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漫才スピーチ後日談

ここ最近のいろいろな出来事ですっかり埋もれてしまったが、3月12日(土)の結婚式披露宴で披露するはずだった漫才スピーチの台本を、この日記に載せた

高校時代の1学年後輩、オオキとフジイさんの結婚披露宴で、友人のコバヤシと漫才スピーチをすることになった経緯についても、ずっと書いてきた

あれは本当に、披露宴の場で漫才スピーチをするために準備しておいた台本である。

3月6日(日)に台本を書き、翌日、コバヤシにメールで送った。するとコバヤシから返事が来た。

「早速、内容を読ませて頂きました。さすがですね。テンポよくまとめていますね。しかも、私の台詞にもありましたが、こんなことがあったとは「ほとんど覚えておりません」でした。貴兄の記憶力のよさ(または、「ネタは決して忘れない」という、プロ意識?の強さ)には脱帽する次第です。なるべく簡単な台詞にしてくれたように見受けられますが、暗記できるか不安です」

たぶん、生まれてはじめて、コバヤシは私をほめたのではないだろうか。ふだん、私にはダメ出しばかりをして、一度もほめたことのないあのコバヤシが、である。

さて、なぜ私はこれほどまでにきっちりと台本を書いたのか?

それは、コバヤシが、実はビックリするくらい「あがり性」で、大勢の前では「話し下手」になるからである。

大勢の前で話すとなると、プレッシャーに押しつぶされ、とたんにぎこちなくなり、早口になり、カミたおすのだ。

私はそのことを知っていて、あえて、完璧な台本をつくろう、と考えたのである。

案の定、「暗記できるか不安です」なんて書いてきやがった。

数日後、コバヤシから電話があった。

「台本は完璧なんだが…。うまくできるかどうか不安だ」

そーれみろ。思った通りの反応である。

「でも漫才をやるって言い出したのはお前だからな。これくらいのことはやってもらわないと困る。間のとり方とか、ツッコミのタイミングとかがうまくいかないと、せっかくのこの台本も生かされないことになるぞ」私は言葉のかぎりをつくして、コバヤシをおどかした。これで完全に、私が優位に立ったのだ!

「不安だなあ。ちょっと練習してみよう」とコバヤシが提案した。いよいよ電話ごしに漫才の練習がはじまる。

「そこはもっとキツく言った方がいいぞ」「そこはもうちょっとためた方がいいな」など、この時ばかりは、私がコバヤシにダメ出しである。

「うーむ。電話ではやっぱり不安だ。実際に会って練習してみないと」コバヤシの不安は消えない。「結婚式の当日、ちょっと早めに来て練習しないか」

「かまわないよ」と私。

「じゃあ恵比寿駅の改札に朝10時ということで」とコバヤシ。

「ちょっと早すぎないか?式場に集合するのはたしか12時半だぞ。それに、練習っていったって、どこでやるんだ?」

「そうだなあ。まさか喫茶店でやるわけにもいかないしなあ」

「そうだよ。2人でこんな練習をしていたら、周りの人にヘンな目で見られるぞ」

「…じゃあ、恵比寿駅の近くなら、公園か何かがあるだろ。そこで練習すればいい」

コバヤシの提案で、当日は、恵比寿駅の近くで公園を見つけて、そこでネタ合わせをすることに決まった。

なんか本当に、売れない漫才師みたいだなあ。もし当日、披露宴に出席できていたら、私たちは売れない漫才師よろしく、寒空の公園で、スーツを着てネタ合わせをしていたんだなあ。

その機会が失われてしまったのは残念である。

この漫才台本をブログに載せたら、ささやかながら、いくつか反応があった。

さっそく、2学年下の後輩のゴンちゃんが律儀にコメントを書いてくれた。

主役の1人、フジイさんからはメールがきた。いわく、「高1の合宿の時に白樺湖で泣いたことは、まったく覚えていない」と。

この一件のことをコバヤシに聞いても「覚えていない」という同じ反応が返ってきたから、この一件について記憶しているのは、私だけということか?というか、ひょっとしてこれは、私の妄想だったのか?

さて、話はここで終わらない。

このブログを読んだ、2人とは縁もゆかりもない読者からも、2人を祝福するメールが届いているのであ~る!

「オチがあって、温かく楽しいスピーチですね。披露宴でこのスピーチを聞けなかったことも含めて、お二人にはいろいろな思いが入り交じる結婚生活のスタートになられたのではないかと思います。お二人のご健康とお幸せをお祈りいたします」と、披露宴での漫才スピーチの顛末をひそかに期待してくれていたKさん。

「漫才の台本、温かさがにじみでるしゃべくりで私は好きです。比べるのも失礼ですけど、M-1の芸人のコントくずれみたいのよりはるかにいいですね。苦難の時期に当たってしまいましたが、結婚されるお二人は幸せです」と、落語や漫才などの古きよき演芸に造詣の深いKさん。

オオキのこともフジイさんのことも、まったく知らない人たち。そういう人たちも、ふたりを祝福してくれたのだ。オオキ、フジイさん、よかったなあ。

ちょっとおそくなりましたが、祝福のメッセージをお伝えしましたよ。

5月の連休に会いましょう。

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