« 「バブル期大学生」の文体 | トップページ | やっぱり、というニュース »

文化系スポ根ドラマ

私は、気に入った映画やドラマを何度も見る。

気に入った場所にも、何度も行きたい、と思う。

だが妻は、そんな私の行動を「考えられへん」と言う。「限られた人生なのだから、ひとつでも新しい映画やドラマを見た方がいいじゃないの」。

何度も同じ映画を見る、というのは、人生においてもったいない、というのだ。「守りに入っている」「守旧的」とも非難される。

これは自分だけなのだろうか?不安になったので、忘年会の折に同僚に聞いてみると、「同じものを何度も見るなんて、たしかに考えられませんねえ。でもたしかに、家族の中に、同じものをくり返し見る者もいて、なんてもったいないんだろうと思います」という。

なるほど、どこでも同じ問題を抱えているようだ。いずれにせよ、「同じものをくり返し見る」というのが、私だけではないことに安心した。

だが、問題はそれだけではない。

映画やドラマに対する趣味が、私と妻とではまるで違うのだ。

妻は、「どんでん返しに次ぐどんでん返し」的な、先の展開が読めないような物語が好きなのだが、それに対して私は、「ダメな人たちが、さまざまな問題にぶちあたりながら、それを少しずつ克服していき、最終的には絆を強めていく、という群像劇」が好きなのだ。

いままで見た日本のドラマでベスト3をあげろと言われれば、

「高原へいらっしゃい」(山田太一脚本、田宮次郎主演、1976年)

「寂しいのはお前だけじゃない」(市川森一脚本、西田敏行主演、1982年)

「王様のレストラン」(三谷幸喜脚本、松本幸四郎主演、1995年)

うーむ。どれも同じ傾向のドラマだな。じつに偏っている。

20100106_1919909 そんな私がいま見ているドラマが、「ドラゴン桜 韓国版」(原題「コンブエ シン」(「勉強の神」))である。

韓国滞在中、リアルタイムでさんざん見たドラマなのだが、たぶん、これまで見た韓国ドラマの中で、いちばん好きなドラマであり、日本でDVDが出たのを知って、さっそく購入し、くり返し見ているのである。

「考えられへん」と妻が思う理由のひとつは、同じドラマをくり返し見る、という行為が、まったく理解できない、という点。

もうひとつの理由は、「ほかにもいろいろ面白いドラマがあるのに、なぜこのドラマを面白いと思うのか?」という点。

だが、このドラマは、私が好きな、、「ダメな人たちが、さまざまな問題にぶちあたりながら、それを少しずつ克服していき、最終的には絆を強めていく、という群像劇」というタイプに、ピッタリとあてはまるのだ。

しかも、このドラマのテーマは「受験勉強」である。

運動が苦手だった私は、野球やサッカーをテーマにした「スポ根もの」は、あまり得意ではない。

私が高校時代にやってきたことといえば、「吹奏楽」と「受験勉強」。だから、これらを題材にした話ならば、あるていど感情移入できるのである。いってみれば、「文化系スポ根もの」である。

しかも、このドラマは、登場人物の演技がどれもすばらしい。なかでも、ハン・スジョン先生役を演じたペ・ドゥナの演技は、秀逸である。

いま、「好きな女優はだれですか?」と聞かれれば、日本の女優などには目もくれず、迷わずペ・ドゥナと答えるだろう。

なかでも印象的なのは、第13話で、ペ・ドゥナ演じるハン先生が自分のカメラで、生徒5人の入学願書用の写真を撮るというシーン。

生徒の顔写真を自分のカメラで撮る、というだけの、なんでもないシーンなのであるが、しかしハン先生は、ファインダーごしにのぞいたひとりひとりの生徒の顔を見ながら、感極まって涙を流してしまう。それまでみんなで一緒に頑張ってきた思い出が、よみがえってきたのである。

あんな芝居ができる日本の女優を、私は知らない。まさに、神がかった演技である。

私は、最近このドラマを見ては、泣いている。嗚咽、といった方が近いかも知れない。

そんな、キム・スロ(日本のドラマでは阿部寛が演じた、本ドラマの主役)と同世代のアジョッシ(おじさん)である。

|

« 「バブル期大学生」の文体 | トップページ | やっぱり、というニュース »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

 僕もやはり旅行は行ったことのない場所へ行きたいし(韓国は除く)、本も一度読んだらそれっきりなタイプですが、こちらは歌番組を主体に見ているので、歌手の活動期間が限られているK-POP界の仕組み上、活動終了してから次にカムバックするまで、下手すりゃ何年間も、撮りためた歌を繰り返し見て過ごしますな。バラエティ番組も韓国王道のスラップスティックは笑いのツボに入らず、最近は「私たち結婚しました」に「ランニングマン」、「ハッピートゥギャザー」あたりの、見てわかる「お約束」ありなものを繰り返し見ちゃいます。

 考えれば「お気に入り」を繰り返し視聴なんてのは、レンタルビデオ屋が普及するまでは読書と音楽くらいでしか可能にならなかった訳で、テレビ番組も録画に失敗すればそれっきり、映画だって名画座に次にかかるまで、何年も待ってました。そう考えると、贅沢な視聴の仕方ともいえますな。

 ちなみに、最近のドラマでは視聴率も外泊中の「メリーは外泊中」を下車しまして、話題の「アテナ:戦争の女神」を見始めましたが、2話の夢オチシーンで「ハテナ」となりまして、今後どうしようかなあと思っています。やっぱり「花より男子」をもう一度みよーっと。

追伸:だめな人(変わった人)たちがダメなままで終わるのでよければ、もうお読みかもしれませんが、西村淳「面白南極料理人」がお勧め。

投稿: こぶぎ | 2010年12月22日 (水) 01時58分

この前自分でビックリしたんですが、小学生の時に見た映画「宇宙戦艦ヤマト」を久しぶりに見かえしたら、セリフをけっこう覚えていたんです。ビデオがない時代には、それなりに真剣に見て覚えていたんですね。くり返し見るのが贅沢なのか、1度のチャンスを逃さずに見るような生活が贅沢なのか…。あの時代も、けっこう贅沢だったような気がします。

投稿: onigawaragonzou | 2010年12月23日 (木) 00時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「バブル期大学生」の文体 | トップページ | やっぱり、というニュース »