イ・スグンの年、キム・スンウの時代
A「今年も、年末恒例の韓国のKBS芸能大賞が終わりましたなあ」
B「韓国では、3大放送局が年の瀬に、1年間放送した番組の出演者の中から、放送局に貢献した人を表彰するプログラムがあるんですよね。バラエティ系の番組は『芸能大賞』、ドラマは『演技大賞』です。簡単に言えば、『芸能大賞』はお笑い芸人やMCたちの祭典で、『演技大賞』は俳優たちの祭典です」
A「今年(2011)のKBS大賞は、個人ではなく、『1泊2日(イルパクイイル)』に与えられました。個人ではなく団体に与えられるというのは、珍しいようですね」
B「『1泊2日』はKBSの看板番組ですからね。でも今年の後半に、番組を強烈にリードしてきた大黒柱、カン・ホドンが脱税スキャンダルでテレビ出演を自粛し、残る5人で頑張ってきたわけです。それに対する慰労の意味でしょうね」
A「カン・ホドンの謹慎はかなり痛い話ですよね。なにしろ、韓国を代表するMCでしたから」
B「メインの不在、という中での番組継続は大きなダメージでしたね。でもその過程で、新レギュラーのオム・テウンはかなり成長したと思いますよ」
A「たしかにそうです。バラエティとは無縁の生活を送っていた俳優のオム・テウンは、最初はほとんど存在感もなくて、大丈夫かと心配でしたが、ここへきて、ずいぶんと喋りもうまくなってきました」
B「カン・ホドンは番組の中で『俳優という自分の殻を打ち破って、自分を変えようとしているオム・テウンはすごい』と言っていました。オム・テウンの方もカン・ホドンに全幅の信頼を寄せて、バラエティ番組のノウハウを学ぼうとしていたのでしょう。その矢先にあの事件です。オム・テウンは、カン・ホドンのためにも、自分の殻を打ち破ろうと、この間必死だったのでしょう」
A「カン・ホドンが抜けたのは大変な痛手ですが、『1泊2日』はなんとかこのメンバーで続けてほしいものです」
B「お笑い担当のイ・スグンと、末っ子優等生キャラのイ・スンギのふたりが2トップ、これに、悪知恵がはたらくウン・ジウォン、「天然」のキム・ジョンミン、そして不器用な2枚目のオム・テウンが揃って、やっと、それぞれのキャラクターが定着したところですからね」
A「ところで、バラエティMC部門の最優秀賞は、イ・スグンでしたね」
B「当然でしょう。カン・ホドンの抜けた穴を、イ・スグンが懸命に埋めてきたわけですから。今年は、イ・スグンの年だったといってよいでしょうね」
A「最優秀賞受賞のときの挨拶で、最後に万感の思いを込めて『私が尊敬するカン・ホドン先輩にこの賞を捧げます』と言っていたのは印象的でした。そのあと『1泊2日』が大賞を受賞したときも、『(カン・ホドン)先輩!この賞をたずさえてあなたに会いに行きます』と、やはり最後に挨拶していましたね」
B「あれは感動的でしたね。いまの放送業界でカン・ホドンの名前を出すのは勇気がいることでしょう。でもイ・スグンは、挨拶の中で2度ほど、ギャグマンの先輩であるカン・ホドンに呼びかけたのです。彼の義理堅い性格が表れているといえるでしょうね」
A「次に、MC部門の優秀賞はキム・スンウでしたね」
B「スンスンチャング(乗勝長駆)での司会が認められたのでしょう」
A「キム・スンウといえば、主役をはることもできる、韓国を代表する俳優です。その彼が、トーク番組の司会をする、と聞いたときは驚きましたが、最近はすっかり板についてきたのでしょうね」
B「受賞のとき、司会者がキム・スンウに『バラエティ番組のエリートコースを歩んでますね』と声をかけていましたが、キム・スンウは、本当に仕事が手堅いですね」
A「なにしろ、受賞のときのスピーチは流暢ですばらしかった。あのスピーチで、彼のトークの底力がわかります。受賞者は、挨拶のときに自分が世話になった人の名前を延々と挙げて感謝の気持ちを述べるのがふつうなのですが、あれは聞いている側からするとちょっと鬱陶しい。キム・スンウは、そういった挨拶はせずに、短くてわかりやすい挨拶をしたのです」
B「2009年のKBS演技大賞で、ドラマ『アイリス』の演技が認められて優秀演技賞を受賞したときのスピーチも、短くて印象的なスピーチでした。あのときは、番組じたいの時間が押していたこともあって、自分のスピーチを短めにしたんでしょうね。そういう配慮が、スタッフに好かれる要因かも知れません」
