて、パソコンの画面に向かって文句を言う。

4年生には、「年内に1度、卒論の進捗状況を報告しなさい。できたところまでを、1度は見せに来なさい」と言っておいた。仕事納めの今日が、事実上、年内最後の日である。

なんだ。これではまるで、出版社が私に「原稿の進捗状況を知らせてください」と言ってきたのと同じではないか。思わず苦笑した。

午後、4年生の数名が、卒論の下書きを持ってきたので、読んでいると、廊下をドタドタと走る足音が聞こえ、やがて私の研究室の前で止まった。

「よかった。先生、いらっしゃったんですね」

3年生のSさんである。就職活動で忙しく飛びまわっているSさんが、先日「年内に1度先生のところにうかがいます」とメールをよこしたのだが、なかなか時間が合わなかった。仕事納めの午後、ようやく私をつかまえられたのである。

卒論を読むのを中断し、最近の就職活動の様子についていろいろと話を聞いた。

就職活動は、大人が考える以上に大変で、精神的に追いつめられることもしばしばである。とくにこの不景気の時代には、本人の精神力の強弱とは無関係なところで、問答無用に追いつめられるのである。

「この前、初めて3年生だけで集まって、忘年会をやったんです」とSさん。

「その時、同期の友達といろんなお話しをして、悩んでいるのは私だけじゃない、ということに気づいて、気持ちがとても楽になったんです」

そう。そうなんだ。「悩んでいるのは自分だけじゃない」という、こんな簡単な真理に、人はしばしば気がつかない。

そして、「話をする」ことで、抱えている悩みのいくぶんかは、解消されるのだ。

「年が明けたら、またうかがいます」Sさんは研究室を出た。

ふたたび卒論の下書きに目を通し、ひとりひとりにアドバイスをする。

終わってから携帯電話を見ると、留守電が1件。メールが1件入っていた。

留守電の主は、昨年度の卒業生のT君。メールの主は、6年前の卒業生のH君である。2人とも、実に久しぶりに連絡をくれたのだった。

偶然なことに、その2人は、いまは教師として教壇に立っている。留守電とメールは、その近況報告だった。

卒業年度の違う卒業生が、同じタイミングで、「現在教師をしています」という近況報告をしてくれたのが、なんとも嬉しく、そして不思議な感じだった。

これも、仕事納めの日だったからだろうか。

H君からのメールに、こうあった。

「先生が執筆した本を、帰省先の本屋でたった今購入しました。これからコーヒー片手に読むところです」

たぶん、最も幸せな読まれ方だろうな、と思った。

仕事納めの日。職場は静かだったが、私にとっては、慌ただしく、そして不思議な1日だった。

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