イカ会議
7月22日(金)
「今日はぜったいにこの仕事を終わらせるぞ!」と、1日のはじめに予定を立てる。「この仕事を今日終わらせられなかったら、人として失格だ」と自分に言い聞かせる。
そういってうまくいったためしがないのだが、今日ばかりは本気だぞと、午前中の授業が終わってから、その仕事を始める。
だが連日の疲れで、午後になると急激に仕事のペースが落ちる。というか、眠くなるのである。なんとかこの眠くなる時間を乗り越え、夕方になり、ようやく目が冴えてくる。
さあこれからペースを上げるぞ、というところに、立て続けに来客がある。楽しいのでつい話し込んでしまうと、時計の針はもう午後7時である。
ええぇぇぇぇ!!もう夜の7時かあああぁぁぁぁ!!
来客だけではない。電話も入った。海の近くの町に住むTさんからである。
「予定通り、イカを20杯送りました。明日の午前中に届くと思いますので、よろしくお願いします」
今度の日曜日のバーベキューの差し入れにと、世話人の一人のTさんがイカを送っていただいたのであった。私はそれを受けとって会場に持っていく係である。
それにしてもイカが20杯って、実はけっこうな量なのではないだろうか。どのくらいの箱に入ってくるのだろうか。想像もつかないなあ、などと思いをめぐらせていると、4年生のT君が研究室にやってきた。
「あのう、イカの件なんですけど…」
T君によれば、もしイカがそのまま送られてくる場合、イカをさばくのに、相当な手間と時間がかかるのではないか、というのである。それを、河川敷のバーベキュー会場でするのはかなり面倒なので、あらかじめ、イカをさばいた上で、それをバーベキュー会場に持っていったらどうか、という提案である。
「ワタや骨を取りのぞかなければなりませんし、皮もむかなければいけません。それに水洗いも必要です。それを河川敷でやるのは、ちょっと…」
そうなのか。全然知らなかった。もっと簡単にできるのかと思っていたが、そうではないらしい。
そこで、たまたま大学に残っていた4年生のTさん(お笑いサークルの元会長)やMさんも交えて、急遽「イカ会議」がはじまる。
「私の父がイカをさばくのをよく見てましたけど、かなり大変ですよ」とTさん。「洗うための水も必要ですし」たしかに河川敷には、イカを洗うための水道はない。
話し合いの末、Tさんのアパートで、イカをさばいてもらうことにした。Tさんは、昔からお父さんがイカをさばいている姿を見ていたので、今回、見よう見まねで、イカさばきに挑戦してくれるという。
「あと、野菜もあらかじめ切って持っていった方がいいですよ。野菜を切るのにも相当時間がかかりますから」
Tさんによって、バーベキュー計画の甘さが次々と明らかにされてゆく。
「11時ごろに材料を買ったら、12時には始められると思ったんだがねえ」と私。すでに参加者には、12時ごろから焼きはじめます、と通知してしまったのだ。
「そんなのぜったい無理ですよ!前の日から仕込んでおくくらいでないと」とTさん。
ええぇぇぇ!!前の日から準備を始めるのだけは、勘弁してほしい。
ということで、日曜日の朝10時半集合、といっていたのを、急遽、朝9時集合に変更することになった。スーパーが開店すると同時に食材を買ってきて、Tさんのアパートでイカをさばく作業と野菜を切る作業をすることになったのである。これにはMさんも手伝ってくれることになった。
なんか、おおごとになってきたなあ。20杯のイカをさばくなんて、想像もつかない。
さてこの「イカ騒動」、どういう結末を迎えるか。
今日終わらせるはずの仕事?もうすぐ日付が変わるが、まだ半分しか終わっていない。
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