覚えやすい顔なのか?
夜、研究室にいると、この3月に卒業する、4年生のSさんとTさんがやってきた。
「先生、いらっしゃったんですね。いらっしゃらないかと思いました」
そう言うとSさんは、カバンからクリアファイルを取り出した。
見ると、なんとクリアファイルに私の顔のイラストが描かれており、しかもご丁寧に色まで塗っているではないか!
実は、2月21日に行われた「追いコン」でも、Sさんはクリアファイルに私の顔のイラストを描いて、私にプレゼントしてくれていた。つまり、その第2弾である。
私の似顔絵、というより、もはや完全に独自のキャラクターと化している。
興味深いのは、私を「トトロ」になぞらえていることである。
韓国留学中も、語学院の先生や中国人学生たちの間で、私がトトロに似ていると言われたことがある。
語学院4級クラスのとき、所用で授業を1日休んだことがあった。翌日登校すると、私の席のうしろの壁に、「トトロ」のイラストが貼ってあった。
「キョスニム(私のこと)がお休みだったので、代わりに「トトロ」を貼っておきました」と、語学院の先生が言うと、クラスにいた中国人留学生たちは、爆笑した。どうやら私の姿形に対する認識は万国共通らしい。
「ずいぶん描き慣れてるねえ」私が言うと、
「これを描くと、なぜか気持ちが落ち着くんです。卒論を書いていたときも、せっぱ詰まったりしたときはよくこれを描いて気持ちを落ち着けていました」とSさん。
なんだなんだ?私の似顔絵を描くのは写経するのと同じ効果があるのか?
「だからいまは、学生研究室のあちこちに、先生のイラストが貼ってあったりするんです」とTさん。
その様子を想像すると、少しキモチワルイ。
描きやすい顔ということなのだろうか。
それで思い出した。
私はよく、声をかけられる。
先日行った韓国でも、博物館で仕事をしていると、「ソンセンニム!(先生)」と、声をかけられた。
声のする方を見ると、大邱の大学に留学していたときに知り合った大学院生の女性である(名前は失念してしまった)。
「お久しぶりです。ビックリしました。どうしてここにいらっしゃるんです?」
「資料調査に来たんですよ。で、あなたは?」
「いま、ここでアルバイトしているんです」ソウルと大邱は、東京と大阪くらい距離が離れているから、ここで会うというのは、かなり偶然的である。
留学していたとき以来だから、2年ぶりの再会である。それほど頻繁にお話ししたわけでもないのだが、よく私の顔を覚えていたものだ。
同じ日、博物館の図書室で文献のコピーをとっていると、今度は、以前お世話になった博物館の研究員の女性にも声をかけられる(やはり名前は失念)。
「ソンセンニム!今日はどうしたんですか?」
「ええ、資料調査に来たんですよ」
一部始終を見ていた妻が呆れて言う。
「よっぽど覚えられやすい顔なんだね」
なるほど、そうなのかも知れない。こっちは忘れていても、向こうが覚えている、という経験は、これまでに何度もあったのだ。
1月に運転免許の書きかえに行ったときもそうだ。
受付で免許証を提示して、お金を払おうとすると、受付の女性が言う。
「あのう、○○大の○○先生でしょうか」
「そうですけど」
「私、○○大(前の職場)で以前、1回だけ、先生の講義を受けたことがあります」
数年前まで、前の職場で1年に1度、1時間だけ授業をする機会があったのだが、その授業を受けていたらしい。
1度しか授業を受けてない人の顔を、よく覚えているものだ。私だったら、そんな人の顔、絶対忘れているぞ。
それもいま思えば、私が「覚えやすい顔」だからか?
覚えやすい顔とはすなわち、描きやすい顔、ということなのか?
あらためて、Sさんの描いたイラストを見なおしてみた。彼らには、私がこんなふうに映っているのか、と思うと、それはそれでおもしろい。
「…しかしまあ、よく描けているねえ。いっそこれを商品化したらどうだろうか」私も調子に乗って提案する。
「いいですねえ。商品化したら、絶対に私たちに連絡ください」SさんとTさんはそう言い残し、帰っていった。
クリアファイルに印刷するのって、どのくらいのコストがかかるのだろう?などとなかば本気で考えはじめた私であった。
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コメント
この度は弊社にご用命頂き、誠にありがとうございました。
さて、オリジナルクリアファイルの作成ですが、少ロット生産ですと1枚1000円以上かかりますので、やはりご予算的に厳しいかと思います。
そこでご提案なのですが、オリジナル携帯ストラップなどはいかがでしょうか。
http://www.strap-club.jp/news/1045.html
こちらですと、5000個ご注文頂ければ、単価150円まで下がります。
ただ、間寛平師匠の「アメマバッチ」のように、多量の不良在庫と借金を抱えるリスクも多少ございますので、第二案もご提案させて頂きます。
http://www.orijinaru-taiyaki.com/index.html
こちらでございますと初期費用は25~80万円と少々かさみますが、いったん金型さえお持ち頂ければ、あとは不良在庫の心配もなく、思う存分儲かるだけお作り頂けるかと存じます。
それでは、今後ともよろしくお願いいたします。
追伸
ご参考までに、以前弊社が制作いたしました「大人のぬりえ ゆるキャラ大集合!」のページ見本(PDF)をお付けいたします。下記URLからダウンロード下さい。
http://homepage1.nifty.com/kamegaya/nurie/sample.pdf
投稿: キャラクターグッズ会社の「こぶぎ」です! | 2012年3月20日 (火) 18時10分
携帯ストラップには惹かれますねえ。しかし先立つものが…。
いたずらに作ってみました、というわけにはいきませんな。それこそ「アメマバッジ」の二の舞です。
とりあえず、当面は貴社が開発された「大人のぬりえ ゆるキャラ大集合!」を普及させていくしかありませんな。
投稿: onigawaragonzou | 2012年3月21日 (水) 00時32分