ディスる
2月21日(火)
「追いコン」のときに、ぜひ学生に聞いてみたいことがあった。
先週の土曜日だったか、東京の家で「携帯電話を使った素人参加型の大喜利番組」を見ていたら、「『チャラいニュース』をアナウンサーが読んだとしたら」というお題があって、まあ、そのお題の意味もよくわからなかったのだが、
「明日の朝は、鼻ピアスがヒンヤリ感じられるような寒さになるでしょう」
みたいなネタを、放送局のアナウンサーがまじめに読んだりしていた。
その中に、
「野党が与党をディスりました」
というネタがあって、この意味が、私も妻もまったくわからない。
「何だい?『ディスる』って」
「さあ」
とにかくそれからというもの、「ディスる」という言葉が、気になって気になって仕方がない。
「しくじる」とかそういう意味かなあ、と思うが、どうもしっくりいかない。
ちょうど折りよく、翌週の火曜日には「追いコン」があって学生がたくさん集まるから、そこで聞いてみよう、ということになったわけである。
「フラグ」の一件以降、私にはまったく意味のわからない言葉を、若者に聞くというのが、いまの私のブームになっているのだ。
まずは3年生のCさんに聞くことにする。Cさんは私に「フラグ」という言葉の存在を教えてくれた学生で、彼女なら何でも知っているだろうと思ったのである。
「『ディスる』ってどんな意味?」
「『ディスる』ですか…。そうですねえ。例えば、先生は『寅さん』が好きですよね」
「うん」
「でも、たとえば近くにいた人が寅さんの話をしていて、『寅さんって、なくね?』みたいに言うことがあったりするじゃないですか」
「……」
「それを、『寅さんをディスった』っていうんです」
「……?」
どうもよくわからない。私にもわかるように例をあげて説明してくれたのだが、かえってそれが意味をわかりにくくしている。だいいち、「寅さんって、なくね?」って、どういう意味だ?
私は必死にCさんの説明を推し量った。
「つまりそれは、…『悪く言う』ってこと?『非難する』って意味?」
「そうそう、そういうことです」
「じゃあ、その「ディスる」の語源は何なの?」
「さあ、それはわかりません」
それがいちばん知りたかったのにな。
埒があかなかったので、今度は3年生のN君を呼んだ。
「『ディスる』って、『非難する』って意味だよね」
「まあ、そんなところです」
「何でそれを『ディスる』って言うの?」
「disrespect(ディスリスペクト)の略ですよ」
「ディスリスペクト?」
「はい。『respect』の反対です」
「なるほどdisが語頭に付くと、意味が反対になるからね」
「だから、軽んじるとか、悪く言うとか、そんな意味です」
なるほど、明快な説明である。だが、そもそもなぜ「disrespect」という単語がクローズアップされて「ディスる」という言葉が流行ったのか、いまだにわからない。そもそも、この言葉、流行っているんだろうか?
でもこれでスッキリした。「野党が与党をディスりました」とは、「野党が与党を非難しました」くらいの意味なんだな。
さて、そんな「ディスる」の話題もすっかり忘れた、2次会の席でのことである。
4年生のSさんが、これまでの授業をふり返って言った。
「論文を読んで議論する、という授業があったでしょう?」
「あったね」
「あれって、先生が論文を選んで、学生に発表させるという形式だったじゃないですか」
「そうそう」
「とっても難しい論文で、必死に調べて発表したあと、先生たちの間で学生そっちのけで議論がはじまっちゃって、『結局、この論文はダメですね』という結論になってましたよね」
「そうそう、最後は必ずそうなっていたね」
「あのとき、『先生が選んできた論文なのに、どうして最後にはその論文をディスってるんだろう?だったら最初からいい論文を選べばいいのに』と思ってしまったんです」
出た!出ました!「ディスる」が!
Sさんは、ごく自然に「ディスる」という言葉を使ったぞ。生(なま)「ディスる」である。
なるほど、そういう風に使うのか。
これだけでも、今年度の「追いコン」は収穫であった。
さて2日後、妻からメールが来た。
「ラジオを聞いていたら、『ディスる』の意味を言っていた」
ふむふむ。やはり妻も気になっていたらしい。
「『This is a pen(ディス イズ ア ペン)の略だって」
はぁ?
