「薩」に弱い人
7月21日(木)
この2日間はグッタリであった。
その理由のひとつは、先週末に眼鏡を買いかえたためである。
レンズの度数を少し上げたため、新しい眼鏡をかけて歩くとふわっふわっした感じになり、どうにも疲れやすい。
それに、眼鏡を変えたことに誰も気づいていないってどういうことだ?!
気づいたのは、4年生のT君ただ1人である。
これでまたグッタリである。
この2日の過ごし方も、グッタリの理由である。
20日(水)。午前中2コマの授業のあと、昼休みに会議が入る。1時過ぎに昼食を食べようとすると、学生が卒論の相談に来た。終わって、急いでお昼を食べて、2時40分から会議に出て、5時40分頃に会議が終わり、そのまま、5時45分に職場からバスに乗って、6時からホテルの宴会場で職場の同僚たちとの暑気払いである。
夏バテに加え、午後の会議あたりから、どんどん気が滅入ってくる。そして暑気払いがはじまったころにはそれが最高潮に達する。「ああ、オレは本当に非社交的な人間だ」と、職場の飲み会に行くと必ず感じる「例の思い」にとらわれ、終わるやいなやそそくさと会場を出て、一人とぼとぼと歩いて家路についた。
こういう日には、この日記に映画の話題を書くことにする。つまり私が映画の話題を書いているときは、気が滅入っているときである。
21日(木)。昨日とはうって変わって、肌寒い天気である。午前中、午後の会議の資料作りをする。お昼休み、ちょっとした打ち合わせのあと、午後1時から演習である。
このとき、思わぬ出来事が起きた。
「菩薩」の「薩」の字が、全く書けなくなってしまったのである。
黒板に「菩薩」と書こうとしたところ、どう思い出そうとしても「薩」の字が出てこない。最終的には、学生に「薩」の字を書いてもらう始末。
もともと私は、「菩薩」の「薩」の字に弱い方なのだが、ここまで全く出てこないとは恐れ入る。おそらく、このところの暑さと忙しさで、脳の一部が溶けだしてしまったのだろう。
それか、先祖が「薩摩藩」の恨みを買って、「薩」の字が書けない呪いがかけられているかの、どっちかである。
疲労しているので、ただでさえ悪い滑舌もさらに悪くなる。(いま私を喋っていることを、学生たちはまったく聞きとれていないのではないか)という妄想にとらわれる。
授業が終わると、ひと息ついて会議である。会議が5時50分に終わると、休む間もなく今度は6時から「丘の上の作業場」に行く。
作業中の風が、今日は冷たい。というか、かなり寒い。
作業をしながら、3年生のKKさんが言う。「私、飲み会とかで人とどうやって話していいのかわからないんです。あんまり友達もいないし、何を話そうかな、と考えているうちに飲み会が終わってしまうんです。だから、親しい人がいない飲み会にはあまり参加したくないんです」
「それはよくないよ」と私。「あまり知らない人ともお話をしていかないと、社会に出てから大変だよ」
「じゃあどうすればいんですか」
「それはね…」と、私は「飲み会で会話をはずませる方法」を、得意げに伝授しはじめた。
「なるほど…。そうすればいいんですね」とKKさん。
ひととおり話し終え、冷静に考える。とても私は、「飲み会で会話をはずませる方法」など人に伝授できる立場ではないのである。
「だったらお前、昨日の職場の暑気払いで、ちゃんといろんな人と話せよ!お前、一人でポツネンとしていて、全然喋ってなかったじゃないか!」
昨日の自分が、私に懇々と説教をした。
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