また旅に出ます
映画「男はつらいよ ぼくの伯父さん」をあらためて観た。
それまでのシリーズ作品とは作風がガラリと変わり、この作品から、寅次郎(渥美清)の甥の満男(吉岡秀隆)に焦点をあてた話になっていったことはよく知られている。
見直してみて、気恥ずかしいくらいの青春映画であることを実感する。
浪人生の満男が、高校時代のブラスバンド部の後輩・泉(後藤久美子)に恋をして、勉強が手につかなくなり、バイクに乗って佐賀県に引っ越した泉のところまで会いにいく。そこに、寅次郎が恋の指南役として絡んでいくのである。
公開が1989年ということは、私が大学2年の時にこの映画を劇場で観ていたことになる。高校時代にブラスバンド部に入り、高校卒業後に浪人する、という設定が全く私と同じであり、たぶん当時は、リアルタイムの自分とある程度重ね合わせて観ていたのかも知れない。といっても、私自身は満男のような経験があったわけではない。
いや、思い出したぞ。これと同じ経験をした友人がいたことを。
トランペットを吹いていた「マイケル」だ。マイケル・ジャクソンに雰囲気が似ていたので、当時そう呼ばれていたのである。トランペットに打ち込んでいる、まじめで内気な高校生だった。
以前にも書いたが、高校の吹奏楽部の1年下の後輩に、ミヤモトさんという、それはそれはかわいい女の子がいた。
ところがミヤモトさんは、親の仕事の都合で、高校2年の時に福岡に引っ越してしまった。
しばらくしてマイケルは、驚くべき行動に出る。
たしか高3の時だったと思うが、マイケルは夜行列車に乗って、福岡にいるミヤモトさんに会いにいったのである。
そのことをあとで聞いて、同期の連中はとても驚いた。同期の中でいちばん純情で内気なあのマイケルが、そんな行動をとるとは、誰も思わなかったからである。しかも当時、マイケルとミヤモトさんがつきあっていたわけでもなかったから、なおさらである。
マイケルが実際にミヤモトさんに会えたのか、会ったとして何を話したのか、いまとなっては知るよしもないが、この作品をあらためて見て、「きっとあの時のマイケルは、満男と同じ気持ちだったのかも知れないな」と思った。
だからこの作品を見ると、なおさらリアルに気恥ずかしく思えてくるのである。
当のマイケルは、そんなこと、すっかり忘れていると思うけれど。そういえば、マイケルにはもう20年以上も会っていないなあ。
…というわけで、寅さんではないが、またしばらく旅に出ます。今度は北の方です。
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コメント
こちらも旅に出ます
そういえば夏期特別休暇の存在を全く忘れていた。とりあえず韓国でも行くか。
こういう思いつきの旅ができるのも、まだ若い証拠だ。直前なのでチケットもそんなに安くないけど、とれただけでもラッキーだ。大名旅行だね。
と言うわけで、来週の水曜日から次の月曜までソウル行きの航空券だけを、先ほど勢いで取っちゃいました。が、まだ宿がとれてません。秋分の日の連休で日本人が押しかけているのか、どこも混んでいるようです。
ゲストハウスとかに予約入れて返事待ちなのですが、もしソウルで飛び込み可能の宿をご存じでしたらお教え下さい。あと、最新のおすすめスポットとか。
10数年前、最初にソウルに行った時、やはり宿を決めずにプラザホテル裏の安宿街を探し歩いて、連れ込み宿みたいな所にとまった記憶があります。受付でシミーズ一丁のあじゅんまが昼寝してたっけ。うーむ。その再来なるか。
どこに行くかも全く決めていないのですが、普段学生とゼミ旅行で行くような初心者コースでない場所に行こうかと思っています。ナムジュン=パイクの家とか、全州とか。KTXには乗ってみたいけど、テグには行けないかな?
投稿: こぶぎ | 2011年9月17日 (土) 21時57分
ご心配かけましたが、さすが電子メール時代、ホテル検索サイトでダメでも、直接やりとりして宿が取れました。「屋根裏部屋」とか「考試院」とか、錚々たるマニアックな選択肢の中から生き残ったのが某韓屋ゲストハウス。
もはや大名旅行でもなくなってきていますが、写真に見覚えがあるので思い出してみるに、ここって、あのおじさんと泊ってあまりに何もすることがなかったので、日本にいるK先生に意味もなく電話をかけてしまった所ではないかいな。この連休の繁忙期に、なぜかここだけ、ぽっかりと5日間もシングルが空いていました。因縁ですね。
投稿: こぶぎ | 2011年9月18日 (日) 15時33分
ここのところ、私の中で「再会」がブームになっていますが、かつて訪れたところをもういちど訪れる「再訪」も、因縁めいていていいですよね。全州はソウルからならKTXよりも高速バスの方が便利かも知れませんね。地方都市なら、バスターミナルの近くにモーテルがありますので、飛び込みで泊まることができますよ。設備はふつうのホテルよりいい場合もあり、値段も手ごろです。
投稿: onigawaragonzou | 2011年9月19日 (月) 00時55分