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卒業生へのメッセージその1・元少年の歌

3月14日(水)

卒業の季節である。

ということで、卒業生が読んでいるかはわからないが、20年ほど長く生きているおじさんから、卒業生に向けたメッセージを書いてみることにしよう。

私がそうとうなマイナス思考の人間であることは、このブログの読者ならお気づきのはずである。

クヨクヨ悩むことにかけては、人後に落ちないのである。悩みすぎて、仕事が手につかなくなることがある。

とくに人間関係ではよく悩んだりする。

中学生とか高校生のときからそうだった。

はじめっから苦手な人の場合は、かかわらないようにすればいいのだからどうってことはないのだが、むしろ親しい人との人間関係に、悩んだりすることがある。

なにかがきっかけで、親しいと思っている人が私を「ウザイ」と思っているのではないか、という妄想にとらわれることがよくある。

これは、被害妄想というべきものかもしれないが、正確に言えば、「こちらがなにか気に障るようなことを言ったのではないか?あまりにも親しさを押しつけてしまい、馴れ馴れしくしてしまったからではないか」などと、こちらが原因でそうなっているのではないか、と思っているのだから、見方によっては、加害妄想かもしれない。

自分の過去の言動をたどり、ああでもない、こうでもない、と悶々とした時間を過ごす。

そして、「どうせ疎まれているんだろうから」などと考えてしまい、その人と話をするのを意識的にひかえようとしたりする。

そうすると、今度はその人が、こちらをヘンに思い、向こうもこちらに話しかけてこなくなる。

そうやって、中学時代や高校時代には、それまでとても親しかった友人と、突然口をきかなくなる、ということが、何度かあった。

しばらくして、親しい関係はもとに戻るのだが、あの、被害妄想とも加害妄想ともつかない妄想は、いったい何だったんだろう?と、今でもふと思うことがある。

そしてビックリすることに、40歳を過ぎたいまでも私は、時たまそんな妄想にとらわれて思い悩むことがあるのだ。完全な「一人相撲」である。

諸君は、大人になれば常識をわきまえた人づきあいができるから、人間関係に思い悩むことなんてないだろう、なんて、思っているのではないだろうか。

そんなことはないぞ、諸君。20年たっても、いまと同じような悩みはつきまとうぞ。ひょっとしたら、諸君のお父さんやお母さんも、諸君と同じように思い悩んでいるのかもしれないぞ。寅さんだってよく言っているではないか。「理屈じゃないんだよ」と。

ただ大人は、そのことをオモテに出さない才覚があるだけなのである。

人間関係だけでなく、自分の至らなさに悩むことなんて、日常茶飯事だ。

そのたびに、妻に「オレなんか死んだ方がマシだ」と弱音を吐く。

すると妻は、「死ぬ前に部屋を片づけてください」と切り返す。

散らかっている部屋を片づけるのが面倒だからという理由で、仕方なく死ぬのを思いとどまる。というか、このみごとな切り返しには、ぐうの音も出ない。

…よし、それなら!と、今日、一念発起して、部屋を片づけはじめた。

しかし、あまりに散らかっていて、ぜんぜん片づかない。

そのうち、まあいいや、と、悩みもどこかへ行ってしまう。

ほら、いまの諸君と、あまり変わらないだろう。

つまりいまの諸君の悩みは、20年たっても続くから、いまのうちに悩み慣れしておけ、ということなのである。

最後に、諸君にフラワーカンパニーズの「元少年の歌」の歌詞(作詞:鈴木圭介)を贈ろう。

「大人だって泣くぜ 大人だって恐いぜ

大人だって寂しいぜ 大人だってはしゃぐぜ

大人だって愚痴るぜ 大人だって逃げるぜ

大人だって遊ぶぜ 大人だって子供だったんだぜ」

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