平八の言葉
借り物だが、本当はこっちが「おくる言葉」。
「いいか、敵は怖い…誰だって怖い…しかしな…むこうだってこっちが怖いんだ」
「…話すというのはいいものでな…どんな苦しいことでも話をすると少しは楽になる」
いずれも、黒澤明監督の映画「七人の侍」の中で、侍のうちの1人、平八(千秋実)が言ったセリフである。
詳細は映画「七人の侍」を見よ。
「七人の侍」を見ずして、世を厭うなかれ。世を厭う前に、「七人の侍」を見よ。
学生たちと話をしていて面白いのは、「自分はこういう人間だ」「自分の将来はこうだ」という、思いこみのようなものがあって、それが話をしていくうちに、しだいに何かときほぐされていくような感じになっていく、ということだ。
先日の追いコンで学生と話しているときも、そんなことがあった。
ひとりで考えてばかりいると、どうしても考えが凝り固まってしまう。だが他人と話をすることで、あたかもお茶の葉が開くがごとく、あるいは、固形スープがお湯に溶けていくかのごとく、凝り固まっていたものがときほぐされてゆくのだ。
平八の言葉は、そのことを教えてくれる。
私自身も学生時代は思いこみの固まりで、「自分の進む道はこれしかない」なんて思っていたが、いま思えば、なんと狭小な考えだったろう、と、悔やむことしきりである。
「七人の侍」を見ずして、世を厭うなかれ。世を厭う前に、「七人の侍」を見よ。
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