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節電狂騒曲

6月22日(水)

どこでもそうかも知れないが、節電、節電と、喧しい。

まじめに節電にとりくんでおられる方からは怒られるかもしれないが、私に言わせれば、節電ファシズムである。

(本当は火力発電と水力発電だけでも十分電力をまかなえるはずなのにな…)

という声は、いとも簡単に排除される。恐ろしい世の中だ。こういう世の中になってしまったことに、誰も疑問をもたないとは恐れ入る。

なぜこんなに文句を言うかというと、私が無類の汗かきだからである。汗かきにとって、夏の暑さ対策は死活問題なのである。

午前中からすでに、気温がかなり上昇している。午前中の2コマ連続の授業が終わり、お昼休みになった。

(こう暑いと、集中力が欠けて、仕事にならないなあ)

多少お金を出してでも涼しいところに行きたいと思い、職場にあるいくつかの食堂の中でも、いちばんリッチな食堂に行って、涼みながら仕事をすることにした。

何たってそこは、ランチセットを頼めばデザートはつくし、アイスコーヒーだって飲めるのだ。多くの学生が集うリーズナブルな食堂とはちがい、落ち着いて食事することもできる。

(フフ、どうだい、リッチだろ)

と、リーズナブルな食堂に入っていく学生たちを横目で見ながら、リッチな食堂に入った瞬間…。

暑い!めちゃくちゃ暑いではないか!

ビックリするくらい暑いのである。

「すいません。節電で冷房を止めておりまして…」と店員さん。

えええぇぇぇ!!!

しかも、食堂のすぐ脇は火を使っている厨房である。厨房から熱気があふれてきて、さらに暑さが上乗せされているではないか!

「すいません。窓側の席がふさがってまして…」

そう言われ、窓と窓の間にあるでっかい柱の真横の席に座ることになった。つまり、まったく風が入ってこない席である。「弱り目に祟り目」とはこのことだ。

客商売なんだから、せめて食堂には少しくらい冷房を入れてもいいんじゃないか、と文句を言おうと思ったが、またクレーマーだと思われても困るので、グッと飲み込んだ。

いったい何のために、少しばかり高い金を払ってこの食堂に来たのか、意味がわからん。

せめて扇風機ぐらい用意してほしい、と思ったが、言うとまたクレーマーだと思われるので、グッと飲み込んだ。

だいたい、節電節電といいながら、冷房に代わる暑さ対策をまったくやっていないのは怠慢としか言いようがないではないか!

…こうなるともう言いがかりに近いが、もちろんこれも、心の声。

このように、汗かきを助長するような状況を生み出すことに対しては、かなり神経過敏になってしまうのだからいただけない。

「お待たせしました」

ランチが来た。

汗だくの人間が、ナイフとフォークを使って肉を食べる光景は、まわりかた見たら滑稽きわまりないだろう。こうなるともう、リッチなんだかどうだかよくわからない。「お前、なに必死に食ってんだよ!」と思われているに違いないのだ。

そそくさと食事を終え、研究室に戻る。だが、暑いことには変わりない。なるべくじっとしていることにした。

夕方、この3月に卒業したSさん(リーダー)が研究室にやってきた。仕事を定時に終え、こちらに用があったついでに来てくれたようである。

研究室に入るなり、

「パ、パワーアップしてますね…」とSさん。

「何が?」

「部屋がです…」

たしかに、最近の私の研究室の散らかり具合は、自分で見ても目に余るものがある。

思えば、地震前日の3月10日が、いちばん片付いていたのだ。それから以降は、散らかる一方である。

「なにしろ暑くってね…」と、答えにならない答えをした。

そう答えながら、私だって自分の愚かさを暑さのせいにしているのだから、暑さばかりを責めるわけにもいくまいな、と、少し反省したのであった。

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