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「屋根の下の巴里」上映

8月4日(木)

今日も夕方、「丘の上の作業場」に出かけたが、「どうせまたブログに書くんでしょう」と世話人代表のKさんに言われそうなので、書かない。

午後遅くに行われたオムニバス授業。最後の回の担当は私だった。

前回に続き、映像作品を見せることにした。

アニメ「マスターキートン」(原作は浦沢直樹の漫画)の「屋根の下の巴里」である。

このエピソードが大好きだということは、以前にも書いた。「マスターキートン」の一連のエピソードの中では、とても地味な内容だが、この作品を見て、現役の大学生がどんな感想をもつのか、知りたかったのである。

「今日はアニメ作品をお見せします」とだけ言って、上映開始である。

30分に満たない作品だが、50名以上の学生が、音も立てずに見入っている。

やがてエンディング。すべて終わって、教室の電気をつけると、すすり泣いている学生が何人かいた。

「では、感想を書いてください。どんなことでもかまいません」と私。

ほとんどの学生が感想を書いてくれた。その一部を紹介しよう。

「『学ぶところがなくなっても学び続ける』っていう言葉がすごく心に残った」

「一生をかけて向き合っていきたいと思えるようなものに出会えたキートンさんはきっと幸せだと思う。私もそのようなものにこれから出会えたらいいなと思う」

「辞職してまで異端とされた自身の学説を貫き通したユーリー・スコット先生は誇り高い考古学者だと思います。最初は黙って授業を終わらせるしかできなかったキートン先生が、最後の授業で『大臣でも静かにしなさい』と言い放った瞬間に、講師ではなく本物の教師になったのだと感じました」

「“いかなる状況でも学ぶことをやめないでほしい”という主人公やその恩師の言葉が印象に残りました。大学生という思う存分学ぶことができる立場にあるので、そのことに感謝しつつ、しっかりと学んでいきたいと思いました」

「若い時のキートンさんが膨大な資料の前でワクワクしてた気持ちはとってもわかる気がします。自分はまだその位置にあるのだなあと思いました」

「時間がないというのは言い訳でしかなく、学ぼうと思えばいつでも学べる、ということが印象に強く残った」

「キートンの『大臣でも静かにしなさい』というセリフが、とても心に残りました。大学とは異なり、社会人学校は働いている人が多い中、みんな意欲的に授業を受けるという風景にびっくりしました。学ぶ権利は誰にでもあり、そして時間もあるのだと思いました」

「今、私たちが大学で学ぶことができていることがどんなに幸せなことか、あらためて気づかされた。また、どんな状況であっても、自分が学習に対する意欲を持っていたら、いくらでも学ぶことはできるのだなあとユーリー先生から学んだ。大変心が動かされた作品だった」

「『学校がなくても学び続けることはできる』。学ぶというのは、自分の意志ひとつなんだと思う。気持ちさえあれば、すべて勉強になる。不安であっても、やりたいことをやる、ということがあこがれる」

「ユーリー先生ー!!苦しい時ほど、いつも通り続ける、素晴らしいです!!」

「今の人々は学ぶ場が豊富に与えられていて、自分が学びたいと思わなくても学べる状況にある。学ぶことへの本当の喜びと学べることのありがたさをもっと感じるべきだと思う。また、大学という学ぶのに最も適した場にいることを生かして、意欲的に学びたい」

「自分の知的好奇心に素直になって、学び続けるということが実はすごくむずかしいことで、自分の道を歩み続けるというのは勇気のいることなんだなと感じた」

「私も尊敬する人から将来『立派になったな』と言われたい。学問を追究する姿は胸に迫るものがあった」

「一生学び続けることの大切さを知ったと共に、一生学び続けたいと思いました」

「どんな状況にあっても勉強をやり続けるという教授の言葉は、私の心に響きました。この大学生活の中でも生かせる教訓だと思います」

「学ぶために大学に来たのだということをあらためて感じさせられました。“なぜ学ぶのか”という問いは、いつでも学生について回りますが、この作品を見て、答えの一つを見つけられたような気がします。しかし、その問いの答えは一つではないと思うので、大学での4年間を生かし、自分なりの答えを発見したいです」

…どうだい。わずか30分足らずの作品が、こんなにも学生たちの心を揺さぶったんだぜ。

うちの職場に、学生たちからこれほどのコメントを引き出せる同僚がいるだろうか?私たちは、なんと無力な存在なのだろう。

昨日の「立派な方々」はどうだろう。「立派な方々」は、この場にいた学生たちの心を揺さぶるようなお話をしてくれるだろうか?

さて、私がとくに印象に残った感想を、最後に紹介する。

「最近レポートとテストに追われていて、いろいろめんどくさいとか思っていたけれど、この作品を見てあらためて「学ぶって面白い、私は勉強するのが好きだから大学に来てるんだ!」って思った。夜、寝る間も惜しんで本を読み、一生懸命興味あるものについて考えるキートンの姿は格好よかった。日々に流されないで、常に向上心を持っていきたいと思った」

「私は最近、勉強がいやで適当になりがちだったのですが、これを見て勉強を楽しいと思っていた時を思い出しました。だから、勉強に対する情熱を取り戻したいと思いました」

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