電話3
3月4日(金)
うーむ。じつに困った。
例の、披露宴のスピーチの件である。
高校の1つ下の後輩である、オオキとフジイさんの披露宴で、私が高校時代の親友・コバヤシと二人でスピーチをしなければならなくなった、ということは、前に書いた。
どうもそのことが、みんなの広く知るところとなったらしい。
同期の盟友・フクザワ、1つ下の後輩のモリカワさん、2つ下の後輩のゴン、さらには7つ下の後輩のチエさんなど、関係者から、「漫才スピーチ、楽しみにしています」とか、「漫才スピーチ、頑張ってください」というメッセージが入ったメールが来るのだ。
モリカワさんに至っては、「念願がかなってよかったですね」とまで書いてある。断っておくが、べつに念願だったわけではないぞ!
それに、なぜかみんな「漫才スピーチ」と書いている。いつから披露宴で「漫才」をするってことになったんだ?
じつに困った事態である。これではスピーチの「ハードル」が、どんどん上がっていってるではないか!
それもこれも、披露宴のスピーチを二人でやらせてくれ、と当人たちに頼んだコバヤシの責任である。
ここはひとつ、電話をしてガツンと言っておかなければならない。
…と思っていた矢先に、携帯電話が鳴った。コバヤシからである。
「お前、またブログに書いたな」とコバヤシ。「呆れてものも言えないが、つい読んじゃったよ」
やはりまんざらではないようだ。
「そんなことより、お前の提案のせいで、俺たちが『漫才スピーチ』するってことが、みんなに知られてしまったぞ!どうしてくれるんだ。これじゃあ、下手なスピーチはできないじゃないか!」私は、言いたかったことを言った。
「たしかに責任の半分は俺にある」とコバヤシ。「だがな。お前にも責任の半分はあるぞ」
「どうして?」
「あんな風にブログで煽ったら、誰だってスピーチを頼まざるをえないだろ。俺はたんに二人でスピーチすることをオオキに提案しただけなのに、何だよ『仰天提案』て!あいかわらず表現が大げさなんだよ!だいたい俺は、『漫才をしたい』とは、ひと言も言ってないからな。たんに『スピーチをしたい』と言っただけだ。それをお前が、『漫才』なんて書くから、ややこしいことになるんだ」
「だってお前、『漫才をやる』と、たしかに言ったぞ」と私。
「いや、言ったのは俺じゃない。正確には、オオキが『お二人がスピーチをすると漫才になってしまうので困ります』と言ったんだ。それをお前が脚色して、『漫才』とか『漫才スピーチ』とか書いたのがいけないんだ」
たしかに私が過去に書いた日記を読み返すと、「漫才」とか「漫才スピーチ」という言葉を使っている。
ということは、「漫才スピーチ」というのは、私自身の造語だったということか。
いや、いまそんなことは問題ではない。問題は、いつの間にか「漫才スピーチ」が当日の列席者たちから期待されてしまっている、ということなのだ。
「どうしてくれるんだ…。これじゃあハードルが上がりすぎだ。だから俺はやりたくなかったんだ…」と私。
「いや、くり返すが、そんなことは絶対にない。お前は絶対にやりたいはずだ」コバヤシも意固地である。「お前なら何か面白いことを言ってくれる、と周囲が期待している。お前もそのことが分かっていて、まんざらでもない、と思っている。…つまりお前は、プライドをくすぐられると踊りを踊り出す人間なのだ!」
コバヤシは、私の本質を見事に言いあてた。これには反論の余地がない。
「…たしかに、俺はこれまで、披露宴のスピーチを7回ほどしたことがある。それに披露宴の司会が1回に、カラオケが1回」私はこれまでの「披露宴スピーチ歴」をふりかえった。
「ほれみろ。今まで断らずにやってきた、ということは、頼まれてまんざらでもない、と思っていたからだ。ほんとうにイヤだったら、ふつう、そんなにひきうけないぞ」
もう私には返す言葉がない。
「ところでお前、この電話のやりとりをまたブログに書くんじゃないだろうな」コバヤシはたたみかけるように言った。
「そんなこと、書くわけないだろ。だいいち、そうそうオオキの披露宴の話ばかりを書いていられないよ。いちおうこっちは、いろいろと目先を変えながら、ネタのバランスを考えて書いてんだよ」と私の反論。だがこの反論も無駄だった。
「いや、前回の記事からはけっこう時間が経っているから、そろそろこの披露宴ネタを書いてもいい頃合いだ」
なんと、コバヤシは私のブログのネタのバランスを、ちゃんと考えていたのだ!
「でも絶対に書くなよ。明日、朝起きてブログが更新されているなんてことがないようにな!」コバヤシは念を押した。
術中にはまっているのは、コバヤシなのか?私なのか?
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 人の目にふれない原稿依頼が続く(2025.01.08)
- 原稿は2つに分けられる(2024.12.31)
- 足踏み(2024.12.30)
- 電話(2024.12.26)
- 原稿ため込み党の復活(2024.12.18)
コメント
笑い転げました(爆)
どんな漫才スピーチになるのか、今から楽しみで楽しみで夜も眠れません。
このまま、不眠症になったらどうするんですか!
という訳で、とうとう来週です!
もうキッチリ決めてもらうしかありません。
よろしくお願いします!!!!
まだまだ、いっぱいの人に、このブログの宣伝しておきます。
蝶ネクタイしても良いですヨ! フジイ
投稿: オオキ | 2011年3月 6日 (日) 17時34分
先輩の披露宴スピーチ歴に「漫才が1回」という金字塔が建つのもあと一週間ですね。でも、カラオケも聞いてみたい気が・・・・ 漫才+カラオケ(デュエット)というのはいかがでしょうか (^^)
投稿: ゴン | 2011年3月 6日 (日) 21時28分
眠れないのはこっちの方です!もうテンションは下がる一方で、当日までにこれ以上テンションが下がらないように祈るばかりです。これ以上テンションが下がったら、あとはコバヤシにたくすことにします。
投稿: onigawaragonzou | 2011年3月 7日 (月) 00時28分
本番まで一週間に迫りましたね。オオキ・フジイペアと貴殿・コバヤシペアの二組同時デビューに立ち会えてラッキーです。
今日もOBの練習でしたが(正確には昨日ですが)、一部のマニア層の中ではこの話題でもちきりでした。
本番で全力投球は良いですが、OBの司会後のように「まっ白な灰」にならぬようお気を付け下さい。
投稿: フクザワ | 2011年3月 7日 (月) 00時45分
このまま、眠らずにハイテンションでお願いします。
3次会という話もあるので、カラオケはそこでどうでしょう?
================
コバヤシ先輩がメインの方が良かったりして・・・ By オオキ
投稿: フジイ | 2011年3月 7日 (月) 23時23分
ご忠告ありがとうございます。ご忠告どおり(笑)、コバヤシにすべてをたくしたいと思います。
投稿: onigawaragonzou | 2011年3月 8日 (火) 21時17分