A「それにしても、演技大賞でも優秀演技賞をとって、芸能大賞でもMC部門優秀賞をとったということは、ドラマとバラエティの両部門で『エリートコース』を歩んでいるということです。まさにいま、キム・スンウの『ひとり勝ち』といった状況でしょうか」
B「韓国のバラエティ番組は、もう何年もMCの顔ぶれが変わっていませんからね。視聴者は新しいMCの登場を求めているのではないでしょうか。その意味で、キム・スンウは今後も重宝されるでしょうね」
A「なるほど。一流の俳優がバラエティに進出すると、これまでのMCたちにとってはかなり脅威になるかも知れませんね」
…と、こぶぎさんのマネをして、会話形式で韓国芸能界を論評してみました。なにぶんこの分野の知識がほとんどないので、ほとんど思いこみと妄想が入り交じった、かなりいいかげんなものですので悪しからず。
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コメント
B (ぽちぽち)こんな風に書いておけば、我々がこのブログを書いたとは誰にも気づかれないっと。
A 本当は、我々が演技大賞を見たことなんか、ほとんどないもん。
B 韓国の3大テレビは、年末に各局日替わりで歌謡祭を生放送しているんだけど、「紅白」と「ものまね紅白」のように、演芸大賞は必ずライバル局の歌謡祭の時間に裏番組としてぶつけてきますからね。我々は当然3日間とも歌謡曲三昧です。
A それに韓国ドラマだって最近見ていないし。去年、唯一最終回まできちんと見たのは「僕とスターの99日間」だけでしたから(がんも最高―)。
B 日曜のバラエティ番組だって裏番組の「1泊2日」じゃなくて、「人気歌謡」から続けてSBS「ランニングマン」を見ています。
A だから好きなMCも、少女時代ユリ・ユナやソヒョンもファンである、ユ・ジェスクおっぱなのだ。
B 人気のある週末バラエティ番組は「1泊2日」にしろ「無限挑戦」にしろ、「いつもの面白おじさんたち」が仲間でミッションをこなしていく、という番組コンセプトだからね。だからレギュラー陣に思い入れを始めると、ずっとその番組を見続けてしまうんじゃないかな。
A その点は、ある意味、AMラジオの聴き方に似ているかもしれないね。
B 「スンスン(キム・スンウの乗勝長駆)」も、最近、IU(アイユ)が出た回を久しぶりに見たんだけど、以前MCの一人だった少女時代テヨンが日本進出のために辞めてから、またMC陣が変わったようだね。キム・スンウがドラムを叩いて、出演者全員で合奏するエンディングもなくなったし。
A いくら番組コンセプトが「トークコンサート」だからって、本当に演奏しなくてもねえ(しかも下手だった)。
B キム・スンウはゲストが俳優仲間の時は話が弾むんだけど、普段のトークの「狂言回し」はサブMCのイ・スグン頼みという感じが否めないし(注:イ・スグンは「青春不敗2」のメインMCなので「1泊2日」を見てなくても分かるのだ)。
A 「丸めがねに蝶ネクタイ」という、キム・スンウの衣装もちょっとねえ。
B 「神足裕司」スタイルね。
A ま、上の記事では当たり障りのないことを書いておきましたが、わしらの本音はこんなもんですわ。受賞ゆうたって、所詮、愛想尽かされないように賞でも掴ませてやるさかい、来年もウチで働いてくれるやろ、といった程度のもんですわ。
B うあっ、なんか、普段と違って随分と辛口ですね(しかもヤカラ口調だし)。
A いいんだよ、そのために他所様のブログに忍び込んで書いてるんだから。
B (こ、こいつとコンビ解消しようかな...)カン・ホドン以降、番組MC界に俳優も参入してくる、というのが上の記事の趣旨だったけれど、確かに「強心臓」だってイ・スンギが一人で回しているね。
A でも、競争相手は俳優だけじゃない。カン・ホドンと入れ違いでブームが兵役を終えて芸能界復帰したし、「夜行星」や「ビートルズコード」に出ている歌手のユン・ジョンシンだって、トークの回しができるんじゃない。
B アナウンサーだって侮れないよ。KBS色物アナウンサーのチョン・ヒョンムなんか、「ハッピー・トゥキャザー」では準レギュラー扱いだし、「ミュージックバンク」ではアイユのカムバック舞台で共演するわ、一昨日の「KBS歌謡大祝祭」ではワンダーガールズのパロディグループ「ワンダーボーイズ」として女装して踊り狂うわ、もうバラエティー即戦力ですわ。
A いやはや、韓国の芸能界も厳しいですなあ。
B しかし、年末年始で警備が手薄な鬼瓦さんの研究室に忍び込んで、我々がこのブログを更新しているなんて、誰が想像しますかねえ。
