最終日が初日
10月29日(土)、実習最終日。
例年なら京都市内を数カ所見学して夕方解散だが、今年は少し、変則的である。
というのも、この実習のメインイベントである、奈良で行われる特別展が、29日(土)から開催されるからである。
例年は実習の2日目の奈良市内見学にこの特別展見学を含めるのであるが、今年は日程の都合上、そういうわけにはいかなくなった。そこで、予定を変更して、最終日は京都からいったん奈良に行き、特別展を見学したあと、再び京都にもどり、東寺を見て解散、ということになった。
まあ、そんな事情など、どうでもよい。
奈良から京都に戻る電車の中で、2年生のTさんが聞く。
「先生、昨日の京都の自由行動はどこに行かれたんですか?」
「秘密です」
「ええぇぇぇ!何でですかぁ」
「知りたいですか?」
「ええ」
「じゃあ、ヒントを出します」
昨日書いたようなことを、ヒントとして出した。
「イニシャルがSではじまるお寺で、学生が誰も行かなかったところで、3時間くらいかけてまわるようなお寺で、京都タワーが展望できるような高台にあって…、ほかにヒントはないんですか?」
「ヒント、ほしいですか?」
「お願いします」
「じゃあ特別にもうひとつ、ヒントを出します。前期の私の授業、出てましたよね?」
「ええ」
「そのときに、1度だけそのお寺について話題にしたことがあります」
「授業の時に話題に出たお寺ですか!」
Tさんは必死に思い出そうとするが、
「すいません。思い出せません」という。
私の話したことが、聞き流されていたんだな。それはそれでショックである。
Tさんはガイドブックを駆使して必死に調べ、ひとつの結論に達した。
「先生、ひょっとしてそのお寺は、S○寺でしょうか?」
「ファイナルアンサー?」
「え?」
「一度答えたら、もう答える権利はありませんよ」
「ち、ちょっと待ってください!もう少し考えてみます!」
それ以降、Tさんからの答えは聞いていない。
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…さて、無事に実習は終わりました。
実習というより、修学旅行といった感じでしたが、これは私の力不足によるものです。私なりに考える、この実習のいちばんの目的は、「これでもか」というくらいに、国宝級の、というか国宝を見せて、「本物」でお腹いっぱいにすることでした。
あとは、各自が感性を磨くのみです。
実習の2日目、「先生、脳の処理速度が追いつきません!」と、興福寺の国宝館から出てくるなり、2年生のTさんが言っていたのが印象的でした。あまりに多くの国宝を見過ぎて、脳がピックリしてしまったようです。
この4日間、脳と体をフル稼働させることができたならば、この実習は、成功です。
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