モギ裁判のカタルシス
12月9日(金)
昨年見に行った、学生たちによるモギ裁判がけっこうよかったので、今年も見に行くことにした。
すべて学生たちによる手作り、というのがすばらしい。
セリフ回しはやや大仰な感じがするが、はっきりとしゃべっているので聞き取りやすい。歌舞伎のセリフ回しのようだと思えば、違和感はない。演技も、話が進むにつれて、尻上がりによくなっていく感じである。
それにつけても気になるのは、メイクである。
20歳そこそこの大学生が、上は60代から下は16歳までを演じるので、それなりに年相応のメイクをしなければならない。
昨年ショックを受けたのは、私とほぼ同い年くらいの役柄を演じている学生のメイクが、皺だらけだったということである。
学生からは、40代はあんな感じに見えているのか?
昨年のアンケートには、「メイクが老けすぎのように思います」と書いた。
今年は、昨年と比べると、メイクがかなり抑えた感じになっている。
「昨年と比べると、学生たちのメイクはかなり抑え気味ですね。昨年よりも皺は少ないみたいです」休憩時間に、同僚に言うと、
「そうでしょう。私、昨年の公演が終わったあと、学生に言ったんですよ。『あのメイクを見て、大人たちはみんなショックを受けてたよ。あなたたちから見て、30代や40代はあんなふうに映っているの?』って。そしたら学生たち、ウケてました」
なるほど、それを聞いた学生たちは、少し気を利かせて、メイクを抑え気味にしてくれたのかも知れないな。
このモギ裁判では、最後の「判決」の言い渡しが、最もカタルシスを感じる場面である。
それまでのすべての場面の積み重ねが、最後の「判決」に集約されるからである。
この「判決」を聞くために、モギ裁判を楽しみにしている、といっても過言ではない。
裁判長役の学生も、ひと言ひと言、噛みしめるように判決文を読んでいた。
それだけで、なんか泣けてくる。
すべてが終わり、昨年と同様、スクリーンにエンドクレジットのスライドショーが流れる。出演者とスタッフの写真が、槇原敬之の歌とともに次々と映し出されてゆく。それが終わると、終演を伝える影マイクが入った。
だが、欲をいえば、カーテンコールをしてほしかった。
いったん幕が下がり、エンドクレジットのスライドショーが流れる。それが終わると、再び幕が開き、出演者とスタッフ全員が、舞台に立って観客に挨拶する。
そうすると、最後は盛り上がると思うんだけどなあ。
…ということをアンケートに書いたんだが、はたして目にとめてくれるかどうか。
客席には、こぶぎさんも来ていた。
前に会ったのが、震災前の3月1日だったから、実に久しぶりの再会である。
お互い時間がなかったが、公演が終わってから、「いつもの場所」で夕食をとることにした。
「最近、ブログの更新が滞っているねえ。そうとう忙しいとみた」
「その通り!」
などと、よもやま話がはじまる。
「このあいだ、ダブルKさん(ダブル浅野的な意味で)のうちの、世話人代表のKさんが、差し入れだっていうんでうちの職場に柿を持ってきてくれたんですよ」とこぶぎさん。
「ほう」
「それをうちの職場のKさんが受け取って、洋梨と一緒に箱に入れておいたら、柿がドロドロになっちゃって」
「へえ」
「柿をそのまま食べるわけに行かないし、捨てるわけにもいかないんで、柿ジャムを作ろうってことになって、職場でKさんと二人で柿ジャムを作ることにしたんですよ」
「柿ジャムですか」
「ドロドロになった柿を鍋に入れて二人でかき混ぜながら、40(しじゅう)すぎたオッサンふたりが、何で柿ジャムなんか作っているんだろう、と思うと、悲しくなりました」
そんなよもやま話。
というわけで、時間がなくて文章はあまり練れてませんが、更新しましたぜ。こぶぎさん。
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コメント
こちらが帰宅して、今日のKBS「ミュージックバンク」で少女時代の7連勝をアイユが阻止した(ソシだけに)ことを確認している間に書き上げるとは、なんという速筆ぶり。わたくしめも、実は「「もぎさい」傍聴マニア」ですので、暇があれば見に来てたのです。大体、本物の裁判を傍聴しても、人の一生を左右するのに、あまりに事務的にコトが進むので、やはりこちらの方がドラマチックでいいんです。
日付変わって今日も公演があるので、ネタバレしないように書きますが、あのエンディングは、きっと脚本家の「狙い」なのでしょうが、もし「あいつ」が死ななければ「誰」が被害者なのかを考えると、こぶぎはすっきりしませんでしたなあ。
あと、最後のカーテンコール案は賛成。拍手するきっかけにもなるし。さらに、あのエンディングからあのスライドへだと「ギャップ」が多すぎるので、スライドの撮影監督と脚本・舞台演出がしっかり打ち合わせするといいと思います(てなことを、毎年アンケートに書いてたりします)。
今回良かった点は、映画「12人の優しい日本人」ではありませんが、裁判員のキャラ設定や議論の描き方次第で、裁判員評議のシーンを「もぎさい」の見せ場にできるという「予感」が感じられたことで、判決と一緒に裁判員のキャラ一覧も最後に配ってほしかったりします。また、検察・弁護双方の打ち合わせや評議の休憩シーンなど、法廷以外のバックヤードの取り上げ方もアングルが増えて面白いなと思いました。あとは「笑い」を入れ込めるかにも、脚本家は挑戦してほしいところ。
そんな模擬裁判は今日10日が千秋楽です。時間・場所などは「もぎさい」のキーワードでネット検索してみて下さい。裁判好きなお父さんにも、演劇好きな貴女にもオススメですよぉ。
投稿: 傍聴人こぶぎ | 2011年12月10日 (土) 03時02分
たしかに、裁判員の評議は盛り上げどころですね。あそこで盛り上げたぶん、最後の「判決」が活きてくるように思います。その意味で、今回の裁判員はキャラ付けがうまくいっていたと思います。
門外漢のオジサンとしては、もう少し演劇的要素を望みたいところですが、過剰な演出をしないのは、演劇的要素よりも、やはり本来の模擬裁判のスタイルをくずさないようにしようという配慮からかな、とも愚考します。…ま、いずれにしても来年がまた楽しみだ、ということです。
久しぶりに「12人の優しい日本人」が見たくなりました。
投稿: onigawaragonzou | 2011年12月11日 (日) 01時37分