空と海をこえて
12月15日(木)
むかし、後藤久美子主演の「空と海をこえて」という単発ドラマがあった。
たぶん覚えている人って、ほとんどいないだろうなあ。
私が大学時代に、本放送を一度見たきりで、DVD化もされていない。
でも、すごく面白かったんだよなあ。
脚本は、これまた私が好きな佐々木守である。
内容は、離れ小島で食中毒にかかってしまった子どもたちを救うため、パソコン通信を駆使して、多くの人の連係プレーによって子どもたちを助ける、という話。まだインターネットなどなく、パソコン通信がようやく注目され始めた時代である。
ストーリーだけ書くと、あまり面白くないように思えるかもしれないが、3時間ドラマの中で丁寧に描かれる人びとの連係プレーの姿は、感動的ですらあった。
何でこんなことを思い出したのかというと、来週うちの職場で開催される、私が手がけているイベントが、今まさに、いろいろな人の連係プレーによって実を結びつつあるからである。
イベントの主人公は、ひとつの古びた「資料」である。
古びた「資料」を、渾身の技術でフィルムにおさめようとする写真家。
古びた「資料」にできた傷を丁寧になおしてゆく修復の専門家。
古びた「資料」をよりよく見せようと工夫を凝らす展示の専門家。
宣伝用ポスターのレイアウトにセンスを光らせる事務スタッフ。
それぞれの連係プレーで、古びた「資料」がよみがえってゆく。
私は真ん中で、その連係プレーをボーッと見ているだけなのだが、それでも、間近にそれを見ることができただけで、幸福である。
そして何より、
来週のイベントでは、T先生をお招きして「資料」にまつわるお話をうかがうことになっている。T先生は、その「資料」の第一人者である。
夕方、T先生のお宅にお電話した。
「来週、楽しみにしております」
私がそう言うと、
「何を言うんです。私の方があなたより2倍くらい楽しみにしているんですよ」
とうれしそうにおっしゃった。
その言葉で、今までの苦労がすべて報われた気がした。
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