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傘を持つと雨が降らない

8月1日(月)

午後の授業。そういえば、月曜日の授業はここ2回連続で、途中から大雨だった。今日もそうなるかも知れないと思い、念のため傘を持って教室のある建物に向かう。

ところがこういう日に限って、雨が降らなかった。

今日は月曜日なので、夕方からいつもの作業である。ちょうどこの時間、うちの部局で「震災ボランティア報告会」というのをやることになっていて、学生たちがこれまでそれぞれ取り組んだボランティア活動の報告をするという。4年生のT君も私たちの活動について報告することになっていたが、せっかくだから、報告会に来たみなさんに作業を実際に見てもらったらどうか、同じ建物の中でやっているんだし、と提案したところ、見学にくることになったらしい。

しばらく学生たちと作業をしていると、「報告会」に出席している人たちが、作業しているところにゾロゾロとやってきた。

見ると、管理職ともいうべきえらい人たちや、そのほか数多くの同僚もいる。

人に覗き込まれながら作業をする、というのは、かなり恥ずかしい。見られると、刷毛の使い方も、なんとなくヘンな感じになってしまう。

ひとしきり見学が終わると、またゾロゾロと報告会会場に戻っていった。

みんなが帰ってから少しして、ある妄想にとらわれた。

それは、見学に来た同僚たちが私を見て、「うぁ~、あいつ、俺たちが見学に来るのを知ってるもんだから、はりきって学生と一緒に作業なんかしてるよ~」と思ったんじゃなかろうか、という妄想である。同僚たちは私が週3回の作業をしていることなどまったく知らないから、「みんなが見学に来ているときだけパフォーマンスをするあざとい同僚」と思ったのではないか。

そのことを、3年生のO君や2年生のTさんに話すと、

「そんなことありませんよ。それは考えすぎですよ」と言う。

だが、3年生のS君は、「いや、たしかにそう思ったかも知れないっすね」と言う。

もともとS君は、わりと何も考えずに言いたいことを言うタイプである。その性格をプラスととるかマイナスととるかは、たぶん人によって評価が分かれるだろう。

「そんなこと言っちゃダメですよ」とTさんがフォローをするが、それが余計に、私を追い込んでゆく。

ああ、今日見学に来た同僚たち、絶対にそう思ってたんだろうな…。ま、別にわかってもらおうとも思っていないのだが。

そんなつまらない妄想にとらわれて、今宵も更けてゆく。

「ポケットの 汗で壊れた カードキー」 鬼瓦(汗かき川柳)

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