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1カ月後の日常

4月11日(月)

心がどんよりしているのは、大きな余震が続いていることや、原発問題などの心配事が重なっていることもあるが、ここ数日、あまり人と話していないことにも原因があるようである。

もともと私には、友人が極端に少ないのである。

夜、妻に電話して、愚にもつかない話をしようとすると、「明日、朝早いんで」と言われ、「あ、ごめんごめん」と、そそくさと電話を切る始末。ま、夜遅くかけているこっちが悪いのだが。

この日の夕方、職場の一室で、とある会合があり、夜8時半過ぎに終わった。

「こんな時間だし、晩メシでも食いに行きませんか」とKさん(この日記には、イニシャルが「K」の人がやたら登場するなあ)。会合に参加した仲間のうちの4人で、ファミレスに行くことになった。

Kさんは、県内のある自治体につとめておられるが、仕事柄、隣県から避難してきた方々と接する機会があるという。

「いま、うちの避難所で、離婚問題がもちあがっているんですよ」とKさん。

隣県に住むある夫婦。離婚をするしないで大ゲンカをしている最中に、震災にあった。とりあえず、いったん休戦し、手を取り合って、県外に避難することになったという。

映画「スピード」に出てくる主人公の男女のように、非常時にある男女は結ばれやすいと、聞いたことがある。この場合も、震災という非常時にあって、一時的によりが戻ったのではないか、と私は想像した。

「ところが1カ月たったいま、ふたりはまた、避難所で大ゲンカをはじめました」

2人がふと我に返ったということであろうか。いま夫は、夜になると避難所の廊下で寝ているのだという。

「びっくりしましたよ。夜、ひとりで廊下に寝ているんですから。『どうしたんですか』と聞くと、『いや、なんでもない。ほっといてくれ』と」

いつだったか、芸能人の夫婦が離婚をするしないで大ゲンカになり、夫のほうが家を追い出されて、ガレージの車の中で寝泊まりしていた、というのをワイドショーで見たことがあるが、そんな感じだろうか。ここではそれが避難所の廊下というのが、哀しくも、可笑しい。

こんなことを話題にするのは不謹慎だろうか、と思いつつも、「ほんのわずかでも日常をとりもどそうとしているのではないか」と思いなおし、思わず笑ってしまう。

なにより、複数の人と喋りながら食事できたことに感謝した。

気がつくと夜11時。ファミレスを出ると、4月も半ばになろうというのに、外はとても寒かった。

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