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たったひとりの友人

1月7日(土)

ビックリすることに、この日は誕生日だというのに、誰からもお祝いのメッセージがない。妻に至っては、すっかり忘れているらしい。

この日は、卒業論文の添削のためにずっと職場の研究室にいた。入れ替わり立ち替わり学生たちが卒論の下書きをもってくるのだが、誰ひとりとして、「誕生日おめでとうございます」という者がいない。

ま、今日が誕生日だということを学生に言わなかったのがいちばんの原因だろうが。

よし!こうなったら、今日は誰にも何にも言わないぞ。妻にだって言ってやるものか!もしお祝いのメッセージが来たら、これからはその人だけを本当の友人として信じることにしよう。

するとたったひとりだけ、メッセージが来ました!

韓国版ミクシーともいうべき「ミニホムピィ」を開いたら、韓国語の語学学校で3級のときに教わったナム先生、そのヒョンブ(姉の夫)こと、ヨンギュ氏から、お祝いのメッセージが届いたのである!ヨンギュ氏とは、昨年の9月にはじめてお会いした

ミニホムピィは、友だちとして登録している人に対しては、端っこの方にちっちゃく誕生日が表示されるしくみになっているから、それを見て今日が私の誕生日であることを知り、メッセージをくれたのだろう。それにしても、よく気がついたものだ。

あんまり嬉しいので、そのメッセージを翻訳して載せちゃおう。

「キョスニム~~!!!

お誕生日を心よりお祝い申し上げます~~!!!!!!!

大邱(テグ)は小寒をすぎたためかとても寒いです。日本はどうですか?

私は79年生まれですから、私よりちょうど10才年上ですね。

今日は何か特別な計画がありますか?

美味しいものをたくさん食べて思い出に残る誕生日になるようお祈りします。

お誕生日心よりお祝い申し上げます~~!!

お元気で~~」

いやあ、ほんとうに嬉しい。ふだんは別に誕生日なんぞ祝ってほしくないと思っているのだが、こうやってメッセージをくれると、やはり嬉しいものである。

韓国では、誕生日には友人たちを家に呼んで誕生日会をするのがふつうだから、誕生日をとても大切なものと考えている。だからヨンギュ氏からすれば、誕生日にメッセージを出すというのは、ふつうのことなのだろう。

私は正直に返事を書いた。

「お祝いのメッセージを下さって本当にありがとうございます。

今日は卒業論文指導のために職場の研究室に一人でいます。学生たちが入れ替わり論文の下書きを持ってきましたが、贈り物を持ってきた学生は1人もいなかったです(笑)。おめでとうございますという言葉もないんですよ(涙)。たぶん私が学生たちに誕生日のことを何も話さなかったためでしょう。

しかも今日は家族が待っている東京に帰ることもできなくて、一人で誕生日をすごすことになりました(涙)。

私が住んでいるところはこのごろ雪がたくさん降ります。毎日毎日大変ですが、元気に過ごしています。今年は特に天気が寒いようです。

ヨンギュさんも元気にお過ごしになって下さい。

P.S. このごろはキム・グァンソクという歌手がとても気に入っていて、歌を聞いています。映画「JSA」は何度見てもいいですね」

誕生日をひとりで過ごすというのは、韓国人の感覚からすれば、かなり寂しいものらしい。またそのあと、すぐに返事が来た。

「キョスニム~~

学生たちに誕生日のことを言っておかないと!!

おひとりですごす誕生日ですが、キム・グァンソクの歌を聞きながら憂鬱さをなぐさめられたらと思います。

私は個人的に「ホコリになって」という歌がいちばん好きです。

ギターを弾いて歌うと自然と涙が出てきます。

キム・グァンソク氏の歌は何か魂をゆさぶる力があるんですよね。

それにしてもキョスニムとはいろいろ共通点が多くて驚きです。

そして私が韓国映画の中で最も深く感銘を受けた映画がまさに「JSA」なんです。

もう10回くらい見ています。

南北分断の現実を最もよく映しだした構成と内容、そして俳優たちの熱演など、最高の映画だと思います。

キョスニムがお好きだとおっしゃったので、私ももう一度見てみたいですね。

大邱も先週に雪が降りましたがみなとけてしまいました。 それほど寒くないからすぐとけてしまうんですね。

キョスニムのおられるところにも一度行ってみたいですね。

もう一度お誕生日をお祝い申し上げます!!!!!!

風邪に気をつけて下さい~~!」

可哀想だと思ったのか、もういちど、祝いのメッセージをくれたぞ。

それにしても、たった一度しか会ったことがないヨンギュ氏が、これほど誕生日を気にかけてくれていたとはね。もうそれだけで十分である。

ずっと一緒にいることが、友人の条件ではない。

たった一度しか会ったことがなくても、

遠く離れていたとしても、

生涯の友になることだって、あるのだ。

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