« この素晴らしき世界(いい明日が来るように) | トップページ | 漫才スピーチ後日談の後日談 »

満月の夕(ゆうべ)

なんとなく心がどんよりしているので、前回の記事と同じ日の深夜放送からもう一つだけ、ラジオDJの語りを、私の心覚えのために書きおこしておきたい。もう、これで終わりにします。

「一緒に草野球やっている芸人仲間に、何人か阪神大震災を経験している若手芸人がおりましてね。

で、僕はその時のことがわからないから、「どうだったの?」って聞くと、まあ、それはそれは、悲惨な状況ですよ。で、そうすると、直接、ど真ん中の被災ではないまでも、関西にいると、自分が名前を知ったり、声を聞いたり、言葉を交わしたことのある人が、ひとりも死んでないなんて人がいないんですよ、っていうレベルでみんな被災してて。

でもね。すげーなって思うのはね。すげーなって思うのは、

そいつ、たかだか草野球でファインプレーすると笑うよね。

たかだか草野球でホームラン打つと喜ぶよね。

オレ、それがすごいって思うんだよね。

その、起きたときからしてみたら、すごくどん底のことで、二度と、どんなに面白いことがあっても、どんなに楽しいことがあっても、面白くも楽しくもない人生になっちゃうんじゃないかなって、たぶん思うし、…いま思っている方もいるだろうし、…思ったんだと思うのね。

ややこしい言い方でごめんなさい。

だけど、でもね、

その彼らは、学生時代にそういう経験をしたけど、お笑い芸人になって、

残念ながら面白くはないんだけど(笑)、お笑い芸人になって、

まだ売れてはいないんだけど、人を笑わせたいと思ってて、

でいて、彼らは、へっぽこ草野球のちょっとしたファインプレーで、笑う。

時間はかかったと思うし、俺の知らないところでまだ何か思い出すことは当然あるでしょう。当然あるんでしょうけど、それでも、

「どんなもんだい」っていう顔して、ホームインしたり、

「すげえだろ」っていう顔して、速球を投げ込んだりとかするんだなっていうことは、

いま、そこにぶち当たっている人に、報告しておきます」

|

« この素晴らしき世界(いい明日が来るように) | トップページ | 漫才スピーチ後日談の後日談 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事