本日は快晴なり
2月19日(土)
昨日は、東京の隣県で研究会があり上京した。研究会の後、1カ月の滞在を終えて韓国に戻る韓国人の知り合いの送別会があり、上野のホテルに戻ったのが、夜12時近くであった。
早朝に上野駅を出発したのは、朝10時から、勤務地の近くのT町で、近隣の大学の学生たちによる卒業論文発表会があるためである。
今年で6回目を迎えるこの会は、近隣の大学で同じような専門を勉強している学生たちの交流の機会として、毎年この時期に開催されている。地方に住んでいると、近隣の大学で同じような勉強をしていても、交流をはかる機会がほとんどない。まさに「隣は何をする人ぞ」の世界である。近隣の大学の仲間の様子がわかれば、それはいい意味で刺激になる。だからこれは貴重な機会なのである。
私はこの発表会にほぼ毎年、発表者として学生を1人を推薦している。今年も私の指導学生であるSさんを推薦した。
朝9時8分、T駅に到着すると、3年生のE君と2年生のN君がすでに到着していた。発表者のSさんの応援団である。
前日にT駅の駐車場に置いておいた私の車に乗り、会場に向かう。本日は快晴である。
会場に着くと、すでに発表者のSさんが到着していた。
「昨日、発表の準備をせずに、ドラマを見ちゃったんです。どうしましょう」とSさん。
ま、研究発表の前日なんて、そんなもんだ。
「あと、映画も見ちゃったんです。『白夜行』」
いま、公開中の映画である。
「先生は、『白夜行』見ない方がいいと思います」
Sさんは、私が『白夜行』の原作に思い入れがあることを知っているようだ。
「やっぱりね。じゃあやめとくわ」と私。
発表会が始まった。今年は、近隣の大学の4年生3人と、修士2年1人の合計4人である。
さて、Sさんは、卒論の内容のほぼすべてを1時間にわたって喋りきった。決して早口にならず、終始落ち着いていた。これだけじっくり卒論を発表させてもらう機会は、おそらく他にはないだろう。
発表を聞きながらレジュメを目で追っていくと、何度も読み間違いをしたり、誤字がいくつも判明したりと、何度となくヒヤヒヤしたが、まあそれはご愛嬌。
多少ひいき目かもしれないが、4本の発表の中でSさんの発表が一番レベルが高かったように思う。とまあ、例によって自画自賛。
娘のピアノやダンスの発表をヒヤヒヤしながら見ている親の気持ちって、こんな感じなんだろうか。
午後3時半過ぎ、発表会は終了した。ギャラリーは少なかったが、志と刺激のある発表会だった、と思う。
ひがみ半分で書かせてもらうと、この日、職場ではいくつもの大きな行事があった。その中には、たくさんのお金を使い、有名人や地位のある人を呼んだりする行事もある。私にはまったく興味もないし、関心もない。
この発表会は、そうした派手な行事とは、いわば対極にある。おそらく、こんな行事が行われていることなど、同僚は誰も知らないであろう。だが、もう6回も続いているのだ。
予算がついているわけでもない。当日の参加者から500円ずつ集め、みんながボランティアである。究極の手弁当行事、といってよい。
だが私は、こうした手作り行事が好きである。志のある人たちだけが集まる会。それこそが、理想ではないか。いくらお金を集めたとか、どれだけの人数を集めたとか、どんな偉い人が来たとか、そんなことなど、まったく意味がない。大事なことは、人の心にどれだけ深く刻み込まれるか、である。参加をした人たちが、どれだけ自分の糧にできるか、である。
その意味で、今回の手作り発表会は、発表した人や、それを聞いた人たちに、何かを確実に残しただろう。
そう信じたい。
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