チェ・ミンシクの風格、ハ・ジョンウの悪漢
3月7日(水)
「できるだけぶざまで情けない中年」をめざしている私にとって、いまは「チェ・ミンシク」ブームである。
少し前のことだったか、韓国の友人、ヨンギュ氏からコメントが届いた。
「先日封切りしたチェ・ミンシク主演の映画『犯罪との戦争』を映画館で見ました。やはりチェ・ミンシクはいいですね。 他の俳優をエキストラにしてしまうほどの完璧な演技のカリスマで、 私がソン・ガンホの次に好きな俳優です。『犯罪との戦争』、必ず見て下さい!本当におもしろいですよ。 韓国の現代史を理解するのにも役に立ちます」
ソン・ガンホの次に好きな俳優がチェ・ミンシクだなんて、まったく、どこまで私と趣味が合う人なんだろう。
このコメントをもらってから、仕事でソウルに行ったときにもしまだ公開していたら、「犯罪との戦争」を見に行こう、と決めていた。
この日、仕事が終わった夕方、ソウルのコエックスモールの映画館「メガバクス」に向かった。仕事に同行した妻も一緒である。
映画は、1980年代の釜山を舞台にした暴力団抗争の話で、実話をもとにしている。若き「ナンバー1」(ハ・ジョンウ)と、才覚だけで暴力団幹部にのぼりつめる男(チェ・ミンシク)を軸に、物語が展開する。
ハ・ジョンウは、映画「国家代表」のスキージャンプの選手役として有名だが、本来は悪役をやらせると光る役者なのである。これまた私が好きな、キム・ユンソク主演の映画「追撃者」(邦題:チェイサー)での、ハ・ジョンウの悪役ぶりもすばらしかった。
そして、チェ・ミンシクの変わりよう!完全な中年太りのオッサンになっているではないか。
チェ・ミンシクの中年太りは、「花咲く春がくれば」(2004年)から始まっているが、その時点では、「役作りのために少し太り気味にした」と、インタビューで語っている。今回はさらにパワーアップしているが、これが役作りのためなのか、それとも、自然とそうなってしまったのかは、わからない。いずれにしても、ぶざまさにさらに磨きがかかっていることだけは、間違いない。
映画を見終わった妻が言った。「これ、おもしろいねえ。どうしてこの映画を見ようと思ったの?」稀代の辛口批評家である妻がほめたのだから、そうとうおもしろい映画だ、ということである。
「実は、ヨンギュ氏にすすめられたんだ」
「ヨンギュ氏、見る目があるねえ。お礼を言っておいて」
ほら、やはり鑑識眼のたしかな友人を持つことは、重要なのだ。
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