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くたばれ!偉人伝

6月18日(土)

午後から会合。研究発表を聞きながら、「あ~、オレは何をやっているんだろう。オレって、全然ダメだな」と、ひどく落ち込む。昨年は、自分が話をする側で落ち込んだが、他人の話を聞いても落ち込むのだ。どっちにしても落ち込むんだな。

ま、そんなことはどうでもいい。心が荒れているついでに。

昔、上岡龍太郎が言っていた。

「子どものころ、偉人伝をよく読まされたが、最後には必ず成功する、というのが気に入らんかった。すべての偉人伝が、『努力して、努力して、その末に成功しました』という形で終わっている。これって、努力が尊いことを教えているのか?ちがうやろ。成功が尊いことを教えているんやろ。もし『努力』が尊い、と教えるのなら、『努力しても努力してもダメでした。でもその姿はすばらしいものでした』と教えるのがホントやろ!」

そのとおりだ、と思う。

私も小さいころ、親から数多くの偉人伝を読まされたが、そのすべてが、立身出世して立派になりました、という話である。これって、立身出世することの尊さを教えていたのだと思う。

だが市井には、目立たずとも日々努力している人たちがたくさんいるではないか。なぜ、そういう人たちの話が偉人伝にならないのか。

なぜ、立身出世した人ばかりが、顕彰されるのか?

なぜ、立身出世した人が偉人なのか?

腑に落ちない。まったく、腑に落ちない。

だから私は、「偉人」を手放しで顕彰するような人を、まったく信用しないのである。

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