仰天提案、却下!
2月9日(水)
1カ月ほど前、福岡に住む高校時代の友人、コバヤシから電話があったことは、すでに書いた。
で、その時にコバヤシにこのブログの存在を教えたら、読んだとみえて、数日してからメールが来た。
「オチがあるんだか無いんだかわからないような文章が、相変わらずお前らしい」
という感想と、
「ただ、電話のやりとりの一部始終を書かれたのには閉口した。あれではまるで、オレがダメ出しばかりしているイヤなヤツだと思われるじゃないか」
というクレームが書かれていた。
「閉口した」という言いまわしが、いかにもコバヤシらしい。
ただ、なんだかんだクレームをつけても、メールの様子からはまんざらでもないような感じに思えた。
ということで、続きを書く。
さて、じつはその時の電話の本題というのは、「高校時代の吹奏楽部の1学年下の後輩どうしが、3月に結婚することになった」ということだった。OとFさんである。
OもFさんも、高校時代はもちろん、卒業してからもよく会っていたので、ご両人とも私にとっては「かわいい後輩」である。それは、コバヤシにとっても同じだった。
「そこで提案なんだが…」とコバヤシ。
「披露宴のスピーチで、2人で漫才しよう」
仰天の提案である。
「ま、漫才?正気か?」と私。
「だって、あの2人が結婚するんだぜ。2人をいちばんよく知ってる俺たちが祝福しなくてどうする」
「それはそうなんだが…」
私が意外だったのは、ふだん、そんな気の利いた提案なんぞしたことのないコバヤシが、これまでにないようなハイテンションで、とんでもないことを言いだした、ということである。たぶん、酒でも飲んでいるのだろう。
「イヤだよ、俺」と反論すると、
「またはじまった。イヤだイヤだ、と言いながら、お前、本当はやりたいんだろう。それがお前の性格だ」
さすが、コバヤシは私の性格を知りつくしている。
だが、今度ばかりは、本当にイヤなのである。だいいち、おごそかな披露宴で内輪ウケの漫才をすることほど、寒いことはないのだ。コバヤシにはそれがわかっていない。
ま、めでたい話を聞いて、よっぽど嬉しかったんだろうな、と察した。
さて、今日、コバヤシからメールが来た。
「2次会には出席しますか?貴兄が出席するんなら、私も出席します」という内容である。
2次会も開くのか。はじめて知った。私は結婚式の2次会には、極力出ないことにしているのだが…。
メールには続きがあった。
「ちなみに、披露宴での我々2人のスピーチは、漫才になってしまうという理由で却下されました。でも2次会では期待されているようです」
ええぇぇぇ!?本人たちに提案したのかぁぁぁぁ!?
信じられん。
私はこれまで披露宴のスピーチを頼まれたことが何度もあるが、そのたびに、それがプレッシャーとなって、憂鬱な気持ちになるのだ。だから、祝福したい気持ちはあっても、自分からスピーチをしたいなどと思ったことは、ただの一度もない。
それに、冷静に考えてみろ。披露宴で漫才スピーチが許されるわけないだろ!家族や親族が集まって、一生に一度の大切な思い出の舞台である。高校時代の恥ずかしい話を暴露するようなスピーチをしたら、それこそ台無しである。
それに加えて、結婚する2人は、もはや世間知らずの若者ではない。さまざまな人生経験を経てきた2人である。その分別ある2人に対して、いまさら高校生のノリでしゃべる、というのも、2人に対して失礼である!
じゃあ、少しくだけた2次会でなら大丈夫か?
それも否である。
だいたい、2次会で漫才をしたって、これまた寒いだけだし、そもそも、2次会でのスピーチなんて、誰も聞いちゃいないのだ。
「まったく、厄介な先輩たちだ」と、主役の2人も思っているに違いない。
やめておいた方がいいぞ、静かに祝福すれば十分だ、と思うのだが、はたしてどうなることやら。
例によって、最終的な判断は、コバヤシにまかせよう。
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