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初潜入!音楽練習スタジオ

5月19日(土)、20日(日)

木曜日の授業のあと、ロックバンドのサークルに入っている3年生のAさんに、

アルトサックスの練習をしたいんだが、どこかいい練習場所がないだろうか」

とたずねると、

「大学の近くに、音楽練習スタジオがあるでしょう。そこにたしか、個人用の練習室があったと思いますよ」という。

職場近くの音楽スタジオは、私も毎日、通勤途中に横を通っていたので、よく知っていた。

しかしあそこは、ロックバンドの若者たちが使う練習スタジオだしなあ。私のようなオッサンが利用してよいものか。

とりあえず、電話で聞いてみることにした。

「あのう、アルトサックスを練習しても大丈夫でしょうか」

「大丈夫ですよ」

「一人で音出しをするだけなんですが」

「ええ、大丈夫です。お時間はいかがしますか。1時間単位で予約することができます」

1時間では短いかな、と思ったが、初めてなので「じゃあ、1時間でお願いします」と、予約した。

まるで映画「Shall we ダンス?」の役所広司みたいな心境である。

さて19日(土)。

練習スタジオの建物に初めて潜入すると、中は完全な「ロックンロール」である!

やれロックバンドのライブのポスターだの、「バンドメンバー募集」のチラシだの、といったものが壁いっぱいに貼ってある。

受付には、「ロックンロール」な若者がいた。

「いらっしゃいませ」

「予約していた者ですけど」

どうみても、私は完全に「場違いな人間」である。

「こちらです」

Photo 個人練習室に案内された。何となく、一人でカラオケボックスに入るような心境で、どうにも気恥ずかしい。

練習室に入り、さっそくアルトサックスを吹き始める。

周りを気にする必要がないので、気兼ねなく大きな音で練習を始めた。

だが30分もすると、唇に限界が来た。

(こりゃあ、1時間くらいでちょうどよかったな…)

1時間がたったので、練習室を出て、受付に行くと、さっきと同じ「ロック」な若者がいた。

「あのう…明日も予約したいんですが…」

「大丈夫ですよ。今日と同じ部屋をおさえておきます。時間は?」

「1時間でお願いします」

「かしこまりました」

というわけで、20日(日)。再び音楽スタジオで1時間ほど練習した。

不思議なもので、昨日よりも確実に上達しているのが、自分でもわかる。唇の疲労も、昨日よりひどくはない。

練習を続けさえすれば、まだ何とかなるかもしれない、と確信した。

Photo_2 しかしながら問題は、私の楽器である。

なにしろ、15年近くも吹いていないのである。しかも、高校時代に買って以来、いまだかつて、修理に出したことすらないのだ。

童謡「クラリネットをこわしちゃった」ではないが、「出ない音」もあるのである。

この楽器をはじめて手にしたのは15歳の時だから…、今から28年も前だ!つまり28歳。人間にたとえると…何歳くらいなのだろう?