A 忍び込んだついでに、そこにある、学園祭の屋台で使っていた等身大の「鬼瓦看板」の顔の部分に、奥さんの顔写真でも貼っておこう(ぺたりんこ)。
B よい子の皆さんも初詣に行くときは、ぜひ戸締まりに気をつけてくださいね。
投稿: おにがわらごんぞう(本物) | 2012年1月 2日 (月) 06時06分
A「えっ?!キム・スンウはあの番組でもうドラムをたたいていないんですか!?満面の笑みでドラムをたたいている姿が面白かったのに」
B「ほら、だから言わんこっちゃない。韓国のショウビジネスに全然詳しいわけでもないのに、KBSの芸能大賞だけを見て妄想記事を書いているからこんなことになるんですよ」
A「そもそも、いま見ている韓国の番組が『1泊2日』『不朽の名曲2』『スンスンチャング』しかありませんからね。しかも『スンスンチャング』に至っては、イ・スグンがレギュラーに参入して以降のリニューアル版はまったく見たことがありません」
B「『生兵法は怪我のもと』というじゃありませんか。下手にこの分野に参入すると、痛い目にあいますよ」
A「そうですね。…そういえば、大晦日のKBS演技大賞で、我らがジョン・ウンインが助演男優賞をとっていましたね。これからはジョン・ウンインの時代…」
B「そらはじまった。それがいけないんですよ。たまたま韓国の小劇場で見た演劇『笑の大学』の検閲官役がジョン・ウンインだったからという理由で、『これからはジョン・ウンインの時代だ』などと持ち上げては、またこぶぎさんに怒られますよ」
A「そうでした。でも、やっぱり間近に見たことのある役者は、応援したくなるんですよ。…ところで、上のコメントには、間違いがひとつありますね」
B「何です?」
A「等身大の人形は、研究室にはありません」
B「ということは…本人ではない!」
A「そうです。彼こそ、本人に化けた怪人こ十面相だ!」
投稿: onigawaragonzou | 2012年1月 3日 (火) 00時00分
「ふっふっふ、ばれたら仕方がない。また会おう。はーはっはっは(怪人こ十面相)」
A っと(ぽちぽち)、前のコメントを含め、今晩も某研究室に忍び込んだ我々「A氏・B氏」の二人で、ぜーんぶ書いちゃってます。
B 前のコメントなんか、会話に小ボケを挟んでこないあたりが、真面目な鬼瓦さんの文体っぽく書けているでしょう。
A それに、ジョン・ウンインを取り上げるあたりもね。だって映画「闘師父一体」の人でしょう。元日のドラマに出たらしいけど、渋すぎてネット検索しても大した情報はひっかからないし。
B でもさ、キム・スンウの件(くだり)は話の流れであーなっただけなのに、「怒られた」なんて書き方だと、ちょっと鬼瓦側が卑下しすぎじゃない。
A キム・スンウ自体は好きですよ。ドラマ「ホテリア」も「アイリス」も全部見たし。実際、MCだからちゃんとしゃべっているし、あの番組は「隠しゲスト」を仕込んでいるので、話の流れをうまくそこへ持って行かなくちゃならないけど、さすが俳優だけあって「ポーカーフェース」で話を進めていくうまさは認めます。
B でも、ポイントはイ・スグンが言葉少なげにフォローすると。
A 大体、「下手にこの分野に参入すると、痛い目にあう」なんて書いちゃったけど、テロップを拾い読みしてなんとなく理解している我々と違って、あっちは韓国語ペラペラだし、「一泊二日」「不朽の名曲2」「スンスン」と毎週KBSを3番組も見ていれば、もう立派な韓ヲタですがな。
B しかし「等身大看板がない」かのようにコメントに書いて「あげた」のは、武士の情けだよね。
A 実は、嬉しさのあまり、あの看板が片付けられる前に、こっそりと「拓本」に取っていて、夜な夜な広げて眺めている、なんてことが学生にばれたら、バツが悪いだろうからねえ。
B しかも今は、顔だけ奥さんの写真になってるからねえ。
A 写真と言えば、この(ぺらり)デスクマットの間に挟んである、寅さんとのツーショット写真も珍品でしたな。
B 柴又の記念館で撮影できるやつでしょう。でも、自分も寅さんの格好して写ってたんじゃ、どっちがどっちだかわからない(笑)。
A その時使ったと思われる「寅さん変身セット」が(ばさっ)これでーす。
B いやー、こんな本だらけの研究室でよく見つけたねえ。帽子に腹巻きにトランク、お守りから売り物のゴム紐まで、これも全部自作なんでしょ。どれだけ好きなんだか。
A で、一番の大ネタが、この本棚の奥の隠し金庫なんですけど、開けてみると中にはなんと...