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コメント
イェー
俺は ヒップホップ生まれ ヒップホップ育ち
Disるの意味は たいてい こんな感じ
http://www.youtube.com/watch?v=MyqpbdCKoMo
って
これじゃ 何んにも わからないYo 英語
でも O-YA-JI だけが つかみ取れる 栄光
Disり Disられの 絶え間ない 闘争
下の表で了解 もう 完璧に 理解
http://nejire.gozaru.jp/nenpyo.html
投稿: MC KOBUGEE | 2012年2月24日 (金) 01時53分
俺は MC KOBUGEE またの名は こぶぎ
スペリング ミスって これじゃ まるで「こぶ爺」
訂正きかない コメント欄の 世界
すべて後の祭り 手も足もでない
でも
少女時代を リスペクトする意味で
「GEE」をつけたことに すれば けんちゃなーYo
投稿: MC KOBUGEE | 2012年2月24日 (金) 12時32分
イェー
生まれも育ちもヒップホップ
ヒップホップで産湯をつかい
姓はonigawara名はgonzou
人呼んでヒップホップのoniと発しますYo
巷では
カリスマラッパーがカリスマDJをDisりDisられしているYo
「Disる」が流行 オレのブログも有効
KOBUGEEのアンサー とってもカンシャー(感謝)
イェー
投稿: onigawaragonzou | 2012年2月24日 (金) 23時02分
ね、馬鹿ラップは楽しいでしょう。こちらも、書いて唄って呵々大笑。もう止まりませんYO。
最近、ライムスター宇多丸のラジオをよく聞くものだから耳に入ってくるものの、ヒップホップなんか「DA・YO・NE」止まりで、本当は「たのきん生まれ、K-POP育ち」ですから。
ちなみに、上の動画の外人さん(エピック・ロイド)の本業はコメディアンらしく、「お兄ちゃんをDestroyして」というコメントを寄せてきた男の子のための「雇われディス・ラップ」だったようです。
実は「本物」のディスラップ動画もいくつか見たんですが、辛気くさいものばかり。明るいものを選んだら「コミック・ラップ」になっちゃった次第で。
アメリカでは「ディスり・ディスられ」が昂じて射殺事件にまでなったことが有名ですが、こんな馬鹿ラップの応酬ばかりなら、楽しいのにねえ。
ところで、MC Oni のライム(歌詞のこと)は、前半は「MC KURUMA」、後半は「MC YO-SUI」に似ていますが、もちろんこれは「リスペクト」ですYoね。
投稿: こぶぎ | 2012年2月25日 (土) 15時56分
馬鹿ラップ、楽しいっすねぇ。「ヒップホップについて何にもわからないO-YA-JIが、手さぐりでラップの歌詞(ライムっていうんですか…)を作る」というギャグが、楽しくてしょうがないですYo。
そういえばむかし、三宅裕司率いる劇団スーパーエキセントリックシアターが1984年に「THE ART OF NIPPONOMICS」というギャグアルバムを出したことがあるんですが、その中に、「BEAT THE RAP」という馬鹿ラップの曲があります(作曲はたしかYMOの高橋幸宏)。私が知るかぎり、これが日本で最初の馬鹿ラップだと思うのですが、いまはもう廃盤になっているので、たしかめようがありませんYo。
お察しの通り、「MC KURUMA」「MC YO-SUI」への「リスペクト」ですYo。
投稿: onigawaragonzou | 2012年2月25日 (土) 20時41分
ユーチューブには何でもありますねえ。
SUPER ECCENTRIC THEATER / Beat The Rap (1984)
http://www.youtube.com/watch?v=N8jKJb_9wEA&feature=related
絞り出すような三宅さんの声がいいです。今聞くと、YMO全盛だった当時の「時代」を感じますねえ。
ラップ自体も、まだ「ういろう売り」の口上っぽくて、「スネークマン・ショー」みたいです。
スネークマンショー 咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3
http://www.youtube.com/watch?v=rZa6IHtxtCg&feature=related
ちなみに、こんなのも見つかりましたので、おまけにつけときます。ARB(荒川ラップブラザーズ)に下町兄弟、今でもいいですなあ。
荒川ラップブラザーズPV
http://www.youtube.com/watch?v=qTzImoXAxEE
荒川ラップブラザーズ アナーキー IN AK
http://www.youtube.com/watch?v=x5MjCBlA7tU&feature=channel
下町兄弟 ミモザの咲く頃
http://www.youtube.com/watch?v=23I7T0ixTYw
投稿: DJ こぶぎ | 2012年2月26日 (日) 01時28分
そうそう、馬鹿ラップはスネークマンショーの方が先でしたね。ARBと下町兄弟、実ははじめて聞きましたけど、いいなあ。なんか、ラップの作詞をしたい、と思ってしまいますね。
「バート馬鹿ラップ」なんちゃって。
わっかるかなあ。わっかんねえだろうなあ。
投稿: onigawaragonzou | 2012年2月26日 (日) 20時52分