1時間の練習を終え、練習スタジオの隣にある楽器屋さんに、アルトサックスを持っていって、見てもらうことにした。

狭い店なのだが、若い女性店員が4人ほど、所狭しと机に座っている。

「あのう、楽器を見てもらいたいんですが…」

「修理でしょうか?」

「いえその…こわれた、というわけではないんですが、もう15年近くも使っていなくて、音も出しづらい感じがするので、見てもらおうと」

「かしこまりました。ちょっと拝見させていただきます」

楽器を見てもらっているあいだ、店内を見渡すと、なんと、ナベサダ(渡辺貞夫)さんの写真が貼ってあるではないか。

ここの店長、ひょっとして、ナベサダさんのファンなのだろうか、と想像した。

「お待たせいたしました。だいぶ、楽器が傷んでおりますね」

「やはりそうですか」

「この機会に、修理された方がいいと思います」

「このまま吹き続けてはダメですか?」

「ええ、無理に音を出そうとするあまり、ヘンなクセがついてしまいます」

「修理すると、やはり吹きやすくなりますか?」

「そりゃあ、もう」

ということで、修理をお願いすることにした。28年間もほったらかしにしていたのだから、無理もない。

楽器が戻ってくるのは、約2週間後である。

それまで、アルトサックスとはしばしのお別れである。

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コメント

サックスのケースにさりげなく貼られた「MALTA」のステッカー、もちろん見逃しませんぞ(笑)。

修理後初の「ワンマンスタジオライブ」では、黒グラサンにつけヒゲの不良フュージョン親父気取りで、ぜひ盛り上がって下さいまし。

投稿: KOBGI(イタリック体で) | 2012年5月22日 (火) 18時03分

よくぞつっこんでくださいました!さすがKOBGI(イタリック体で)さん。そう、ツッコミ待ちだったんです。
「おまえ、ナベサダが神様なんじゃねえのかよ。なんで楽器のケースにナベサダじゃなくMALTAのステッカー貼ってんだよ!」ってね。
実は高1のときに初めて行ったコンサートがMALTAのデビューコンサートでした。忘れもしない新宿厚生年金会館。そのときに買ったステッカーを今でも貼っているのです。実は何を隠そう、当時はグラサンに口ひげの「ちょい悪オヤジ」に憧れていたのでした(笑)。
いまだに貼っている、というのがすごいでしょう。楽器屋さんに持っていったときは、さすがにちょっと恥ずかしかったですもん(笑)。

投稿: onigawaragonzou | 2012年5月22日 (火) 22時49分

ネットニュース

 25日19時ごろ(現地時間)、一部のファンに熱烈的な人気を誇るブログサイト「風の便りの吹きだまり」作者の鬼瓦権造氏(年齢非公表)が、本紙編集部を予告なしに電撃訪問した。

 鬼瓦氏は本紙記者の質問に答えて、「(80年代に一世を風靡したサックス奏者の)マルタ(MALTA)のステッカーは楽器ケースだけに貼ってあるのではない。実は、サックス本体の「YAMAHA」という社名の下にもシールを貼ってある」と、恥ずかしげもなく、熱烈なマルタファンである心情を吐露した。

 さらに同氏は「マルタが司会を務めた「ヤングスタジオ101」(NHK)や「MALTAでNIGHT」(テレビ東京)といった出演番組をずっと追っかけて見続けていた。雑誌「FM FAN」を買ってエアチェックも怠らなかった」と、幼少期からマルタ一筋であったファン認証エピソードも明らかにした。

 この告白に対してネチズンからは、「すっかり「ナベサダ」ファンだと思っていたが、危うく騙されるところだった」「子供なのだから、テレ東の深夜番組など見ないで早く寝なさい」「実はマルタは「なぎら健壱」に似ている」「そんな話よりも、昨日最終回だったドラマ「屋根裏部屋の皇太子」について、もっと語り合いたかった」といった意見が寄せられている。
 
 一方、鬼瓦氏は田宮二郎主演の「高原へいらっしゃい」のビデオ化を強く望んだ。

イ・ガク記者(okuseja@pabo_news.co.kr)

(参考サイト)
MALTA マルタでナイト オープニング
http://www.youtube.com/watch?v=Ry9g0g-OSks

投稿: ネットニュース社 | 2012年5月26日 (土) 01時08分

恐るべしネットニュース社。仕事が早い!
貴社にしては正確な内容ですが、FM東京の「渡辺貞夫マイディアライフ」を毎週欠かさず聞いていたのも事実。…なんて弁解してもムダか。ああそうですよ!高校時代はグラサンに口ひげの不良フュージョンおじさんに憧れていましたさ。
「MALTAでNight」のオープニングテーマは「DANCING MAKES YOU SMILE」ですね。もちろん私のiPodに入ってますよ。

投稿: onigawaragonzou | 2012年5月26日 (土) 03時00分

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