。。。。
鬼瓦 「はっ(がばっ)」
そんな初夢を見た(黒澤映画風で)。
投稿: おにがわらごんぞう(本物) | 2012年1月 3日 (火) 08時58分
A「…やはり、怪人こ十面相の仕業ですか」
B「どうもそのようですね。今回は少々手が込んでいる。寅さんネタとか、黒澤ネタとか、このブログでしばしば話題にしている話を織り交ぜている。あと最近の『拓本』の話もね。このブログをここまで深く読み込んでいる読者はいないでしょうな」
A「私が驚いたのは、大学院時代に寅さんのコスプレをして舞台に立ったことがあることを、彼がどうして知っているのか、ということです。ブログにも書いたことはないし、彼自身に話したこともない」
B「あのときはたしか、浅草じゅうを探し回って、それらしいシャツとか腹巻きとかを買ったんでしたな」
A「それにしても、怪人こ十面相は多くの証拠を残していきましたね」
B「会話の中に、ソシ(少女時代)だとかアイユ(IU)といった若手女性歌手の名前がよく出てくるでしょう。とくにアイユについては、飯島真理の再来だ、と主張しているほどです。飯島真理なんて、アラフォー世代のオッサンの中でも、知っている人は限られてくるのではないでしょうか」
A「私も、坂本龍一がプロデュースした女性歌手、ということで当時注目していたくらいでしたから。…『スンスンチャング』も、ソシのテヨン目当てで見ていた、ということでしょうね」
B「そうでしょう。決して、女性ギャグメンのキム・シニョン目当てではない、ということです」
A「私なんか、『キム・シニョンがどんな面白いことを言ってくれるのだろう』と期待しながら見ていたんですけどね」
B「そうでしょう。というか、あなたはいつも地味な方地味な方へと行きたがる。だから筋金入りの韓ヲタである奥さんからも『ツボがさっぱりわからん』とサジを投げられるのですよ」
A「そうですかねえ。…ま、今年も地味に韓国芸能界を応援していくことにしますよ」
投稿: onigawaragonzou | 2012年1月 3日 (火) 23時33分
[ネットニュース]
今月1日から2日の未明にかけて、日本の大学研究室にサイバー盗賊が侵入した。この盗賊は複数犯で、教授が秘密裏に公開しているブログを本人であるかのように侵入先で書き上げた後、研究室内の恥ずかしい事物を公開する愉快犯と見られており、現在警察のサイバー特捜班が注意を呼びかけている。
被害にあったO教授は「秘密にしていた寅さんコスプレ趣味のことまで明らかにされただけでなく、自慢の黒沢映画コレクションのうち「天国と地獄」のDVDがフルカラー版にすり替えられていた。報復として、こちらも犯人像をブログでほのめかしていく」と涙ながらに記者に語った。
この事件に対して、ネチズンからは
「隠し金庫に何が入っていたのだろうか」
「「こ十面相」というフリに乗っていいのか悪いのか、判断に困ったが、「A・B氏が全部書いている」というファンタジーな世界観を継続して、さらに尾ひれをつけたようだ」
「そのファンタジーな世界に、そちらも乗ってくれてありがとう」
「キム・シニョンは少女時代と仲がいいので好きだ」
「二人ともアイユの父親(68年生)と同じか年上なんだから、正月からアホなブログばかり書いてないで、しっかり働け」
といったコメントが寄せられている。
O研究室は、年末から中国調査や年賀状の乾燥作業で留守がちだった。
イ・ジウン記者(iu@pabo_news.co.kr)
投稿: ネットニュース社 | 2012年1月 4日 (水) 00時19分