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電話2

2月10日(木)

今日はなにかと忙しい。

だが、昨日のコバヤシからのメールに返事を書かなければならない。

昨日、コバヤシから来たメールは、次のようなものだった。

「福岡のコバヤシです。どうも。例の披露宴は出席することにしましたが、二次会の方は夜になり、そうなると東京に連泊しなければならず、どうしようか迷っています。貴兄が二次会にも出席するのであれば、私も出席せざるを得ないかと考えておりますが、どうしますか?ちなみに、披露宴での我々のスピーチは漫才になってしまうからという理由で却下されており、二次会でスピーチ=漫才?を期待されているようです。では」

このメールに関する感想は、昨日このブログに書いたとおりである。

今日、私は次のように返事を書いた。

「コバヤシ殿。私は結婚式の2次会に出席しない「主義」なのですが、どうしましょうかね。「主義」を曲げて行くことにしましょうか。しかし、2次会をやるんですか。知りませんでした。驚きです。2次会に参加するのはまあよいとしても、そこで漫才をしても誰も聞かないと思いますよ。やめた方がいいと思うけどなあ。ま、最終判断は貴兄にまかせます。では」

すると、夕方になってコバヤシから返事が来た。

「まずは返信ありがとうございます。でもまったく私のメールに対する回答になっておりませんね。このままメールをやり取りしても事態は進展しないと思いますので、のちほど電話させていただきます。では」

うーむ。あの返答ではやはり埒があかなかったか。

夜になって、コバヤシから電話が来た。

「何なんだあのメールは?取引先の相手の目の前で吹き出しそうになったじゃないか!」

どうやら商談中に私からのメールを見てしまったらしい。

「2次会に行くか行かないかを聞いているだけなのに、何だよ「2次会に出ない主義」って!たかが2次会に出る出ないで「主義」だなんて、相変わらず大げさなんだよ!」コバヤシが呆れて言う。「それになんだよ、最終判断は俺にまかせるって!」

しかし私からしたら、「おしかけスピーチ」を提案したことの方が問題だ。

「何でスピーチをしたいなんて、そんなみっともないこと、こっちから提案したんだ?」私が詰問する。

「だって、お前、やりたいだろ?」

「いや、やりたくなんかないよ」

「いや、お前ならやりたいはずだ」

しばらく押し問答がつづいた。

「本当にやりたくないんだよ」と私。

「でも当日になってみろ。もしお前ではなくてほかの奴がスピーチをしたら、『俺のスピーチの方がもっと上手くできたんだがなあ』と、あとで絶対グチグチ言うに決まってんだ」

「……」

返す言葉がない。たしかにそうやって愚痴る自分の姿が目に浮かんだ。しかし、やりたくないのは真実だ。

「だから俺が気を利かして提案してやったんだ」

いかん、何とか反論しなくては。

「だいたい、スピーチを自分から立候補するなんて、自意識過剰なんだよ!ああいうものは向こうから依頼が来るのを待つもんだ」

「自意識過剰なのはお前の方だろ!…まったくめんどくせえ奴だ」コバヤシは再び呆れた。

「で、けっきょくどうすんだ?2次会行くのか?行かないのか?それによっては、東京に連泊しようかどうしようか考えなきゃいけないんだからな」

「招待のハガキが来れば行こうかとは思うけど、まだ来てないからなあ…」と私。

「なんだい、お前の「主義」はその程度だったのか」コバヤシが私をからかった。

「…ま、2次会に行く行かないにかかわらず、せっかく久しぶりに会うんだし、仲間もたくさん来るだろうから、その日に帰るなんて言わずに、もう1泊していけよ」

「…そうそう、それだよ!」コバヤシが言った。

「え?」

「最初からそう言ってくれれば、こっちだって東京に連泊しようって、決められるんだ。なにもまわりくどく「主義」だ何だなんて言わなくったってよかったんだ」

「…そうか…、そういえばよかったのか」

「そうだよ。よかったよかった、結論が出て。実は電話しても結論が出ないんじゃないかって、心配してたんだ。高校時代なんか、部活のコンパに行く行かないで3時間くらいああでもないこうでもないと長電話してたこともあったしな」

再び私は返す言葉がない。

「とにかく、お前も成長したってことだ。よかったよかった」

かくしてコバヤシとのバトルは終了。3月の再会を約束した。

いかん。コバヤシと電話をすると、高校時代の「厄介でまわりクドくてグチグチした性格」がめいっぱい出てしまうな。

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