自由席地獄
7月3日(日)、午後。
東京からの帰りの新幹線の席がまったく取れず、自由席に座るために、ホームに1時間並ぶことにした。
日中の、しかもいちばん気温が高い時間帯なので、尋常ではないくらい暑い。立っているだけでじわじわと汗が出てくる。
1時間後、新幹線がホームに入り、無事、一番乗りで窓側の席に座ることができた。
すると、次から次へと乗客が入ってくる。自由席は、あっという間に埋まっていく。
しばらくすると、「すいません、隣、空いてますか?」という声がした。
見上げると、私と同じ体格で、私と同じ年格好の、つまり、太ったおじさんが、私が持っているリュックよりも、さらにでかいリュックを背負って、…リュックだけではない、両手に重そうなカバンを持って、汗だくで立っているではないか。
「え…、ええ。空いてますよ」
「そうですか。じゃあ失礼します」
そういうと、私にそっくりなそのおじさんは、リュックだのカバンだのを上の棚に上げて私の隣の席に座り、汗だくになりながら、ペットボトルの炭酸飲料をゴクゴクと飲み始めた。
(またかよ…)
私がそう思ったのは、ちょくちょくこんなことがあるからである。
昨年の11月1日のことである。高速バスに乗ったとき、やはり窓側に座っていると、途中の停留所から乗ってきた客が、「隣、いいですか?」と聞いてきた。
見上げると、屈強そうな、マッチョなおじさんである。
「え、…ええ」
ただでさえ狭いバスの座席である。そこに、太った私と、マッチョなおじさんが並んで座るのは、いかにも窮屈である。私よりもさらに横幅のあるその人のために、私の頭は座席横の窓にビッタリとくっついた。さらに悪いことに、私はそのとき、長期の旅行に出るために大荷物だったため、そのすべての荷物を膝の上に置かざるをえなくなった。つまり私は、マッチョなおじさんと、自分の大荷物にガッチリとはさまれて、まったく身動きができない状態だったのである。
よりによって、どうして私の隣の席には、そういう人ばかりが座るのか?
綺麗で小柄の女性が座ってほしい、とは言わない。せめて、もうすこしバランスを考えて席を選んでくれないものか。
ただ、その太ったおじさんの気持ちもわかる。通路側の席しか空いていないとき、窓側に座っている女性の隣に座る勇気はないだろう。汗だくで荷物が多い姿を見て、キモいと思われるに決まっているからである。
自分と同じような人間が窓側に座っていたら、「おお、同志よ!」といった感じで、温かく受け入れてくれるのではないか。
そう思って、あえて私の隣の席を選んだのだろう。
だが、それは間違いである。暑苦しい2人が並んで座ることは、私にとってはかなりの迷惑なのだ。
そのことを、新幹線の中から妻にメールで報告すると、
「隣の人だって、同じ気持ちだと思うよ」と。
なるほど、こちらも暑い中を汗だくで1時間も新幹線を待っていたのだ。向こうにしても、止むに止まれぬ、最悪の選択だったのかも知れない。
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