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浮世を渡る佐平次

6月14日(火)

どこからともなくあらわれて、おのれの才覚だけで浮世を渡り歩き、潮時を見て、やがてどこかへと走り去ってゆく。

映画「幕末太陽伝」(1957年)の主人公、フランキー堺の演じる「居残り佐平次」は、そんな男である。

「幕末太陽伝」の面白さは、今さら言うまでもあるまい。日本映画の歴史で、5本の指に入る傑作である。

日活が「日活製作再開3周年記念」と銘打って製作したこの映画。すごいのは、当時日活のスターであった石原裕次郎、小林旭、二谷英明といったそうそうたる俳優たちを脇にまわして、三枚目でコミカルなフランキー堺を主役にすえ、落語を題材にした、まるでアナクロニズムな映画を製作したことである。そのためか日活の上層部と川島雄三監督との確執は深まり、やがて川島監督はこの映画を作り上げたあと、日活を去る。

だが、この映画は紛れもない傑作である。そして見るがよい。二枚目の石原裕次郎や、小林旭や、二谷英明などより、三枚目のフランキー堺の方が、はるかに存在感があり、かっこいいではないか!

佐平次の有名なセリフ、

「首が飛んでも動いてみせまさァ」

「決して人を信用しちゃあいけませんよ」

生きるには、知恵と覚悟が必要だ、ということか。

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