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逆ピタゴラスイッチ

7月14日(木)、昼休み。

授業がはじまる20分ほど前、2年生のSさんが次の時間の演習のレジュメの原稿を持ってきた。

「印刷お願いします。すいません。12枚になってしまいました」

「ずいぶん力を入れたねえ」

「マズかったでしょうか」

「いや、多いぶんには全然かまわないよ」

授業開始まであと20分しかない。原稿を受けとり、さっそく印刷室に向かう。

印刷室の前まで来ると、印刷機がガンガンまわっている音がする。

(すでに先客がいたか…)

お昼休みなので、この時間は印刷室が混み合うのだ。しかも印刷機は1台しかない。

先客の同僚は、最速の印刷スピードで、大量のプリントをガンガン印刷していた。

「終わりました、どうぞ」

そう言って、先客の同僚は大量の印刷物を持って印刷室を出た。

今度は私が印刷をはじめると、ほどなくして止まった。

「マスターがいっぱいになりましたので捨ててください」

やれやれ、と印刷機の中にたまっていたマスターを捨て、再び印刷をはじめようとすると、

異常を知らせる表示が。

「リセットボタンを押してください」

リセットボタンを押すと、次に別の表示が出た。

「スタートボタンを押してください」

スタートボタンを押すと、印刷機から異音がなり始めた。すると今度は、

「復旧しない場合は、リース会社にご連絡下さい」という表示。

どうなってんだ?こういうときは、いちど電源を切って、もう一度つければ大丈夫な場合がある。そこで、いったん電源を切って、再びつけると、また

「リセットボタンを押してください」という表示である。

リセットボタンを押すと、また「スタートボタンを押してください」と出た。スタートボタンを押すと、また異音がなり始め、「リース会社に連絡を」と。

うーむ。一体どうなってんだ。授業がはじまる時間が刻々と近づいている。

おそらく、先客が、最速のスピードで大量印刷したから、印刷機が暑さでやられちゃったんだな。

それにしても、どうしていつも、印刷機運がないのだろう。しかも授業直前の急いでいるときに限ってこんなことが起こる。さらにはこういうときに限って印刷枚数が多い。すべてのタイミングが悪すぎる。

タイミングの悪いことが重なることを、「逆ピタゴラスイッチ」と呼ぼう。

職員のNさんに、「印刷機が壊れたみたいです」というと、「ではリース会社の人に来てもらいましょう。それまではすいませんが、コピー機を使ってください」と言われた。

仕方がないので、もったいないけれどコピー機を使うことにした。

すでに授業開始の時間だが仕方ない。大量の原稿をコピーした。

ちょうどコピーし終わった頃、印刷機の動作確認をしていた職員のNさんが言った。

「あれ?直ったみたいですよ」

「ええぇぇぇぇぇ?!」何というタイミングだ。

サウナのような印刷室を出て、大汗をかきながら研究室に戻り、授業に必要な資料をととのえて教室に行こうとすると、ドアをノックする音がした。3年生のN君である。

「先生どうしたんですか?授業時間はじまってますよ」

「ごめん。印刷機の調子が悪くってね」

「てっきり暑さで干からびてしまったんじゃないかと思いました」

暑さに弱い、と思われているんだな。その通りなんだが。

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