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いまさらワクチン

いまさら「ヨン様」に続く、「いまさら」シリーズ第2弾。

1月19日(水)

私は病院に行くのが嫌いである。

そのいちばんの理由は、病院に行って、医者の先生に「何でこんなになるまで放っておいたんですか!」とか、「もっと早く来なきゃダメじゃないですか!」と言われるのが、イヤだからである。

しかし、イヤとばかりは言っていられない。

私のまわりの学生が、軒並みインフルエンザにかかっているのである。

今朝、「インフルエンザにかかったので今日の授業を休みます」と、学生からメールが来た。

学生たちだけではない。同僚の息子さんがインフルエンザにかかった、という話を聞いたり、はては私と同い年の元同僚が予防接種を受けなかったばっかりに39度の高熱を出して寝込んだ、という情報まで飛び出し、さながら私の周りはインフルエンザの患者であふれている。もっとも、「元同僚」は私の勤務地からはかなり離れたところにいるので実はあまり関係ない。だが、「同い年」がインフルエンザにかかった、という情報が、決め手となった。

急に不安にかられた私は、仕事の空き時間にインフルエンザの予防接種を受けに行くことにした。

かかりつけの整形外科に電話をする。

「いまからインフルエンザの予防接種、できるでしょうか?」と私。

「できますよ」

「あのう、…いまから予防接種を受けても手遅れでしょうか?」

「フフッ…そうですねえ。いままさに流行の兆しですからねえ。でもまあ、手遅れということはありませんよ」

電話の向こうで半笑いの顔が浮かぶ。

いまさらかよ!バカだなあ、と心の中で思っているんだろうな、と例によって被害妄想が広がる。

「抗体ができるまで3週間かかりますのでねえ。…でも、予防接種を受けておくにこしたことはありません」

「あのう…」私は続けた。

「何でしょう?」

「注射、痛くないでしょうか?」

「フフッ…」電話の向こうで鼻で笑われた。「そりゃあ少しは痛いでしょうが、大丈夫ですよ」と、私に諭すようにいう。

いい歳をしたオッサンが、こんな質問をしたのには、理由がある。

2日ほど前、叔母と話をしていたときに、たまたまインフルエンザ予防接種の話になった。叔母が先日予防接種を受けたときに、一緒に受けた叔父が、後々に至るまでかなり痛がったというのである。「ずいぶん痛がっていたのよ」

「痛がり」な私としては、その辺りが心配だったのだ。

だが背に腹は代えられない。急いで病院に行くことにした。

すると一瞬で注射が終わった。痛みもほとんどなかった。

「これだけですか?」と私。

「そうですよ。あとはふつうの生活をしてくださってけっこうです」

なんか拍子抜けした感じである。

「ただ、30分くらい様子を見て、異常が起こったら連絡してください」

「異常…ですか…?」また不安をあおられた。

「まあ、ないとは思いますけど。まれに風邪に似た症状になったりするんですよ」

「わかりました。じゃあ、30分くらい待合室で様子を見て、何かあったらすぐに連絡すればいいんですね?」と私が言うと、

「でも、ここは整形外科ですから、何かあったら内科の病院に行ってください」という。

どういうこっちゃ?

まあよくわからんが、何ごともなかったので、職場にもどった。

さて、なぜ私は、いまさら予防接種を受けようと思ったのか?

それは、「病は気から」ということを、半ば本気で信じているからである。

これも2日前、母と話していて思い出したのだが、私は中1の時、虫垂炎、いわゆる「盲腸」にかかって、手術をした。

あるとき、中1の保健体育の授業で、虫垂炎の話題になった。その時、ジャガー横田にそっくりの保健体育の先生がおっしゃった。

「盲腸(虫垂炎)にかかると大変よ。あれは、いつ急になるかわからないから、高校入試の直前にでもなってしまったら、取り返しがつかないわよ」

私はそれを聞いて、急に不安にかられた。

そしてその翌日、私は虫垂炎になって、2週間入院した。

韓国留学中も、似たようなことがあった。

あるとき、語学院の授業で、先生がおっしゃった。

「留学でいちばん大変なのは、お医者さんにかかることですよね。健康には十分注意してください」

その話題が出た翌日、原因不明の腹痛に襲われた。

つまり私は、必要以上に不安をあおられるとその病気になるのである。

私がこの期に及んであわててワクチンを接種しようとしたのは、そんな理由からなのである。

…たんに厄年をすぎたオッサンが、インフルエンザの予防接種を受けにいった、というだけの話なのだが。「どうでもいい話」の極致だな。文章にキレはないし。

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コメント

予防接種お疲れ様です。
私の職場も、インフルエンザが横行しています。
私の上司は、熱が出てから、気力で熱を下げ、予防接種しにいってました。その上司は毎日雪降る町を、自転車で爆走しています。S氏です・・・
ちなみに前年度、新型インフルエンザにかかって、会社から強制休暇頂いたときは、熱は辛かったのですが、嬉しかった事を覚えています。まずは、病は気からです。御身体を大切に!

投稿: バナナガール茶話 | 2011年1月20日 (木) 10時14分

 キレのない文章とご謙遜なさっていますが、予防注射打つのになぜか整形外科に行っているあたりで、こちらには笑いが起こってるんですけど。漫才技法で言うとすかしボケってやつですな。
 ま、かく言う私めも、水疱瘡かなんだったかを子供の時に打ち忘れて、30過ぎてから小児科医院で打ったことがあったような。

 感染症サーベイランス(インフルエンザ)というページ(URL貼っておきます)でインフルの流行を時々見ていますが、一昨日なんか日本列島が真っ赤っかでピークみたいですね。ご自愛を。

投稿: こぶぎ | 2011年1月21日 (金) 07時53分

たしかに整形外科で予防接種を受けたと職場で言ったら、同僚にゲラゲラと笑われました。
しかしいいこともあるんですよ。内科の病院で予防接種を受けた学生が、病院の待合室で風邪をうつされたそうです。そのとき私は「整形外科だったら風邪をひいている患者がいないからうつされる心配はないだろう。だから予防接種は整形外科にかぎる」と、「目黒のさんま」みたいなことを言うと、「なるほど、それもそうですね」と納得していました。これからは整形外科で予防接種を受けるのがブームになるのではないでしょうか。…いえ、決して負け惜しみではありません。

投稿: onigawaragonzou | 2011年1月21日 (金) 16時53分

 なるほど、ということでググってみると、小児科、耳鼻科、皮膚科、産婦人科、循環器科に神経科、なんと眼科でも予防注射しているではないか。でも、おすすめは「穴場」だけに肛門科ですが。ちなみに接種しないのは歯科ぐらいしかありませんでしか。

投稿: こぶぎ | 2011年1月22日 (土) 22時16分

私の職場でも、インフルエンザ大流行で6人中、3人がダウンで施設成り立たねえよ!な状態になっております(つд`)
私も予防接種、痛そうで受けてないのですが、読んでいたら、なんとかなるの……か……?という気持ちになりました。
注射怖い!注射痛い!は全人類の合い言葉だと思います(笑)
そして、ついついうっかりフヒッと笑い出してしまうので、文章にキレがないなんてことはありませんよ!!

人とたくさん接するお仕事ですから、体調お気をつけ下さいねー!!

投稿: S木 | 2011年1月24日 (月) 09時47分

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