ああ!串揚げ
ちょっと戻って、8月8日(月)のこと。
居酒屋で学生たちと前期の授業の打ち上げをしていたとき、イベントサークルに所属している3年生のCさんが私に言った。
「この前、市会議員さんに連れられて、串揚げ屋さんに行ったんです」
聞いてみると、市内でも有名な高級串揚げ屋さんらしい。
串揚げとは、新鮮な野菜や肉や魚介類を串に刺して、薄くパン粉をつけてカラッと揚げた、贅沢で上品な料理である。
さまざまな素材が次々と串揚げになって出てくる。ひとつとして同じものが出てこない。ひとつひとつの串揚げについて、「これは塩でお食べください」とか、「これはソースでお食べください」とか、「これはそのままでお食べください」とか、素材によって味付けを変えて食べるように指示される。食べ終わったころを見はからって、また別の串揚げが出され、「もうお腹いっぱいだ」というところで、ストップをかけるのである。
あれって、際限なく食べても、ひとつとして同じ素材は出てこないのだろうか?その探求心から、ついつい、食べすぎてしまう。
当然、食べた分だけ料金が加算されていくので、「いま、いくらくらいだろう」などと、財布の心配をするようなセコい人間が食べる料理ではない。つまり、お金を気にせず食べることができなければならないのである。
その意味で「串揚げ」は、私の中では「カウンターですしを食うこと」と双璧の、「ガッハッハおじさん」が食べる料理なのである。
Cさんを高級串揚げ屋さんに連れていった市会議員という方は、きっと「ガッハッハ」な人なんだろうな、と想像した。
「私が大学生の時なんて、串揚げなんて食べたこともなかったよ」と私。
「でも、美味しかったですよ」
「そりゃあ、美味しいだろうよ。何たって、私は世の中で串揚げがいちばん好きな食べ物なんだから」相変わらず私も少し大げさである。「私が串揚げを食べたのなんて、たかだかここ数年のことだよ。しかも、よっぽどのことがないと食べに行かないぜ」
「そういうものですか」
「そういうものです」
そんな会話をしているうちに、久しぶりに串揚げが食べたくなった。
私がたまに行く串揚げ屋さんは、東京駅の地下の食堂街にある串揚げ屋さんである。というか、その店しか知らない。
そして8月13日(土)。
祖母の新盆の帰り、妻と私の妹と3人で電車に乗って東京に向かう。
「このぶんだと、ちょうど東京駅で晩御飯、て感じだね」と妻。「3人で何か食べましょう」
私は串揚げのことを思い出した。
「じゃあ、東京駅の地下で串揚げを食べよう」
言ってから、少しばかり懐具合が気になった。
「いいねえ、じゃ、おごりということで」と妻。
えええぇぇぇ!串揚げを提案したことを、少し後悔した。
しかし、ここで串揚げを食べないと、「Cさんに負けた」感じもするしなあ。
東京駅に着いて串揚げ屋さんに入る。いつもは、会社帰りのガッハッハおじさんたちであふれているが、この日はお盆休みということで、静かである。
久しぶりに串揚げの「おまかせコース」を堪能した。料金を気にせずにね。
会計?もちろん、私が全部払いましたよ。たぶん、妹の方が稼ぎがいいと思うのだが。
この次に串揚げを食べるのは、いつのことになるやら。
| 固定リンク
「グルメ・クッキング」カテゴリの記事
- スパゲッティ屋さん(2024.07.31)
- 原稿料はお茶でした(2024.02.11)
- サツマイモとしらすぼし(2020.01.20)
- ダッチオーブンの憂鬱(2019.03.30)
- 持ち寄り品、早くも決定か?(2019.02.21)
コメント