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発見の週末

7月30日(土)

年に1度の、「職場公開」というイベントである。高校生に職場を公開する、というお祭り。私は、「お前がいたら印象が悪くなる!」という理由で、今年は担当からはずれていた。もちろん、これは被害妄想である。

この日に何の担当もないと、昼の弁当も出なければ、休日の振り替えもない。つまり担当者以外は職場に来るな、ということか?職場をあげてのイベントなのに。

ということで、あまのじゃくな私は、何の役割もないのに職場に行くことにした。

構内をうろうろと歩き回っていると、同僚とすれ違った。

「お疲れさんです」と同僚。

「いや、私、ただ遊びに来ただけです」

「あ、そう。じゃ、昼の弁当は?」

「担当じゃないので、私の分はありません」

「担当でもないのに、わざわざ来るなんてえらいねえ」

同僚は、こいつ変わってるな、という目つきで去っていった。

図書館で展示をやっている、というので見に行く。とても面白い展示だったので、食い入るように見ていると、職員の人が説明してくれた。

「本当は、展示しているもの以外にも、いろいろあったんですよ。これはごく一部です」

「へえ、ぜひ見てみたいですねえ」

そういうと、職員さんは、私をとある場所に案内してくれた。

「へえ、こんなにあるんですかあ」

「古いものばかりでねえ。これまで誰も見向きもしなかったものばかりなんです」

いろいろと見ていると、あるものを発見。

「こ、これは…、まさか…」私の顔色が変わった。

「どうしたんです?」

「ひょっとしてこれは、…○○ですよ!」

「それは、どういうものなんですか?」

私は早口で説明したが、たぶん、わかりにくい説明だっただろう。

「何でこんなものがここに…?とにかく、これをじっくりと見せてください」私は興奮して言った。

「わかりました。でもまあ落ちついてください。いまちょうどお昼ですから、お昼休みのあとに見てみましょう」

ということで、午後1時半、職員や同僚の立ち会いの下に、それを見ることになった。

話を聞きつけた学生たちや職員さんたちが代わる代わる見に来た。

「これは大発見なんですか?」

「大発見かどうかはこれから調べてみないとわかりません」次第に興奮もおさまり、私は少し冷静になった。

「犬も歩けば棒に当たる」というが、さまざまな偶然が重なって、ここに導かれたとしか言いようがない。

日々、面白いことを求めて歩くことは、決して無駄ではないのだな、と痛感した。

結局、午後は「職場公開」どころではなく、気がついたら汗だくだった。

7月31日(日)

地元の老先生3人と、朝から資料調査である。最近私のライフワークになりつつある「あるもの」を調べに、I町とK町にいくことになったのである。老先生のIさんが、「先生の探しているものを見つけに行きましょう」と誘ってくれたのである。

1台の車に3人の老先生と私が乗って、田園の中を走る。ちょいとしたロードムービーである。3人の老先生のお話はマニアックすぎてわからないところもあるが、それがまた面白い。

私が年をとっても、こういう仲間がいるだろうか、と、うらやましくも思う。

さて、ここでも新たな発見があった。

「来てよかったですねえ」「大収穫です」

1日かけた調査は、無事に終了した。

「この2日間、発見の連続だったよ」妻に言うと、

「じゃあ、誰かさんの向こうを張って、記者発表しなくちゃね」とからかわれた。

バカヤロウ。この大事な発見は、記者発表みたいに安っぽく売るようなものではないんだぜ。

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