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まさかの旅

9月4日(日)

帰国の日である。

釜山港発、午前10時の高速船で、博多港に行くことになっていた。

そういえば行きの博多港で、「週末は台風の影響で、場合によっては欠航の可能性があります」と言われていたことを思い出し、朝、念のため船舶会社のホームページを見た。

すると、「午前中の便はすべて欠航です」とある。

けけっ、欠航?!

「まさかのドタキャン」に続いて「まさかの欠航」である。

(そっちは欠航でも、こっちは結構ではないがな…)

ずっと以前、上岡龍太郎がそんなダジャレを言っていたことを思い出した。

本来の予定は、釜山発午前10時の高速船に乗って、博多港に午後1時に着き、続いて福岡空港4時50分発の飛行機で地元近くの空港まで帰ることになっていた。

もういちどホームページをよく見ると、「午後3時と3時半の便については、お昼12時に、船を出すかどうかを決めます」と書いてある。つまり現時点では、午後の便が出るかどうかもわからないのだ。

仮に午後3時の便に乗ったとしても、博多港に着くのは午後6時。これでは、福岡空港発の飛行機には間に合わない。

この時点で考えた選択肢は3つ。

1.このまま釜山にもう1泊する。

2.今日のうちに福岡に渡って、福岡で1泊して、明日、地元に帰る。

3.船をあきらめて、飛行機で直接日本に帰る。

このうち、1と2は、あまり現実的な選択ではない。そもそも、もう1泊するなどと悠長なことは言ってられない。福岡に泊まるなんぞは、まったく必然性がない。

ということで、飛行機で帰ることにした。

その前に、そのことを連絡しなければならない人間が二人いた。ひとりは私の妻。もう一人は、福岡に住む高校時代の友人のコバヤシである。

船が博多港に着いてから飛行機に乗るまでの間、時間がすこしできるので二人で昼飯でも食べよう、と約束していたのだ。

2人にまずメールを出した。

午前9時にホテルをチェックアウトして、近くにある釜山国際旅客ターミナル(釜山港)に行って、念のため欠航の再確認と、払い戻しの方法を聞く。こういうときにいつも思うのだが、払い戻しの方法って、こちらから聞かないと教えてくれないのね。ホームページをいくら見ても、そういうことって書いていないのだ。

ま、そんな愚痴はともかく、これで船をスッパリあきらめることができた。今度はここから一番近い金海国際空港まで直接行って、日本行きの飛行機の席があるかどうかを確認しなければならない。釜山港の近くでタクシーを拾った。

「金海空港までどのくらいかかりますか?」

「30分」

「じゃあお願いします」

タクシーの運転手の機敏な運転で、30分以内に空港に到着した。

さっそく航空会社のカウンターに行く。

まず考えたのは、福岡に4時すぎ頃までに到着する便があるかどうか、であった。もしあれば、国内線をキャンセルすることなく乗り継ぐことができるからである。

まず日本の航空会社のカウンターに行く。

「福岡に行く便がありますか?」

「ありません。成田だけです」

「ほかの会社はどうでしょう」

「あるとおもいますよ」

そこで、今度は海外の航空会社のカウンターに行く。

「福岡に行く便がありますか?」

「ありますが、午前の便はすべて出てしまいました。あとは夕方5時の便になりますけど、こちらもすでに満席です」

夕方5時では話にならない。

ということで、成田便に決定。ふたたび日本の航空会社のカウンターに行く。

「まだ席がありますか?」

「ありますよ」

「じゃあ、それで片道分お願いします」

「承知しました。14時15分出発の便です」

金海空港発、14時15分…。思い出した。私が韓国留学を終えて帰国するときに乗った飛行機と同じ便である。というか、金海空港からはその便くらいしかないのだが。

これでチケットはおさえた。あとは、福岡空港発の便(国内線)のキャンセルである。

日本の航空会社のカウンターで聞いてみると、

「ここは国際線しかあつかっていないので、国内線のキャンセルはここではできません」という。

仕方がないので、日本にいる妻に電話して、キャンセルしてもらうことにした。

しばらくすると妻から連絡があり、キャンセルが無事うまくいった、料金も手数料を引いた分が払い戻される、ということだった。さすが、仕事が早い。

これで万事手ぬかりなく、手続きがすんだ。

出発までまだ時間があったので、メールをチェックすると、コバヤシからメールが来ていた。

「欠航では仕方ないですね。この旅の最初の目的がドタキャンになったうえに、帰れないとは踏んだり蹴ったりですね。とはいえ、こういう展開になるのも、貴兄らしいような気がしてしまいます。顛末はまたブログで読ませて貰います。では、無事の帰国を祈っております」

ということで、顛末を書かせていただきましたよ。

かくして、約12時間後の夜10時すぎにようやく家に着いたのであった。めでたしめでたし。

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