メッセージ
11月21日(月)
「映画監督の山田洋次さんは、東日本大震災によせて「貧弱な想像力を懸命に働かせて、被災地の人たちを思い続けたい。そうすることでつながっていたい」と語りました。いま私たちに大切なのは、被災地に対する想像力を持ち続けることです。
しかし残念ながら、私たちの想像力は、山田監督が言うように、実に貧弱なものです。震災から時がたてばたつほど、被災地に対する想像力は失われていきます。
ではどうすれば、想像力が持続するのでしょうか。私はその答えが、被災資料クリーニング作業にあるような気がします。毎週、少しずつでも刷毛を動かし、被災資料にふれることによって、たとえ被災地から離れた場所であっても、そのことを忘れずに思い続けることができるのです。それは同時に、「私たちにできること」でもあるのです。
さあみなさん、「私たちにできること」を、少しずつ、そして息長く、進めていきましょう。それがたとえわずかな力であったとしても、被災地を思い続ける想像力となりうるのであれば、私たちは誇りをもって、この作業に関わることができるのではないでしょうか。一緒に頑張りましょう。」
先日、頼まれてこのようなメッセージを書いたことがある。日の目を見たのかどうかはわからない。
今日、職場の夕方クリーニング作業に、新人さんが2人やってきた。UさんとIさんである。
お二人とも、仕事もあるし、家庭生活もあるし、お忙しいだろうと想像するが、なんとかやりくりをつけて来てくださったのだろう。
「いま、職場でパネル展をやっているでしょう。あれを見て、参加したいと思いました」とIさん。
これには、私も、4年生のT君もおどろいた。自分が関わっておきながら妙な話だが、私は心のどこかで、パネル展をしたところで、それがどれほどの宣伝効果があるのか、半信半疑だったのかも知れない。私はそう感じていたことを恥じた。
だが、あのささやかなパネル展が、少なくとも一人の心を動かしたのだ。
おそらく、このことにいちばん感激したのは、パネル展の準備に最も活躍した4年生のT君だったのだろう。
「この作業、いつ始まったんですか?」とIさん。
「7月です」
「ええぇぇ!そんな前からやっていたんですか。ちっとも知らなかった。知っていれば、もっと早くから参加したのに」
いたって地味な作業なのだが、Iさんの琴線にふれたらしい。
「こういうことって、大事ですよね。これだったら、被災地に行ってお手伝いできないような人でも、被災地のお手伝いに関わることができます」Iさんは続けた。
どうやら私たちは、アピールがまだまだ不足していたらしい、ということに気づく。
一人でも多くの人たちの琴線にふれるようにするためには、これからもメッセージを出し続けなければならないのだ。
それはとてもしんどい作業だが、まだ続けていく価値は十分にある。
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